僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

過去～高校生編1

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ーside 桐生玲人ー

「じゃあ、二人とも後でね！」


嬉しそうに手を振りながら帰っていく慶太に、パーティーは二人きりになったと言い出せないまま当日になってしまった。


「おう、後でな。」

俺も軽く手を上げた。


慶太の姿が小さくなるのを確認して敦と歩き出す。

しばらくなんでもない話をした後、俺と敦も別れる。

「じゃあ、またな。玲人、今日はちゃんと決めろよ。」

そう言って敦は俺に背を向けた。


本当はあいつも、とここ数日考えてはいたものの突っ込んでは聞けなかった。

でも答えがどちらだったとしても俺の結論は同じだ。

慶太は渡せない。

それが親友の敦でも。


去っていくあいつに向かって小さく「ありがとう」という言葉をかけた。


俺自身も慶太とのこの曖昧な状態に限界を感じている。

はっきりさせたい。

そして。

できれば慶太を自分のものにしたい。


今夜それが決まる。


約束の時間までまだ五時間もある。

落ち着けそうにもない。


とりあえず慶太の好きそうなケーキでも買いにいくか。