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第二部 第七章 終わりの始まり
最愛の人との再開(4)
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ベッドの上で、俺自身のことはむろん、この半年間に何か起きあったのか語る。
「美哉の察しの通り、俺は蘇生するために己の命を使った。こうして生き長らえているのは、相棒たちが寿命を分け与えてくれたお陰だ。それ以外にも――」
肉体は人間のではなく神の子に近いものへ、代償に支払った左足も再生させ元通り、相棒たちの能力を自らが使うことが可能になったこと。
新しい仲間の、双葉奏と二条遥のことも話す。
「そして、世界は悪神によって崩壊し今や塔の建設のため生み出した機械人形に拉致られ奴隷になっている。抵抗する者や反逆を企てる者は処刑され、女たちは機械人形を産み落とす母体に」
「まさか、半年でそんなことに……。街は?」
「街は崩壊した。この国だけではなく、世界全土が悪神によって破壊されたとアザゼルたちから聞いた。何割かは残っているそうだが。神山町は、始まりの街で特に被害が酷く、ここに住んでいるのは俺たちだけ。家が無事なのは、桜の結界のお陰だな。物資の調達や情報は、仲間が集めてくれたものだ」
その他のこと、俺は街を徘徊し機械人形を片っ端から殺し尽くし、ついでに己を鍛えるのに利用していること。それが現状だと、美哉に教える。
「美哉の方はどうだ? どこか異常はないか?」
美哉は、目覚めたばかりで体の心配をする。
「私の方は……これといって特に異常はないですよ。体の方も軽いですし、頭もスッキリしている感覚です。むしろ、今すぐにでも動き回りたいくらいです」
「それはダメだ」
間髪入れず拒否する。
腕を回し、笑顔で答える美哉の表情は俺の言葉に不満気に。そんな顔をしても、ダメなものはダメだ。いくら、本人が異常はないと言っても今日一日はおとなしくしてもらう。
「どうしてですか? 私は大丈夫ですよ?」
「ダメだ。今日一日は、大人しくしていろ」
と言い、美哉をベッドから下ろさない。
「むぅ……。ずっと、眠っていたのでもう寝るのは飽きました。それに、燐や桜たちにも会いたいのに」
寝るのに飽きた、ってな……。なんだ、その幼い子供みたいな言い分は。まあ、昔からダメだと言って素直に聞く性格ではないのは知っているが。
「今日じゃなく、明日でも問題ない。美哉、俺の許可なしで部屋を出るな。いいな?」
「夏目がいじわるです……」
「ヘル、飲み物と軽く食べられる物を用意してくれ」
「お任せを、です」
ヘルは、俺の頼みごとに立ち上がり部屋を出て行く。
美哉は美哉で、不満気に頬を膨らませ訴えるが俺には全く効かない。
以前の俺なら、美哉の押しに負けてその強引さに折れるだろうな。だが、今の俺にそれはもう通じないぞ?
「おかしいですね……。私の強引さにいつもは負けるはずの夏目が、表情も変わらずダメなものはダメの一点張りとは……」
ぶつぶつ、と言う美哉。きっと、どうやってこの状況を変えるか考えているのだろうな。
ヘルがトレイを持って戻ってきた。
「さあ、美哉様。どうぞ」
「ありがとうございます。ヘル」
お茶と、たまごがゆだ。半年ぶりの食事に、美哉の表情が緩む。その姿に、俺も相棒たちもようやく張り詰めていた糸が切れ頬が緩んだ。
そうして、食事が済み休む美哉なのだが、やはり体を動かしたくて仕方がないのかそわそわしている。
俺は、その様子を椅子に座り分厚い神話や伝承などを書き記した本を読みながら横目で観察。
ヘルは、美哉の体を拭くための準備に取り掛かり、フェンリルとヨルムンガンドも妹の手伝い。お湯を張った桶とタオルを持って戻ってくる。本を閉じ、受け取る。
「夏目、こんなことをせずともお風呂に入れば早いですよ?」
と、部屋から出る口実を述べる美哉に笑って拒否。
「何度も言ってるだろ? ダメなものはダメだ。いくら本人が元気で大丈夫と言おうが、目覚めたばかりだろう。今日はおとなしく世話されろ」
「では、主様。あとはよろしくです。わたくしと兄様たちはお暇しますので。美哉様も、おとなしくしていてくださいです!」
「美哉、主の言うことは聞くものだ。おとなしくしているがよい」
「そうだよ。半年も眠っていたんだもん、いきなり動いたりしたら危ないよ」
「うっ……。分かりました……」
兄妹に言われてしまい諦める他ない美哉だった。
そうして、部屋に二人きり。ベッドの上で服を脱ぎ背中を見せる美哉と、ヘルが用意してくれたタオルで体を拭いていく。
「……なんだか、手慣れていませんか。夏目?」
「そうか? ま、眠っている間もヘルと協力して毎日、こうして体を拭いていたからな。それでそう感じるんだろ」
「そ、そうですか……」
俺の返答に、驚きつつも気恥ずかしくなった美哉。
ふむ、何故だろうな。反応や仕草で美哉の考えていることが分かるのは? あれか、俺の命を分け与えた結果、美哉の感情が流れ込んできたとか? そんな摩訶不思議なことが起きるものなのか?
