僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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過去~高校生編1

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ーside 水野慶太ー

映画が終わりエンドロールが流れる。


(うーん、気まずい。)


映画の途中でなぜか玲人に肩を抱かれた僕。

遠慮がちに回された手をなぜか振り払うことができなくて。

それで。

今のこの状態に至る。


親の愛情というものを感じたことがない僕はこういうのにとても弱くて。

これは作り物なんだと分かっているのに。

いつも泣かずにはいられなくなる。


そんな僕を労るように手を回されたものだから。


「あ、と。あの…玲人?」

手をどかしてもらおうと玲人の顔をうかがう。


「何?」

「いや…あの。腕を……」


そこまで言うと。

「わりぃ。」

と急いで腕をどかした。

それまで彼の腕が乗っていた場所は。

少しだけ痺れてて、すごく温かくって。


「僕…ごめんね。恥ずかしいよね、泣いたりなんかしてさ。」

「何が?別にいいんじゃねぇの?」

「…そうかなぁ。」

「俺だって泣くときあるし。」

「えっ、そうなの?いつ?なんで泣くの?」

「あぁ、例えば…花ざ○りの~とか。」

「泣くとこあったっけ?」

「いや、あれの逆バージョン想像したら羨ましすぎてさ。」

「……聞かなかったことにする。」


バカじゃない?

本当に頭の中にはそういうことしかないのかな。


でも、でもね。

わざとでしょ?

僕のこと考えて。

そうやってふざけたこと言ってくれたんだよね。


ありがとね。
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