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第二部 第七章 終わりの始まり
悪神の子たる三男(4)
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虫の死骸で生み出されたソンビを駆除しているのはアザゼルと四音。
「やれやれ、ブンブンとうるさい虫だな」
アザゼルは、軽く光の槍で振り払い消滅させていく。
「はいはい、文句言わずに手を動かして。アザゼル」
魔力の球を放ち消し飛ばす四音。
二人からしてみれば肩慣らしにすらならないか。まあ、数は無尽蔵に増えていくがそれも問題ないだろ。
その元である、蜘蛛が糸を張り巣を作りそのお尻から虫が湧いて出てくるこれを断てばいい。蜘蛛の大きさは、およそ一メートルくらいか。
「お前さんか。よっと」
アザゼルが先に巣の四方を斬り、落下していく蜘蛛を四音の魔力が飲み込み消滅。
「はい、終わり」
雑魚処理が終わった二人も傍観するようだ。さて、植物と戦うのは紅と東雲先輩だ。
こちらもこれといって苦戦はしていない。ただ、粘液を垂れ流す触手に触れたくないようで距離を保ちつつ攻撃を入れていく。
「大蛇、植物本体を喰らえ」
紅は八岐大蛇に命じ、暴れまわる触手ではなく植物本体を狙う。
「フェニックス、触手を全て燃やして構わない」
東雲先輩は、フェニックスに触手を全て燃やすよう命じ業火を浴びさせる。炎を受け燃えながらそれでいて、ウネウネと毛虫みたいな動きで気持ち悪い触手だな。
フェニックスの火は、消えることなく灰へと変わるまで燃え続けた。本体も、八岐大蛇が喰らいあとを残さない。
これで、残るは三男だけ。こちらは燐と神前先輩が相手をしている。
雑魚のよう簡単には倒せないだろうな。なにせ、悪神の子だからなと思いきや、二人の刀身が三男の腕を斬り落とし燐の赤い炎と、レヴィアタンの水で機体が吹き飛び地面を転がる。
全身燃え上がり、水を浴び機械の体から火花が散り感電。
「「………………」」
これには、燐と神前先輩も顔を見合わせなんとも言えない表情。悪神の子、と言うからそれなりに強いと思っていたが、これでは期待外れもいいところ、そんな風に言いたげな二人。
俺もそれは思った。弱すぎないか? こいつ、本当に悪神の子か? と疑いたくなる。
三男は笑いながら「やりますね」と。
「まさか、この吾をここまで追い込むとは。さすが巫女と神殺し」
その言葉に燐は手を顔の前で振りながら、
「いや、お前が弱いだけだと思うが……」
神前先輩はため息を吐き出す。
「あんた、本当にあの悪神の子なわけ? 脆いは、弱いはで話にならないわ」
つまらなそうに言い放つ。
それに対して三男は、いつまでもヘラヘラと笑うだけ。
……気に入らない笑みだ。腕を失くしても、ヘラヘラと不愉快な奴だな。
「へへっ。そりゃあ、子の中で一番弱いから吾は。でもさ、これが本気だと思われるのは心外だなあ」
首をポキポキ鳴らし立ち上がると、斬り落とした腕が三男の元に飛んでくる。断面がくっつき、自動修理が始まり数秒で直った。
この光景に誰もが思い出す。
悪神と同じ再生力を、頭に浮かべ目つきが鋭くなる。
特に、俺の目は憎悪と恨み、辛み、殺意が込もる。忌々しく憎たらしい再生能力! やはり、それも受け継いでいたか!
肩を回し確かめると三男は、二人に向かって告げた。
「強いな。あっ、そうだ! 兄上たちにお願いして持って帰ろう! それで、吾の子を孕ませる母体にしてやる。巫女と神殺しの機械人形が産まれるぞ!」
……あ? このクソ機械は何を言い出す? 機械の分際で、生殖機能でもあるのか? だとしたら、不愉快を通り越して怒りが込み上げてくる発言だな。俺なら即刻、ぶち殺す。
三男のクソッたれな言葉に、俺と同じ不愉快もあれば不快感を顕にした二人がキレた。
「ふざけるなっ! 誰がお前の子など産むものか! お前に触れられることさえ虫酸が走る! ここでダーインスレイヴの贄にしてやるっ!」
燐が構える魔剣ダーインスレイヴに火を纏わせ吠える。
神前先輩も、目尻を吊り上げこめかみに青筋を立て言い放つ。
「気持ち悪いわ。私を抱けるとか思われてることも気に入らない! 挙げ句、子を産め? 舐めてんじゃないわ! 私の全てはヒナのもので、貴様に与えるものはないのよ! その腐った口諸共、体をバラバラに解体してやるわ!」
おー、おー。初めて見るな、二人のキレっぷり。これに誰も手を出さないでおこう、と見守る。ただ一人、立花先輩だけは神前先輩にエールを送る。
「真冬ちゃん、頑張って。負けちゃ、ダメだよ? 真冬ちゃんは、ヒナの真冬ちゃん、だから。絶対に、勝ってね」
こちらこちらで、相変わらずのようで何より。
二人の怒りを受けてより一層に燃えてきたのか、三男は甲高い声で笑いながら人形から形態が変化する。
「ふふっ、ははははははははっ! いいね、いいね!!」
