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過去~高校生編1

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「てか慶太ちんは、俺の名前呼んでくれないよねぇ?」

A君のポツリと呟かれた言葉に僕の肩はあからさまにびくりと動く。


「まさか。まさかだけど…覚えてないなんてことは…ないよ…ね?」


そのまさか過ぎて。

あまりにも申し訳ない気持ちになり顔をあげることができない。

お弁当の卵焼きで遊び出してしまった。


「ま、敦。お前なんてそんなもんだ。ドンマイ。」

「慰めるな!肩叩くな!……ショック。」

しょぼん、と肩を落とすA君に「ごめんなさい。」と小さい声で謝る。


「なぁーんてね!そんなことでへこたれる敦様じゃないのだ。
俺は日比野敦。玲人と同じクラスだよ。あっちゃん、って呼んで?」

軽い上目使いで言われてしまいちょっと固まった。


「…ぇと。…あっちゃ…ん?」

恐る恐る呼びかける僕に「なに?」と微笑んでくれた。


「お前、なにが『あっちゃん』だよ!キモいんだよ。お前なんか友人Aで十分だ!」

そう思ってました。

とは言えるわけもなく二人のやり取りを見守る。


「うわ、玲人。羨ましいんだろ?これから俺らは『あっちゃん』『慶ちん』の仲なのだ!」

「別に羨ましくなんてねぇし。俺なんて呼び捨てだしさ。」

「ふん!そんなありふれたのじゃなくてこのニックネームで呼び合うと言うのが仲良しの象徴なのだよ、玲二くん。」

「てめっ、なに勝ち誇ったような顔しやがって…!」


あっちゃんのほっぺたをむにーっと引っ張る玲人。

お返しとばかりに玲人の唇を引っ張るあっちゃん。


仲良しだなぁ。

友達ってこういうのを言うんだよね、きっと。


「離せよ!お前、調子に乗りやがって!」

「お前こそ。ちょっと俺と慶ちんが仲良しだからって…。」

「俺の方が仲良いんだよ!」


いつの間にか言い合いが激しくなり、プロレス技を掛け合ったりしてる。


仲、いいんだよ…ね?

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