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過去~高校生編1
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しおりを挟む正直映画はどうでもよかった。
実は前にも見たことあるし。
戦争で疎開だなんだと離れ離れになった家族が最後は再会してめでたしめでたし。
なんていうなんともありきたりな内容だった。
(なんでこの手のヤツはどれもこれも結局同じ感じなのかねぇ。)
「ハズレだったな。」
とでも言おうかと慶太の方を見る。
でも。
言えなかった。
そこには。
拭うこともせずただひたすらそのきれいな瞳から涙を流し続けるあいつがいたから。
静かに声も出さず、ただ涙だけがこぼれ落ちる。
自分のことを俺が見ている何て全く気づいてなんかなくて。
画面に釘付けの慶太。
横からそっとティッシュの箱を渡してやる。
「ありがとう。」
少しだけ鼻声の声でお礼を言われた。
それでもその映画を見ることも泣くことも止めようとしないあいつがなんだか。
なんだか。
すごく遠くて。
すごく痛々しくて。
俺は訳もわからず。
そっと、肩を抱いた。
ピクリと反応したが、回された手が振り払われることはない。
このときの俺は。
その涙の意味なんて分かるはずもなくて。
「なみだもろいのかな、こいつ。」
くらいにしか思っていなかった。
でも違ったんだよな、慶太。
本当はあの映画の中で必死で自分の子供を探していた両親みたいに。
お前も自分の両親から愛してもらいたかったんだよな。
抱きしめてもらいたかったんだよな。
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