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過去~高校生編1

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「はぁ~。マジうまかった」

「ほんと?」

「本当。あのケーキ屋よりうまいと思うよ、本気で」

「それは言いすぎだよ」

「そんなことねぇって」

「玲人もありがとう。すっごいね、おいしかった」

「無理すんなよ。結構ひどいのもあったろ?」

「ううん、本当に。玲人の気持ちがたくさん入ってたしね」

「まぁ、それなら食中毒起こすくらい入れといたから」

「もう、バカなこと言って」


玲人の料理の後に僕のケーキ。

どんな高級レストランにも負けないくらいに素敵なディナーだった。


「慶太、ありがと」

「なに言ってんの?それは僕のセリフだよ。玲人ありがとね」

「慶太…」

「あ…」


玲人の顔が近づいてくる。

僕が目を閉じたのを確認してから触れる玲人の唇。


「ん…玲人…」

「好きだ…慶太」


そしてまた近づいてくる。

唇が触れたと思うと今度は何かが僕の中に進入してきた。


「んぅぅ!」


あまりにすべての事が未知のもの過ぎて体が拒否反応を起こす。


「大丈夫。慶太、大丈夫だから」


一度唇が離れ、玲人に耳元で優しくささやかれると不思議と身体の震えが消えた。

そしてもう一度…。


「…ふっ…んぅ……」

するりと差し込まれたのが玲人の舌であることに気づく。

僕のに自分のを絡ませ、優しく吸われるとなんか胸のあたりが騒いだ。

たまに僕に呼吸をさせようと離れるが、またすぐに口付けられる。

何度も何度も角度を変えて。

すべてを奪いつくされそうな、そんな野生的なキス。

ピチャ、という唾液の音が僕の羞恥心をあおったけど、でもそれ以上に今のこの瞬間を終わらせてしまいたくは無いという気持ちのほうが大きかった。


「ん…ハァ…ぁ…玲人。……ハァ…」


ようやく解放された僕はハクハクと欠乏した酸素を取り戻そうと必死になる。

玲人はそんな僕の背中を優しくなでて、少しでも呼吸が落ち着くようにとする。

しばらくの間その体勢が続いてから僕が落ち着いたのを確認した後、ゆっくりと身体が離れた。


「ごめんな?びっくりしたか?」

「うん…でも大丈夫」

「本当に?」

「うん。全部玲人だから…」

「すごい口説き文句だなぁ」

「え、そうなの?」


玲人は僕の言った事に対してうれしそうに笑って今度は触れるだけのキスをくれた。



キスにもいっぱいあるんだ、って今日初めて知った。

それを教えてくれたのが玲人でよかった。


確実にまた一歩進んだ僕と玲人。

それは高1のバレンタインの夜。


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