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過去~高校生編1
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しおりを挟む「あぁ、マジで学校行きたくねぇ。」
「いや、その前に。玲人ちゃんと宿題やったの?」
明日から学校だけど玲人が宿題やってる姿なんて一度も目にしてない。
「いや、あ、うん。慶太くん、見せ…」
「だーめ!」
「……けち。」
ちぇっと舌打ちする玲人がかわいすぎる。
(あぁ、僕は本当に玲人に甘いなぁ。)
さっと終わってしまった自分の宿題を彼に差し出す。
「今回だけだからね。あと、お礼として僕に美味しいケーキ五個買ってくること!」
「買う買う、何でも買う!本当ありがと、助かったーっ。慶太愛してるぞ!」
もう、本当に都合いいんだから。
明日から新学期。
正直寂しい。
学校が始まればこうやって玲人と毎日一緒に過ごすことだって難しくなる。
それに学校ではクラスも違うし。
僕らの関係だって友達ってことに……
言えるはずない。
世間から無条件で祝福されることだって難しい。
考えないようにするって言ったけど。
やっぱり僕たちは男同士だから。
いくら世の中変わってきたとはいえまだまだ日本は閉鎖的で。
世間一般では異性愛が常識。
同性愛は非生産的で異端視される。
分かってるんだけど、やっぱり…
「なんか変なこと考えてる?」
黙り込んだ僕の肩に玲人の腕が絡み付く。
「なんでもないよ。」
「そう?……なぁ、今日も泊まっていっていいか?」
「どうしたの急に。もちろんいいよ。」
「うん。んで、明日一緒に学校行こうな。」
僕の頭を優しく撫でる。
玲人はなんでも分かってるんだね。
「その前にさ、宿題は終わるの?」
「やべっ。徹夜かなぁ、今夜。」
僕もそのうち玲人の考えてることがなんでも分かるようになるのかなぁ。
そうなるといいなぁ。
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