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過去~高校生編1
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しおりを挟む「おじゃま……しま…す。」
外観の豪華さを裏切ることなく、お部屋の中も広くて華やかだ。
リビングに向かう途中で「これ俺の部屋」と見せられた場所は、自分が想像していた彼の部屋とは全く違ってすごくシンプルなものだった。
一人用なはずなのになぜかダブルサイズのベッドだったのが嫌でも目につく。
こういうの全然分かんないけど、なんか。
やらしい…。
一度部屋を出てリビングへ行くと。
「荷物、適当に置いていいから。」
そう言い残し自分はキッチンへと消えていった。
とりあえずキョロキョロと一通り部屋を見回して。
邪魔にならないようにと隅っこの方にちょんとカバンを下ろす。
「いや、なんでそんな端っこに置いてんの?そこのテーブルでいいから。」
飲み物を持って戻ってきた玲人は苦笑い。
どこでもいいって言ったくせに。
今度は少しばかり強気にボンっとテーブルに乗っけてみた。
「何がいいか分かんなかったからさ。とりあえず麦茶な。」
氷の入った茶色のグラスを差し出される。
そう言えば喉が乾いてたことを思い出した。
ごくごくっと大きな音を鳴らし一気に飲み干す玲人とは対照的に僕はちびちびと口をつける。
「……」
「……」
ひたすら沈黙。
ほら何もない。
こうなるって分かっていたから断ったのに。
普通の人は僕といたって話すことなんてない。
カラン、と。
氷が溶ける音だけが響く。
「………き…なのか?」
「え?」
ぼそりと呟かれた声が聞き取れず聞き直してみる。
「いや、だから、その…本…好きなのか?」
「本?」
「いつも読んでるだろ?」
何で知ってるんだろうと思わなくもなかったが。
「うん。」
と頷いた。
「そっか。」と玲人は呟き、また沈黙が訪れる。
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