まあ、俺としては美哉の考えや感情が分かる方がずっといいが。
背中の次は、肩から腕へと背後から抱きしめる恰好で拭いていく。
「………………」
美哉の鼓動が伝わってくる。早鐘を打ち、ドキドキしてるのが手に取るように分かる。
背中から伝わる俺の体温と感触に落ち着かないようだ。これはこれで楽しくなってきた。
両腕を拭き終えると美哉へ、
「前を向け」
「い、いえ! 前は自分でしますっ!」
「俺がやるから、美哉は何もしなくていい。それより早く向け、拭けないだろ」
「…………っ!」
有無を言わさない圧を感じた美哉が顔を赤くして前を向く。
……こんな顔は初めて見たな。気恥ずかしくて、何とも言えない表情。
少し汗ばんた上半身に、タオルを持つ手で丁寧に優しく撫でるように拭いていく。その間、美哉は目を閉じ終わるのただ待つ。
「これくらいか。もう、服を着ていいぞ」
体を拭き終え、美哉にそう伝える。桶とタオルをテーブルの上に置く。背後からは、美哉の少し不満気な声が聞こえた。
「……私だけ、恥ずかしい思いをしたみたいで納得できないのはなぜでしょうか。昔ならこう、何かが起きるところなはず。それが何も起きず、あっさり終えそれも夏目は、落ち着き余裕があるように見えますし……」
納得がいかない美哉の心情、といったところか。昔を思い返せば、確かに俺が顔を真っ赤にして狼狽えるところだろうな。で、美哉が楽しむ図か。
俺が、内心で笑っていると美哉が行動に起こした。
「えいっ!」
「ん?」
背中に抱きつき、服越しとはいえここぞとばかりに自慢の胸を押しつけ手は胸元を撫で、耳元で俺の名を甘く囁き誘惑する。
「夏目……」
「…………」
相変わらず、大胆といか誘惑に力を入れるな。これなら昔同様に、顔を赤くして慌てることだろうと考えたわけか。
残念。この程度じゃ、もう顔を赤くすることも慌てることもない。むしろ、そそられるし我慢できなくなるだろ。
撫でる美哉の手を取り、向き直る俺と目が合う。
「あ、あれ……?」
美哉は困惑する。反応が違うと。
きっと、俺は笑っているだろう。それも、嬉しそうに。
なにせ、美哉に誘惑されることを待っていたんだ。美哉の手を口元に持ってくるとキスを、そして指を甘噛みし至近距離で見つめ言う。
「困った恋人だな。目覚めたばかりだと言うのに、おとなしくしてくれないとは。誘惑するほど体力があるのなら、それに応えるのも俺の役目だよな?」
「あ、あの夏目……? わ、私の知っている反応と違う気がするのですが……?」
「それはそうだろ。半年、俺はずっと待っていたんだぞ? 美哉に触れたくて、声が聞きたくて、ずっとずっと我慢していたんだ。今も、起きたばかりの美哉に負担をかけないよう心がけているというのに、そんな俺を誘惑してくるんだ。我慢する必要なんてないだろ?」
「――っ!? え、えっと、そのこれは……!」
俺の言い分に、困惑してたじろぐ美哉。視線が彷徨い、顔がますます赤くなっていく。
そんな可愛らしい反応をする美哉に、俺は余裕の笑みを作り抱き寄せお返しといわんばかりに耳元で言う。
「最初だけは優しくする。お互い初めてだし、でもそのあとは遠慮はいらないか。美哉も昔から望んでいたことだ。体力もあり余っているみたいだしな、おとなしくさせるにはちょうどいいだろ?」
「ひゃうっ……!? そ、それはっ……」
耳まで真っ赤にし潤んだ瞳で見上げ、俺の腕の中で小さくなっていく美哉。
ああ、ゾクゾクして本当に堪らないなその顔! めちゃくちゃにしたくなる! 蕩け、乱れ、ドロドロに心身共に溶かしたくなる!
