短編集

名前

おーいと私を呼ぶ声がした、うん、この声は

「やっほ～、昨日ぶり！元気してた？」

「あっ、やっぱり凛子だったか～。私は元気だけどさ、どうしたん？なんかあった？朝の待ち合わせ場所にこなかったし。風邪でも引いたのかと心配したよ。」

「ごめんね～心配かけてさ。うちは元気だよ。」

「それならよかったけど、でなんだったの？もしかして…」

「思っていることで正解と思うよ～。寝坊したの、てへぺろ！」

「やっぱり……もう！」

「さーせん」

こいつ、悪いとぜったーいに思ってないだろとすねながら歩く帰り道、相も変わらず幼馴染と二人きり。寝坊の多いこの困ったちゃんをどうしてくれようと思いつつ、じゃれあっているといつの間にかもうすぐ分かれ道。

「宿題多すぎなーい？もう嫌だー！」

「ほんとそれ。あっ、もうこんなとこかー。それじゃあ、明日こそ寝坊すんなよ！」

「うぃー気を付けるよ、あんり。」

「はぁん？大丈夫？ボケが進んだの？あいりだから、前田  あ い り！！」

「めんごめんご、間違えたった♪気を付けるよ『あいり』ちゃん。…………またね。」

凛子は逃げる様に足早に帰っていった。あいつ一体何なんだよ。私の名前間違えるなんて、いったい何年一緒にいると思ってやがる。はっはーんさては誰かと間違いやがったのか？さっき聞きそびれた。明日問い詰めてやろーっと。


あいりが帰り道を急ぐその頃、

「うぉ～、どうしよーう。あいりに連絡入れるの忘れてた～！風邪で休んでおりましたと素直に言えば許してもらえるかな～？はぅーん、やっぱり、怖いよ～う。とりあえず明日だよ、明日。待たせてさーせんでした申し訳ございませぬ～って言おう。謝ろ。……はー、嫌だ。」

凛子もベッドの上




さて皆さま『名前』にはご用心。名前は自分自身を表す言葉

そんな『 名 前 』を『 誰 か 』に知られてしまった二人………………

おや、何処からか声が………







『アイり』チャﾝ『リんこ』ちャﾝ……    マ    タ     ネ