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ss.エイプリルフールの日
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また面倒臭い行事の日が、やってきてしまった。我が家恒例、日本の伝統を守ろうの日。今回は、エイプリルフールの日だ。日本の皆様は、そんなことをして何が楽しいのかわからないが、エイプリルフールの日は、嘘しか口にしてはならないらしい。
ホワイトデーの日と違い、これは我が家だけの慣習だ。それが逆に、面倒臭さの素になっている。村人は、エイプリルフールを知っている人も、知らない人もいるのだ。全員知っている、または全員知らないのであれば、対応は簡単である。だが、話している相手は、どちらかわからない。
そして、お父様の戯れによって、更に面倒臭さが悪化した。以前エイプリルフールの日に、お父様は、お母様に「俺のことを好きか?」と聞いて、からかって遊んだという。両親のそんな話は聞きたくないのだが、それ由来で、好きか尋ねる日だと誤解している村人と、相手に好きだと言わせるためにふざけて聞いてくる村人が大量発生する日になってしまったのだ。本当に、お父様はロクなことをしない。
そんなシチ面倒な日なのだが、以前は大した被害はなかった。村人に、適当に好きですよーと返し、お父様に執拗に大好きですと言わされるだけで済んだ。実にくだらない1日であったが、どうということもない。
だが、今年はエスメラルダがいるのだ。エスメラルダ以外を好きと言いたくないし、またエスメラルダのことを嫌いだなんて、仮令ウソでも言いたくない! だからと言って、真実を言って、逆の意味に解釈されても困る。どうしたらいいんだ!
フィドルを抱えて、被害のなさそうなトロル村に逃げようとしたところで、お父様に捕まった。
「おはよう」
寒気が走るほど、上機嫌らしい。噂通り、お母様をおもちゃにして遊んでいればいいものを!
「おはよう御座います。大好きな大好きなお父様ではない見知らぬ人」
大好きだと言えば、解放されるのだ。それならば、さっさと言ってしまうことに決めた。お父様は、父の端くれだ。これが浮気にカウントされたりはすまい。
「ああ。その通りだな」
お父様は、私を抱きしめ頬ずりをした。
「ひぃいぃ! やめてください!!」
「そうか。そんなに嬉しいか」
「違うぅ! はーなーせー! ヒゲ痛い!」
お父様は、しつこかった。村で語り草になるのも納得したし、あんな母でも同情心が湧いてくるほどに、嫌気が差した。いや、母はあれがいいのか。まったく気持ちがわからないな!
「琥珀様、わたしのことをどう思われますか?」
「貴女のことなんて、これっぽっちも考えたことは御座いません」
お父様から逃げ出す道すがら、知ってるような知らないような村人に次々と声をかけられたが、適当にやり過ごした。エスメラルダが好きだと公言してはばからない私をからかって、何が楽しいのか、まったくわからない。とにかく、今日は1日、エスメラルダと顔を合わせてはいけない日なのだ。邪魔しないでもらえないものか!
