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過去~高校生編1
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しおりを挟む「何で謝るの?僕には関係ないことでしょ。」
「…」
「玲人が誰と付き合っててもそれは僕には関係ない。」
「付き合ってないよ。」
「へぇ。付き合ってなくてもセックス出来るんだ?最低だね、君は。」
「もうしない。」
「べつに、したけりゃすればいいじゃない。だって僕には…」
「もうしない。」
目をそらすことなく真っ直ぐと僕を見つめる玲人。
その目は嘘をついていなくて。
態度も、声も。
すべて本音であることが分かる。
「…勝手にすれば。」
本当は嬉しいのに。
抱きついて泣いてしまいたいほど嬉しいのに。
口から出たのはそんなつまらない言葉だった。
それでも玲人がうれしそうに微笑んでいるから。
あっちゃんも嬉しそうにしてるから。
だからこれでいいのかって思ったんだ。
「うん、勝手にそうするから。だからこれからも慶太の弁当食わせてほしい。ダメかな?」
「…別に。それも、勝手にしたら。」
「あぁ。勝手にする。……ありがとう。」
「ありがとって、なにさ。…バカじゃない?」
少しだけ照れくさくてやっぱりぶっきらぼうにしか答えを返せなかった。
「あーあ。じゃあ、これ玲人に食べさせんの?」
あっちゃんがお弁当を顔の辺りに掲げる。
「せっかく俺のになるはずだったのになぁ。」と渡し渋っている。
「さっさとよこせ。腹減ってんだよ。」
「へぇへぇ。」
玲人がお弁当を取ろうとしたがあっちゃんは手を離さなかった。
「次はねぇぞ。」
普段のおちゃらけた感じからは考えられないような怒気を含んだ声を発した。
「もうない。次は起こらないから。」
玲人がそう言った瞬間。
にこりといつもの笑顔に戻り「ほらよ。」と手渡した。
弁当のふたを開けて「うわっ、エビチリじゃん!」と叫ぶ玲人がすごく子供っぽくて吹き出してしまった僕。
二人もつられて笑う。
それがおかしくて。
僕はさらに笑ったんだ。
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