美哉の手を取ると、ある箇所へと持っていき触れさせる。
「――――っ!!」
「フフッ……」
その感触に、ますます顔を茹でダコのように赤くさせ目を丸くさせる。触れさせた美哉に指に、それは嬉しく興奮のあまり震えた。俺は、もう抑えが効かず舌舐めずりし心底、楽しむ。
これでは、以前の立場が真逆の図だな。
「な、ななっ、夏目……!?」
「逃さないぞ、美哉」
ベッドに押し倒し身動きが取れない美哉に覆い被さる。視界に、上半身は何も身に着けていない裸体が晒される。美しく、傷もない白い肌。
ゴクリッ、と生唾を飲み込む。見ただけで、興奮が高まり俺のアレも硬さを増す。
「あっ、んっ……」
まさか、自分が巻いた種が予想とは違う展開になるとは思いもしなかった美哉は、何も言えずただ俺を見つめるだけ。
俺はというと、ようやく己の想いも欲望も成就することに心の底から歓喜していた。
「美哉……」
「な、夏目……」
見つめ合い、美哉の腕が伸び俺の首に回す。それが切っ掛けとなり、抱きしめ互いの熱が交わった――。
「美哉の察しの通り、俺は蘇生するために己の命を使った。こうして生き長らえているのは、相棒たちが寿命を分け与えてくれたお陰だ。それ以外にも――」
肉体は人間のではなく神の子に近いものへ、代償に支払った左足も再生させ元通り、相棒たちの能力を自らが使うことが可能になったこと。
新しい仲間の、双葉奏と二条遥のことも話す。
「そして、世界は悪神によって崩壊し今や塔の建設のため生み出した機械人形に拉致られ奴隷になっている。抵抗する者や反逆を企てる者は処刑され、女たちは機械人形を産み落とす母体に」
「まさか、半年でそんなことに……。街は?」
「街は崩壊した。この国だけではなく、世界全土が悪神によって破壊されたとアザゼルたちから聞いた。何割かは残っているそうだが。神山町は、始まりの街で特に被害が酷く、ここに住んでいるのは俺たちだけ。家が無事なのは、桜の結界のお陰だな。物資の調達や情報は、仲間が集めてくれたものだ」
その他のこと、俺は街を徘徊し機械人形を片っ端から殺し尽くし、ついでに己を鍛えるのに利用していること。それが現状だと、美哉に教える。
「美哉の方はどうだ? どこか異常はないか?」
美哉は、目覚めたばかりで体の心配をする。
「私の方は……これといって特に異常はないですよ。体の方も軽いですし、頭もスッキリしている感覚です。むしろ、今すぐにでも動き回りたいくらいです」
「それはダメだ」
間髪入れず拒否する。
腕を回し、笑顔で答える美哉の表情は俺の言葉に不満気に。そんな顔をしても、ダメなものはダメだ。いくら、本人が異常はないと言っても今日一日はおとなしくしてもらう。
「どうしてですか? 私は大丈夫ですよ?」
「ダメだ。今日一日は、大人しくしていろ」
と言い、美哉をベッドから下ろさない。
「むぅ……。ずっと、眠っていたのでもう寝るのは飽きました。それに、燐や桜たちにも会いたいのに」
寝るのに飽きた、ってな……。なんだ、その幼い子供みたいな言い分は。まあ、昔からダメだと言って素直に聞く性格ではないのは知っているが。
「今日じゃなく、明日でも問題ない。美哉、俺の許可なしで部屋を出るな。いいな?」
「夏目がいじわるです……」
「ヘル、飲み物と軽く食べられる物を用意してくれ」
「お任せを、です」
ヘルは、俺の頼みごとに立ち上がり部屋を出て行く。
美哉は美哉で、不満気に頬を膨らませ訴えるが俺には全く効かない。
以前の俺なら、美哉の押しに負けてその強引さに折れるだろうな。だが、今の俺にそれはもう通じないぞ?