建物の陰に隠れ、周囲の様子を伺っていたところで、翡翠が現れた。
「お兄ちゃん、逃げたいなら、逃がしてあげようか?」
「いいのか?」
私が翡翠の手を取ると、翡翠は空間転移魔法を使った。
いつかどこかで見た景色が広がった。
「だから、なんでこんな危険なガチ火山に来なければならなかったんだ」
翡翠が飛んできたのは、ボルカン火山だった。火蜥蜴が棲息する毎日噴煙をあげる活火山である。見上げれば、今日も元気そうに灰を飛ばし、いつ溶岩流が流れてきても不思議はなさそうな雰囲気を感じてしまう。
「人がいないところに行きたいのかな、って思った」
「なるほど。その条件には、当てはまっているかもしれない。だが、他の何かも気にして欲しかった」
幸いにも、火口からは距離がある。防火服がなくても、皮膚は焼けないし、翡翠がいれば、何かあってもすぐに逃げられる。ならば、まぁいいのか。
「気が利かなくて、ごめんね」
「いや、翡翠のおかげで、助かった」
「別にいいの。翡翠がお兄ちゃんに用があっただけだから」
「用?」
翡翠が、監視目的以外の用があるなど、珍しいこともあったものだ。また新しい武具でも、欲しくなったのだろうか。私のなけなしの魔力をわざわざ使わせなくとも、翡翠の方こそ魔力は膨大で、魔法は得意なのだから、自分1人で作ればいいだろうに。不器用で、できないのだろうか。妹だから、甘えているのだろうか。練習するなりなんなり、勝手になんとかして欲しいものだ。
「お兄ちゃんに、言いたいことがあるの。言わずに済まそうと思ってたんだけど、時々ちょっとツラくなる時があってさ」
「そうか。聞くだけなら、別に構わない。こんなところに1日いるのも暇だからな」
内心、噴煙にドキドキしているのだが、格好悪いので、翡翠に悟らせてはならない。大丈夫だ。まだ涙は出ていない。
「翡翠ね。お兄ちゃんのことが、大好きなんだ。ずっとずっと大好きだったの」
「?! そ、そうか。今日は、エイプリルフールの日だからな」
翡翠は、とても可愛らしかった。とても心がえぐられた。段々と扱いが雑になっていたような気がするが、翡翠は大切な妹である。かつては、双子のように思っていた。なのに、こんなに直球で嫌いと宣言されるとは、少し大分、かなり落ち込んだ。片目から、涙がこぼれた。
「お兄ちゃんが、どうして死なないように改造されたのか、知らないでしょう。あれはね、お兄ちゃんが大切だから守りたかったって意味も勿論あるんだけど、どちらかというと、翡翠の寿命に合わせるためなんだよ。翡翠の寿命の方が、圧倒的に長いから、いつまでも添い遂げられるように、お兄ちゃんの寿命が伸ばされた延長線のついでなの」
「え?」
「親が勝手に決めただけのことなんて、お兄ちゃんにとっては、何の価値もないことだろうけど、お兄ちゃんと翡翠は、許婚なんだよ」
「なんだ、と?」
翡翠は、私の乳母がしたいという理由で、ママが産んだ子だ。そんな理由で! という気持ちも、おかげで生を得られたという部分もある。当初の理由はどうあれ、ママは翡翠を可愛がっているから、翡翠も気にしていない。村総出で、母を祀りあげている環境だ。母の子の乳母に選ばれることは、誉れなことなのだ。だから、それが当たり前のように受け入れられたのだろう。だが、ママは誰よりも母を心酔していて、翡翠を可愛がっているのだ。母の子である私と娶せようとすることに、何の疑問も持てなかった。
「それは、、、」
ずっと翡翠と仲良くやっていたつもりだが、ここ最近の私の所業を思うと、目も当てられなかった。娼館のことを怒り狂っていた翡翠が理解できなかったのだが、妹ではなく、婚約者であったなら納得がいった。エスメラルダとのことは、どのように見ていただろうか。
翡翠が他所の男にそんな扱いを受けていたならば、兄として私は糾弾しただろう。だが、今回は、その男が自分なのだ。文句を言うのは馬鹿げているし、私には翡翠を受け入れる余地はない。
「ばぁ~か。ウソだよ。引っかかった~」
張り詰めた顔を見せていた翡翠が、くすくす笑い出した。
「ウソ?」
「エイプリルフールの嘘は、こういう風に吐くものなんだよ」
「そうか。そうなのか。知らなかった」
「どきどきした?」
