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過去~高校生編1
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しおりを挟む楽しい時間は早く過ぎていくって言うけどそれは本当だ。
玲人とあっちゃんと笑いあって過ごす日々はあっという間に過ぎていって。
気づけば僕のうちにはこたつが出されていて。
外に出れば凍てつく風に身体を縮こまらせるようになっていた。
ぴゅーっと顔に吹き付ける北風に表情が曇る。
(マフラー欲しいなぁ。)
僕の心の声が聞こえていたのか。
急に首元が暖かくなる。
「おはよ。お前すげぇ寒そうだから、それ貸してやるよ。」
そう言って自分のマフラーを僕の首にかけてくれたのは突然横に現れた玲人。
「あ、おはよう。これ玲人のでしょ?いらないよ。だって寒くないもん。僕暑がりだから。」
玲人の首に戻そうと手を伸ばす僕をさらっとかわす。
「あれぇ、慶太くん。もしかして照れてたりするのかなぁ?」
「違うし。照れてなんかない!」
「学校までお手々でも繋いで行っちゃいます?」
「ば……ばっかじゃないの?」
「ほらほら、顔がちょっと赤くなってきましたよ。」
「それは寒いから!!」
「やっぱ寒いんじゃん、はははっ。」
最近ではこんなやり取りもわりと日常茶飯事で。
なんだかすごくくすぐったい。
「いいからしてろ。」と僕の首にマフラーを巻き直した。
玲人の匂いがする。
学校につく前から玲人に会えて。
その喜びに足取りも軽くなる。
なんかいい日になりそう。
なんて。
そんなにうまくは行かなかったね。
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