僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

エル

文字の大きさ
上 下
17 / 327
過去~高校生編1

10

しおりを挟む
ーside 水野慶太ー


中間テストが終わったくらいから僕の耳に入ってくる名前がある。


桐生玲人。


クラスの女子が聞いてもいないのにご親切にも教えてくれた。


「ねぇ、水野くん。勉強どうやってるの?教えてくれると嬉しいなぁ」

そう言って僕の腕に軽く触れる。


「…」


さっとその腕を払い、僕は読みかけていた本へと意識を戻す。


「何よぉ、別にいいじゃん!あ~あ、桐生くんが同じクラスだったら良かったのになぁ」
「私も思ったぁ」
「え~、私も」


どこかよそでやってくれればいいのにお構いなしに僕の席の真横で女子たちが話し始めた。


桐生玲人。

勉強ができる上で顔もとてもいいらしい。

お軽い性格で女性の出入りも激しいそうだ。


「でも桐生くんなら一回でもいいかも~」

なんて言われているあたり、そんなに魅力のある人間なのだろうか。



そう思った三十秒後には彼の名前などすっかり頭から消え、僕は本の世界に浸っていた。
しおりを挟む
感想 104

あなたにおすすめの小説

恋人>幼馴染

すずかけあおい
BL
「言わなきゃ伝わらないやつには言い続けるに決まってんだろ」 受けが大好きな攻め×ないものねだりな受け(ちょっと鈍い)。 自分にはないものばかりと、幼馴染の一葉になりたい深來。 その一葉は深來がずっと好きで―――。 〔攻め〕左野 一葉(さの いつは) 〔受け〕本多 深來(ほんだ みらい)

それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。 まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。 転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。 ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。 「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」 かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。 「お願いだから、僕にもう近づかないで」

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

記憶の代償

槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」 ーダウト。 彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。 そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。 だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。 昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。 いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。 こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

彼の理想に

いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。 人は違ってもそれだけは変わらなかった。 だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。 優しくする努力をした。 本当はそんな人間なんかじゃないのに。 俺はあの人の恋人になりたい。 だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。 心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

処理中です...