「おかしいですね……。私の強引さにいつもは負けるはずの夏目が、表情も変わらずダメなものはダメの一点張りとは……」
ぶつぶつ、と言う美哉。きっと、どうやってこの状況を変えるか考えているのだろうな。
ヘルがトレイを持って戻ってきた。
「さあ、美哉様。どうぞ」
「ありがとうございます。ヘル」
お茶と、たまごがゆだ。半年ぶりの食事に、美哉の表情が緩む。その姿に、俺も相棒たちもようやく張り詰めていた糸が切れ頬が緩んだ。
そうして、食事が済み休む美哉なのだが、やはり体を動かしたくて仕方がないのかそわそわしている。
俺は、その様子を椅子に座り分厚い神話や伝承などを書き記した本を読みながら横目で観察。
ヘルは、美哉の体を拭くための準備に取り掛かり、フェンリルとヨルムンガンドも妹の手伝い。お湯を張った桶とタオルを持って戻ってくる。本を閉じ、受け取る。
「夏目、こんなことをせずともお風呂に入れば早いですよ?」
と、部屋から出る口実を述べる美哉に笑って拒否。
「何度も言ってるだろ? ダメなものはダメだ。いくら本人が元気で大丈夫と言おうが、目覚めたばかりだろう。今日はおとなしく世話されろ」
「では、主様。あとはよろしくです。わたくしと兄様たちはお暇しますので。美哉様も、おとなしくしていてくださいです!」
「美哉、主の言うことは聞くものだ。おとなしくしているがよい」
「そうだよ。半年も眠っていたんだもん、いきなり動いたりしたら危ないよ」
「うっ……。分かりました……」
兄妹に言われてしまい諦める他ない美哉だった。
そうして、部屋に二人きり。ベッドの上で服を脱ぎ背中を見せる美哉と、ヘルが用意してくれたタオルで体を拭いていく。
「……なんだか、手慣れていませんか。夏目?」
「そうか? ま、眠っている間もヘルと協力して毎日、こうして体を拭いていたからな。それでそう感じるんだろ」
「そ、そうですか……」
俺の返答に、驚きつつも気恥ずかしくなった美哉。
ふむ、何故だろうな。反応や仕草で美哉の考えていることが分かるのは? あれか、俺の命を分け与えた結果、美哉の感情が流れ込んできたとか? そんな摩訶不思議なことが起きるものなのか?
