僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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過去~高校生編1

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-side 水野慶太-


~キーンコーンカーンコーン~


「はい、ペン置いて。コレで一年最後の試験は終わりだ。といっても気を抜くなよ。二年になったら本格的に進路とか決めないとだからな」

「「「はーい!!」」」


昨日もかなり遅くまで教室に残ってみんなで勉強した。

何とか間に合った……と思う。


「水野ぉー!!マジでありがと。俺、今回結構いけた気がする!」

「俺も!」「私も」

「本当に、水野と桐生のおかげだよなぁ」


先生が教室から出て行くなりみんなそろって僕のところへやって来た。

口々に僕にお礼を言っていく。


「僕は…べつに…。ただ自分のやってる通りにやっただけだし」

「なに謙遜してんの?」「そうだよ、水野君すっごい教え方うまいよ」「ほかの先生たちに教えてやれば?」


いっぱい褒められて自分の顔が赤くなっていくのが分かった。

少し顔をうつむける。


「あ、水野君。もしかして照れてるの?」

「「「可愛いぃぃ!!!」」」


もうどうしようもなくなって顔も上げるにあげられなくて、ひたすら机とにらめっこ。


「慶太、帰るぞ」「慶ちーん!!」

天の助け。玲人とあっちゃんだ!


と思ったのに、クラスのみんなは今度は玲人も囲みだす。


「お、おい!なんだお前ら。もう補習しねぇぞ。俺と慶太は帰るからな!」

「「「桐生(君)、ありがとうございましたぁ!!」」」

「あ?…あ、いや、まぁ。別に」


あれ、玲人も照れてる?

珍しいよね、玲人のそんな顔。


「あ、それでね、これ、水野君と桐生君と日比野君に私たちから」

差し出されたのは、可愛くラッピングされた箱。


「???」「何だよ、コレ」「ありがと!」

僕、玲人、あっちゃんの順。


「「「ほら、バレンタインだから!」」」


あ、今日2月14日だ。


「「「は?俺たちには??」」」

ほかの男子たちは不満顔。


「え、あるわけ無いじゃん!」「なんであげんの?」「いまどき義理とかないし」

散々な言われよう。気の毒だ。


「とにかく、受け取って?」

「それクラスの女子からだから」

「ほら…麻美も」


そう言って一番前に出されたのは、いつぞやの女の子。そういえば彼女も補習にいた。

ちょっとだけまだ気まずい。


「あ…あの、あの、私にも勉強教えてくれてありがとう。あの、私もう桐生君のことは諦めたし。
それに、相手が水野君なら勝ち目「「ストーップ」」……んぅーーー!!」

あ、口押さえられた。


「とにかく!受け取ってね。本当に助かったから。気持ちです」


いいのかな?

そう思って玲人を見上げると「受け取ってやれ」って言われた。


「あの…ありがとね?」

「「「こっちこそ(てか可愛い、綺麗!!!!)」」」


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