僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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過去~高校生編1

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-side 日比野敦-


「あれ、慶ちん。かばんから何か落ちたよ。……これって、生徒手帳?」


すごい。

本当にこんなの持ち歩いてるやついたんだ。


「あ、ありがと!…ってなに見てんの?」

ぱらりとめくるとそこには約1年前の慶ちんがいる。

いっつも一緒にいて気づかなかったけど、やっぱり変わってた。

髪が伸びて、顔つきも子供から少しだけ大人に近づいている。

何より、写真のこの表情…。

真横に一直線に惹かれた唇。

何も映していない瞳。


でも、今俺の横にいるのは…

「あっちゃん??返してよ」

ちょっと照れたようにはにかむ慶ちん。


玲人のおかげだな…。


「いや、入学当時の初々しい慶ちんをと思ってさ、へへへ。…って、あれ?誕生日…」


20××年3月29日。


「もうすぐじゃん!」

俺の言葉に玲人が反応する。

「は、マジで?」と俺から手帳を奪い取る。

ちくしょう、俺が気づいたのに……って目で睨んでやるけどまったく気にも留めない。


「あ、そういえば、そうかも…」

って、慶ちん自分の誕生日忘れてたの?


「じゃ、誕生日パーティーだね!」

「え、良いよ、そんな」

「お祝いくらい良いだろ?な、慶太?」

「……うん、ありがと」

「ちょうど春休みに入ってるし、盛大にやろう!ね、慶ちん?」

「うん!!」

「…やっぱ、お前も来んの?」


当然!!

クリスマスは遠慮したけど、もうばっちり付き合いだしたし今は遠慮なんてしないもんねぇだ。


「もち!」

「………」


そんな、すごんだ目で見られても、あっちゃん負けないんだから!!


「二人と一緒に誕生日だなんて嬉しいなぁ」

「ケーキいっぱい食べようね?」

「うん!」

「と言うわけで玲人。ケーキ、十個ね!!あ、ホールの方がいいかな、慶ちん?」

「いろいろ選ぶって言うのもいいよね。でも、ホールってなんか誕生日って気もするしなぁ」

「じゃ、両方にしよう!ケーキ10個と、ホールも。ってことだ、玲人!」

「……」


慶ちんの誕生日。

俺もプレゼント考えようっと。


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