まあ、俺としては美哉の考えや感情が分かる方がずっといいが。
背中の次は、肩から腕へと背後から抱きしめる恰好で拭いていく。
「………………」
美哉の鼓動が伝わってくる。早鐘を打ち、ドキドキしてるのが手に取るように分かる。
背中から伝わる俺の体温と感触に落ち着かないようだ。これはこれで楽しくなってきた。
両腕を拭き終えると美哉へ、
「前を向け」
「い、いえ! 前は自分でしますっ!」
「俺がやるから、美哉は何もしなくていい。それより早く向け、拭けないだろ」
「…………っ!」
有無を言わさない圧を感じた美哉が顔を赤くして前を向く。
……こんな顔は初めて見たな。気恥ずかしくて、何とも言えない表情。
少し汗ばんた上半身に、タオルを持つ手で丁寧に優しく撫でるように拭いていく。その間、美哉は目を閉じ終わるのただ待つ。
「これくらいか。もう、服を着ていいぞ」
体を拭き終え、美哉にそう伝える。桶とタオルをテーブルの上に置く。背後からは、美哉の少し不満気な声が聞こえた。
「……私だけ、恥ずかしい思いをしたみたいで納得できないのはなぜでしょうか。昔ならこう、何かが起きるところなはず。それが何も起きず、あっさり終えそれも夏目は、落ち着き余裕があるように見えますし……」
納得がいかない美哉の心情、といったところか。昔を思い返せば、確かに俺が顔を真っ赤にして狼狽えるところだろうな。で、美哉が楽しむ図か。
俺が、内心で笑っていると美哉が行動に起こした。
「えいっ!」
「ん?」
背中に抱きつき、服越しとはいえここぞとばかりに自慢の胸を押しつけ手は胸元を撫で、耳元で俺の名を甘く囁き誘惑する。
「夏目……」
「…………」
相変わらず、大胆といか誘惑に力を入れるな。これなら昔同様に、顔を赤くして慌てることだろうと考えたわけか。
残念。この程度じゃ、もう顔を赤くすることも慌てることもない。むしろ、そそられるし我慢できなくなるだろ。
撫でる美哉の手を取り、向き直る俺と目が合う。
「あ、あれ……?」
美哉は困惑する。反応が違うと。
きっと、俺は笑っているだろう。それも、嬉しそうに。
なにせ、美哉に誘惑されることを待っていたんだ。美哉の手を口元に持ってくるとキスを、そして指を甘噛みし至近距離で見つめ言う。
「困った恋人だな。目覚めたばかりだと言うのに、おとなしくしてくれないとは。誘惑するほど体力があるのなら、それに応えるのも俺の役目だよな?」
「あ、あの夏目……? わ、私の知っている反応と違う気がするのですが……?」
「それはそうだろ。半年、俺はずっと待っていたんだぞ? 美哉に触れたくて、声が聞きたくて、ずっとずっと我慢していたんだ。今も、起きたばかりの美哉に負担をかけないよう心がけているというのに、そんな俺を誘惑してくるんだ。我慢する必要なんてないだろ?」
「――っ!? え、えっと、そのこれは……!」
俺の言い分に、困惑してたじろぐ美哉。視線が彷徨い、顔がますます赤くなっていく。
そんな可愛らしい反応をする美哉に、俺は余裕の笑みを作り抱き寄せお返しといわんばかりに耳元で言う。
「最初だけは優しくする。お互い初めてだし、でもそのあとは遠慮はいらないか。美哉も昔から望んでいたことだ。体力もあり余っているみたいだしな、おとなしくさせるにはちょうどいいだろ?」
「ひゃうっ……!? そ、それはっ……」
耳まで真っ赤にし潤んだ瞳で見上げ、俺の腕の中で小さくなっていく美哉。
ああ、ゾクゾクして本当に堪らないなその顔! めちゃくちゃにしたくなる! 蕩け、乱れ、ドロドロに心身共に溶かしたくなる!
美哉の手を取ると、ある箇所へと持っていき触れさせる。
「――――っ!!」
「フフッ……」
その感触に、ますます顔を茹でダコのように赤くさせ目を丸くさせる。触れさせた美哉に指に、それは嬉しく興奮のあまり震えた。俺は、もう抑えが効かず舌舐めずりし心底、楽しむ。
これでは、以前の立場が真逆の図だな。
「な、ななっ、夏目……!?」
「逃さないぞ、美哉」
ベッドに押し倒し身動きが取れない美哉に覆い被さる。視界に、上半身は何も身に着けていない裸体が晒される。美しく、傷もない白い肌。
ゴクリッ、と生唾を飲み込む。見ただけで、興奮が高まり俺のアレも硬さを増す。
「あっ、んっ……」
まさか、自分が巻いた種が予想とは違う展開になるとは思いもしなかった美哉は、何も言えずただ俺を見つめるだけ。
俺はというと、ようやく己の想いも欲望も成就することに心の底から歓喜していた。
「美哉……」
「な、夏目……」
見つめ合い、美哉の腕が伸び俺の首に回す。それが切っ掛けとなり、抱きしめ互いの熱が交わった――。
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