「心が痛かった。ウソで良かった」
「ウソを信じさせるコツはね、本当を混ぜることなんだって」
「え?」
翡翠は、手を振って消えた。
「翡翠? 翡翠? なんで? どうやって帰るんだよ!」
私は、フィドルを抱えて草を喰み、泣きながら歩いて帰った。太陽と星の位置を見れば、家の方角はわかるが、絶望的な距離もわかる。だから、帰る術を教えてくれたお父様には、まったく感謝の気持ちは起きなかった。
家にたどり着くと、エイプリルフールどころか4月も終わっていたようだが、もうどうでも良かった。エスメラルダの顔をもう一度拝めただけで、幸せだ。もう2度と翡翠の話なんて聞くものかと思いつつ、エスメラルダに甘やかされて傷を癒した。
ホワイトデーの日と違い、これは我が家だけの慣習だ。それが逆に、面倒臭さの素になっている。村人は、エイプリルフールを知っている人も、知らない人もいるのだ。全員知っている、または全員知らないのであれば、対応は簡単である。だが、話している相手は、どちらかわからない。
そして、お父様の戯れによって、更に面倒臭さが悪化した。以前エイプリルフールの日に、お父様は、お母様に「俺のことを好きか?」と聞いて、からかって遊んだという。両親のそんな話は聞きたくないのだが、それ由来で、好きか尋ねる日だと誤解している村人と、相手に好きだと言わせるためにふざけて聞いてくる村人が大量発生する日になってしまったのだ。本当に、お父様はロクなことをしない。
そんなシチ面倒な日なのだが、以前は大した被害はなかった。村人に、適当に好きですよーと返し、お父様に執拗に大好きですと言わされるだけで済んだ。実にくだらない1日であったが、どうということもない。
だが、今年はエスメラルダがいるのだ。エスメラルダ以外を好きと言いたくないし、またエスメラルダのことを嫌いだなんて、仮令ウソでも言いたくない! だからと言って、真実を言って、逆の意味に解釈されても困る。どうしたらいいんだ!
フィドルを抱えて、被害のなさそうなトロル村に逃げようとしたところで、お父様に捕まった。
「おはよう」
寒気が走るほど、上機嫌らしい。噂通り、お母様をおもちゃにして遊んでいればいいものを!
「おはよう御座います。大好きな大好きなお父様ではない見知らぬ人」
大好きだと言えば、解放されるのだ。それならば、さっさと言ってしまうことに決めた。お父様は、父の端くれだ。これが浮気にカウントされたりはすまい。
「ああ。その通りだな」
お父様は、私を抱きしめ頬ずりをした。
「ひぃいぃ! やめてください!!」
「そうか。そんなに嬉しいか」
「違うぅ! はーなーせー! ヒゲ痛い!」
お父様は、しつこかった。村で語り草になるのも納得したし、あんな母でも同情心が湧いてくるほどに、嫌気が差した。いや、母はあれがいいのか。まったく気持ちがわからないな!
「琥珀様、わたしのことをどう思われますか?」
「貴女のことなんて、これっぽっちも考えたことは御座いません」
お父様から逃げ出す道すがら、知ってるような知らないような村人に次々と声をかけられたが、適当にやり過ごした。エスメラルダが好きだと公言してはばからない私をからかって、何が楽しいのか、まったくわからない。とにかく、今日は1日、エスメラルダと顔を合わせてはいけない日なのだ。邪魔しないでもらえないものか!
建物の陰に隠れ、周囲の様子を伺っていたところで、翡翠が現れた。
「お兄ちゃん、逃げたいなら、逃がしてあげようか?」
「いいのか?」
私が翡翠の手を取ると、翡翠は空間転移魔法を使った。
いつかどこかで見た景色が広がった。
「だから、なんでこんな危険なガチ火山に来なければならなかったんだ」
翡翠が飛んできたのは、ボルカン火山だった。火蜥蜴が棲息する毎日噴煙をあげる活火山である。見上げれば、今日も元気そうに灰を飛ばし、いつ溶岩流が流れてきても不思議はなさそうな雰囲気を感じてしまう。
「人がいないところに行きたいのかな、って思った」
「なるほど。その条件には、当てはまっているかもしれない。だが、他の何かも気にして欲しかった」
幸いにも、火口からは距離がある。防火服がなくても、皮膚は焼けないし、翡翠がいれば、何かあってもすぐに逃げられる。ならば、まぁいいのか。
