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過去~高校生編1
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しおりを挟む「慶太、俺今日は中華が食いたいなぁ。」
「えぇー!あれ結構手間がかかるんだよ?」
「ダメ?」
「…ダメ、じゃない。」
あれから一週間。
冬休みなのをいいことに玲人はずっと僕の部屋にいる。
少しずつ玲人の私物が僕の部屋に増えていってるのが目に見えて分かる。
洋服、歯ブラシ、食器…
「で、今は何作ってるわけ?」
「んとね、作ってるって言うか、下ごしらえ?だって明後日お正月だよ?」
「もしかして、おせちとか?」
「そう。そのもしかして。」
お互いの顔を見つめて笑いあう。
まるで真綿にくるまれたような真っ白でふわふわした優しい時間がここにはあった。
慶太、と呼ばれるのと同時に玲人の手が僕の腰に回る。
後ろから抱き締められる。
最近では僕がキッチンに立っているといつもこうだ。
危ないって言ってるのに決して止めようとはしない。
僕も決して止めてとは言わない。
「栗きんとんも作るのか?」
「もちろん。玲人、好き?」
「うん。じゃ黒豆は?」
「作るよ。好き?」
「……好きだ。」
「そう、よかった。でも、玲人さっきから甘いものばっかり…」
「好きだよ、慶太。」
「……うん、僕も。」
お腹の辺りにある玲人の両手に自分のを重ねた。
それ以上のことはなにもなくて。
ままごとみたいだって言われるかもしれないけど。
でも少なくても僕はとても満たされている。
初めて誰かから必要とされている。
はじめて誰かから愛されている。
そう感じることが出来たから。
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