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過去~高校生編1
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しおりを挟む「ご…ごめん。僕、帰る。」
ここにいちゃいけない。
僕の中の何かが囁く。
カチャカチャと机の上に散らばったものを鞄に詰め込む。
あまりに急ぎすぎて筆箱が手元から落ちてしまった。
シンとした図書館にガチャンと言う音が思いの外大きく響いた。
「おい、大丈夫か?」
足元に転がってきたシャーペンをとろうと玲人が手をのばす。
「ダメ!」
「は?」
「ごめん、大丈夫だから。自分で拾えるから。」
「…そうか?」
「うん、ごめん。帰るね。」
「じゃ、俺も…」
「バイバイ!」
彼の言葉を遮って僕は図書館を飛び出した。
はぁ、はぁ。
息が切れるほど走る。
なんだ、この気持ち。
僕は知らない。
こんなの感じたことない。
はぁ、はぁっ。
考えたくない。
でも。
玲人の手に触れたいと思った。
その手で僕に触れてほしい。
そう思った。
はぁ、はぁ。
喉から発せられる声がきれいだと思った。
柔らかそうな唇の感触を知りたいと思った。
その瞳で僕だけを見て欲しいと思った。
なんだよ、僕。
どうしちゃったんだよ。
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