上 下
208 / 220
最終章 神造七代の創生

アザゼルとルシファー(4)

しおりを挟む
 四音ことルシファーも、奏と遥、燐、桜、陽菜のチームに合流し応戦。魔王を危険視した悪神は、いくつもの天変地異を引き起こす。



「カラスといい、貴様といい! よくも、我の塔を!!」

「みんな、くるわよ!」



 ルシファーの掛け声に全員が警戒。小型の太陽を頭上に創り、灼熱地獄を生み出す。これに、桜が反応し神器の能力にて仲間たちに守護の結果を施す。それによって行動制限を受けることなく、悪神に突貫していく燐。魔剣の威力をその身に浴びさせる。



「せやぁあああっ!」



 気合いの声と共に一太刀でまずは一本の上でを斬り落とし、二撃目で小型太陽を一刀両断してみせた。邪魔な本を持つ腕を先に斬り、多少の時間稼ぎで太陽を沈めることにしたのだ。



「やはり、意味がないか。面倒な」



 忌々しい、と言いたげな表情の燐。太陽を失い、腕をダーインスレイヴの斬撃を受けても、復活し次なる攻撃が襲う。今度は極寒、視界を真っ白に染める猛吹雪を引き起こし、身動きを封じに掛かる。おまけに、足元から氷結していく始末。



「ヒナも、頑張る!」



 しかし、陽菜の治癒が役に立つ。全員に淡い光が全身を包み、凍死を未然に防ぐ。

 視界が悪い仲、ルシファーが動く。



「この程度で、どうにかできるなんて思わないことね。悪神」



 小さな魔力の球体を創り、猛吹雪を吸い込み始めた。掃除機のように、強力な吸引力で見る見る吸い込み、視界が晴れた瞬間に奏と遥が動く。



「行くよ、遥!」

「うん!」



 奏を前衛に、後衛を遥が務める。奏の周りに二匹の龍を従え悪神へ向かっていく。背後から、水鉄砲を構える遥は迷いなく黒炎の弾丸を撃つ。

 悪神の機体に全弾命中。懐に飛び込む奏と、龍による連続殴打と頭突き。龍の胴体は奏を護り、奏は黒炎を拳に纏わせ殴り続ける。



「はあっ!」

「くっ……! 邪魔な、ウロボロスが!」

「奏に触れさせない!」

「うぐっ!? ま、また弾丸か!」



 前方からは奏が殴り続け、後方からは遥が撃つ弾丸でその場から動けない悪神。攻撃を入れようにも、拳も武器も龍たちの胴体が完璧に防ぎ、奏に一切の攻撃が入らない。そこへ燐も参戦、背後から斬って掛かる。



「……っ! 舐めるでないわ!!」



 けれど、そう簡単にはいかないもの。二本の腕が燐の斬撃を受け流し反撃に出た。瞬時に剣を生み、手に持つと乱れ突きを繰り出し剣同士による甲高い音と火花が散る。



「くっ……! まだだ!」



 乱れ突きを防ぎつつ、燐も負けじと斬撃を繰り出す。どちらも引かず攻防戦だ。奏と龍たちによる殴打と遥の撃つ弾丸にも耐え続け、背後では燐と斬り合い三人がかりでも破壊ができない。



「――――――ッ!」



 悪神は、遥の弾丸を手にする本の一節を読み上げ嵐で打ち消し、ルシファーから放たれる魔力の塊を落雷で相殺する。



「打ち消された!?」

「やってくれるわね!」



 遥とルシファーも、天変地異を簡単に引き起こせるあの白一色のカバーをした本、『世界の出来事』の複製本が非常に厄介だと改めて知らしめられる。

 アザゼル側と戦う悪神同様に、こちらの悪神も焦りが募り余裕がなくなっていく。向こうと同じことを考える。



(このままでは、オリジナルの降臨が邪魔だけではなく、不可能に陥ってしまうではないか……!?)



 そうなれば、悪神の計画は完全に頓挫してしまうだろう。



(ふ、ふざけるでないっ! そんなこと、起きてなるものか! 我は、神ぞ! 邪魔立ては許さん!!)



 ならば手段を選んでいる場合ではない。

 奥の手を使ってでも、ここにいる全員を殺すと決め動く悪神だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...