僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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過去~高校生編1

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「おはよう。」

「おっはー!」


教室にはクラスの半分くらいの生徒がすでに登校していて。

ホームルームが始まるまで各々好きなことをしている。

その一角では何人かの女子が集まってキャーキャーと騒いでいた。


(朝なのにどっからその元気は沸いてくるんだろう…)


「てか、かなりびっくりなんだけど。」

「麻美、どうやって接触したのよぉ。」

「全然知らなかったし。」

キンキンと女子特有の甲高い声が頭に響く。


「実はぁ、ちょっと前にね、好きって言っちゃったのぉ。」


麻実と呼ばれた子が指で髪の毛をくるくるといじりながら自慢げに話しているのが目に入る。

「女子ってこういう話好きだよな。」と教科書を鞄から取り出しながら心の中で呟いた。

その瞬間。


「でもさ。桐生くんゲットするなんてスゴすぎなんですけど!」


ばさり、と手元からノートが床に滑り落ちた。

『桐生』

今、そう言った?


「で、彼ってどんな感じなの?」

「玲人はぁ、すっごい優しいの。話も面白いしぃ。キスだって…あっ!」


明らかにわざと口にしたはずなのに。

しまった!と言う顔をする女。


「えーっ。もうそんなとこまでいってんの?詳しく教えなさいよー!」

「そうそう。私たちの間じゃ隠し事なしでしょ?」


その言葉を待ってましたとばかりに話し続ける麻実。


「えへっ、恥ずかしいけど。実は昨日ホテルで……ってここからは秘密っ。」


彼女たちの声がだんだんと遠ざかっていくような気がした。

あぁ、吐き気がする。

あの女の甘ったるい声に。

昨日彼女を抱いた玲人に。

そして。

一番はバカみたいに浮かれ出していた僕自身に。


もしかしたら。

なんて、馬鹿げた期待を抱いていた。

これ以上望まないと言ったのに。

何かが起きるのではないかと胸を踊らせていた。


ありもしない未来を待っていた。


何て愚かなんだろう、僕は。

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