「気が利かなくて、ごめんね」
「いや、翡翠のおかげで、助かった」
「別にいいの。翡翠がお兄ちゃんに用があっただけだから」
「用?」
翡翠が、監視目的以外の用があるなど、珍しいこともあったものだ。また新しい武具でも、欲しくなったのだろうか。私のなけなしの魔力をわざわざ使わせなくとも、翡翠の方こそ魔力は膨大で、魔法は得意なのだから、自分1人で作ればいいだろうに。不器用で、できないのだろうか。妹だから、甘えているのだろうか。練習するなりなんなり、勝手になんとかして欲しいものだ。
「お兄ちゃんに、言いたいことがあるの。言わずに済まそうと思ってたんだけど、時々ちょっとツラくなる時があってさ」
「そうか。聞くだけなら、別に構わない。こんなところに1日いるのも暇だからな」
内心、噴煙にドキドキしているのだが、格好悪いので、翡翠に悟らせてはならない。大丈夫だ。まだ涙は出ていない。
「翡翠ね。お兄ちゃんのことが、大好きなんだ。ずっとずっと大好きだったの」
「?! そ、そうか。今日は、エイプリルフールの日だからな」
翡翠は、とても可愛らしかった。とても心がえぐられた。段々と扱いが雑になっていたような気がするが、翡翠は大切な妹である。かつては、双子のように思っていた。なのに、こんなに直球で嫌いと宣言されるとは、少し大分、かなり落ち込んだ。片目から、涙がこぼれた。
「お兄ちゃんが、どうして死なないように改造されたのか、知らないでしょう。あれはね、お兄ちゃんが大切だから守りたかったって意味も勿論あるんだけど、どちらかというと、翡翠の寿命に合わせるためなんだよ。翡翠の寿命の方が、圧倒的に長いから、いつまでも添い遂げられるように、お兄ちゃんの寿命が伸ばされた延長線のついでなの」
「え?」
「親が勝手に決めただけのことなんて、お兄ちゃんにとっては、何の価値もないことだろうけど、お兄ちゃんと翡翠は、許婚なんだよ」
「なんだ、と?」
翡翠は、私の乳母がしたいという理由で、ママが産んだ子だ。そんな理由で! という気持ちも、おかげで生を得られたという部分もある。当初の理由はどうあれ、ママは翡翠を可愛がっているから、翡翠も気にしていない。村総出で、母を祀りあげている環境だ。母の子の乳母に選ばれることは、誉れなことなのだ。だから、それが当たり前のように受け入れられたのだろう。だが、ママは誰よりも母を心酔していて、翡翠を可愛がっているのだ。母の子である私と娶せようとすることに、何の疑問も持てなかった。
「それは、、、」
ずっと翡翠と仲良くやっていたつもりだが、ここ最近の私の所業を思うと、目も当てられなかった。娼館のことを怒り狂っていた翡翠が理解できなかったのだが、妹ではなく、婚約者であったなら納得がいった。エスメラルダとのことは、どのように見ていただろうか。
翡翠が他所の男にそんな扱いを受けていたならば、兄として私は糾弾しただろう。だが、今回は、その男が自分なのだ。文句を言うのは馬鹿げているし、私には翡翠を受け入れる余地はない。
「ばぁ~か。ウソだよ。引っかかった~」
張り詰めた顔を見せていた翡翠が、くすくす笑い出した。
「ウソ?」
「エイプリルフールの嘘は、こういう風に吐くものなんだよ」
「そうか。そうなのか。知らなかった」
「どきどきした?」
「心が痛かった。ウソで良かった」
「ウソを信じさせるコツはね、本当を混ぜることなんだって」
「え?」
翡翠は、手を振って消えた。
「翡翠? 翡翠? なんで? どうやって帰るんだよ!」
私は、フィドルを抱えて草を喰み、泣きながら歩いて帰った。太陽と星の位置を見れば、家の方角はわかるが、絶望的な距離もわかる。だから、帰る術を教えてくれたお父様には、まったく感謝の気持ちは起きなかった。
家にたどり着くと、エイプリルフールどころか4月も終わっていたようだが、もうどうでも良かった。エスメラルダの顔をもう一度拝めただけで、幸せだ。もう2度と翡翠の話なんて聞くものかと思いつつ、エスメラルダに甘やかされて傷を癒した。
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