両腕と両脚が剣の形へ、背中からはロケットランチャーを展開。
これは、また歪な姿だな。第二形態とでも言うのか。
第二戦が切って落とされた。
「やれやれ、ブンブンとうるさい虫だな」
アザゼルは、軽く光の槍で振り払い消滅させていく。
「はいはい、文句言わずに手を動かして。アザゼル」
魔力の球を放ち消し飛ばす四音。
二人からしてみれば肩慣らしにすらならないか。まあ、数は無尽蔵に増えていくがそれも問題ないだろ。
その元である、蜘蛛が糸を張り巣を作りそのお尻から虫が湧いて出てくるこれを断てばいい。蜘蛛の大きさは、およそ一メートルくらいか。
「お前さんか。よっと」
アザゼルが先に巣の四方を斬り、落下していく蜘蛛を四音の魔力が飲み込み消滅。
「はい、終わり」
雑魚処理が終わった二人も傍観するようだ。さて、植物と戦うのは紅と東雲先輩だ。
こちらもこれといって苦戦はしていない。ただ、粘液を垂れ流す触手に触れたくないようで距離を保ちつつ攻撃を入れていく。
「大蛇、植物本体を喰らえ」
紅は八岐大蛇に命じ、暴れまわる触手ではなく植物本体を狙う。
「フェニックス、触手を全て燃やして構わない」
東雲先輩は、フェニックスに触手を全て燃やすよう命じ業火を浴びさせる。炎を受け燃えながらそれでいて、ウネウネと毛虫みたいな動きで気持ち悪い触手だな。
フェニックスの火は、消えることなく灰へと変わるまで燃え続けた。本体も、八岐大蛇が喰らいあとを残さない。
これで、残るは三男だけ。こちらは燐と神前先輩が相手をしている。
雑魚のよう簡単には倒せないだろうな。なにせ、悪神の子だからなと思いきや、二人の刀身が三男の腕を斬り落とし燐の赤い炎と、レヴィアタンの水で機体が吹き飛び地面を転がる。
全身燃え上がり、水を浴び機械の体から火花が散り感電。
「「………………」」
これには、燐と神前先輩も顔を見合わせなんとも言えない表情。悪神の子、と言うからそれなりに強いと思っていたが、これでは期待外れもいいところ、そんな風に言いたげな二人。
俺もそれは思った。弱すぎないか? こいつ、本当に悪神の子か? と疑いたくなる。
三男は笑いながら「やりますね」と。
「まさか、この吾をここまで追い込むとは。さすが巫女と神殺し」
その言葉に燐は手を顔の前で振りながら、
「いや、お前が弱いだけだと思うが……」
神前先輩はため息を吐き出す。
「あんた、本当にあの悪神の子なわけ? 脆いは、弱いはで話にならないわ」
つまらなそうに言い放つ。
それに対して三男は、いつまでもヘラヘラと笑うだけ。
……気に入らない笑みだ。腕を失くしても、ヘラヘラと不愉快な奴だな。
「へへっ。そりゃあ、子の中で一番弱いから吾は。でもさ、これが本気だと思われるのは心外だなあ」
首をポキポキ鳴らし立ち上がると、斬り落とした腕が三男の元に飛んでくる。断面がくっつき、自動修理が始まり数秒で直った。
この光景に誰もが思い出す。
悪神と同じ再生力を、頭に浮かべ目つきが鋭くなる。
特に、俺の目は憎悪と恨み、辛み、殺意が込もる。忌々しく憎たらしい再生能力! やはり、それも受け継いでいたか!
肩を回し確かめると三男は、二人に向かって告げた。
「強いな。あっ、そうだ! 兄上たちにお願いして持って帰ろう! それで、吾の子を孕ませる母体にしてやる。巫女と神殺しの機械人形が産まれるぞ!」
……あ? このクソ機械は何を言い出す? 機械の分際で、生殖機能でもあるのか? だとしたら、不愉快を通り越して怒りが込み上げてくる発言だな。俺なら即刻、ぶち殺す。
三男のクソッたれな言葉に、俺と同じ不愉快もあれば不快感を顕にした二人がキレた。
「ふざけるなっ! 誰がお前の子など産むものか! お前に触れられることさえ虫酸が走る! ここでダーインスレイヴの贄にしてやるっ!」
燐が構える魔剣ダーインスレイヴに火を纏わせ吠える。
神前先輩も、目尻を吊り上げこめかみに青筋を立て言い放つ。
「気持ち悪いわ。私を抱けるとか思われてることも気に入らない! 挙げ句、子を産め? 舐めてんじゃないわ! 私の全てはヒナのもので、貴様に与えるものはないのよ! その腐った口諸共、体をバラバラに解体してやるわ!」
おー、おー。初めて見るな、二人のキレっぷり。これに誰も手を出さないでおこう、と見守る。ただ一人、立花先輩だけは神前先輩にエールを送る。
「真冬ちゃん、頑張って。負けちゃ、ダメだよ? 真冬ちゃんは、ヒナの真冬ちゃん、だから。絶対に、勝ってね」
こちらこちらで、相変わらずのようで何より。
二人の怒りを受けてより一層に燃えてきたのか、三男は甲高い声で笑いながら人形から形態が変化する。
「ふふっ、ははははははははっ! いいね、いいね!!」
両腕と両脚が剣の形へ、背中からはロケットランチャーを展開。
これは、また歪な姿だな。第二形態とでも言うのか。
第二戦が切って落とされた。
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