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第二部 第七章 終わりの始まり
世界の崩壊後(3)
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戻ってくると、あの二人は出払っていた。その間に、リュックへ寝袋とペットボトルや数枚のタオルと新品未使用の下着類、隠していたグミやお菓子を詰め込み準備完了。
「遥、終わった?」
「終わった」
「よし、今のうちに行こ」
「ん」
今、この部屋には二人しかいない。この好機を逃す手はないし、下手に目立ち要らぬ噂や争いごとに巻き込まれないよう、リュックを背負い音を立てずに扉を少し開け外を確認。
「誰もいないよね?」
「いないみたい」
誰もいないことを確認してから、足音を消し外へ出るためには地下から一階へ続く階段がある東出口に向かう。
きっと、一階へ出るとそこはもう地獄絵図と化してるよね……。
それでも、わたしと遥から見れば機械の人形より性欲にまみれた男の方がより恐ろしく厄介な存在だわ。
地下一階のこの場所は、寝具や家具を扱うお店だった。そのまま残っている家具などで身を隠しながら東階段へ。
階段付近まで来て気がつく。
「奏、ストップ」
「声?」
これは……男女の声よね? 女性の方は何だかくぐもった苦しそうな声、男性二人の声が入り交じる。
一人は息遣いが荒くもう一人は小声で「早くしろ」と。
ま、待って……! これってまさか!?
わたしの反応を見ていた遥がコクッと頷く。
卑猥な水音と、パンパンという肌同士がぶつかる音。それだけで、嫌な予感がする。
……もっと慎重に考え行動するべきだったわ。
あの男たちの会話と、ここは地下で地上に出る者は限られていること。食料を探し確保するため五、六人で決まった時間に出て行く。それまで、この東階段には誰も近寄らない。
誰も好んで危険を犯し、地上へ行く者などいるはずがない。
つまり、この時間帯なら誰にも見つからずやりたい放題ってことに。
それを考慮して行動に起こすべきだったと後悔する。だけど、地上へ行くにはここを通るしかない。他の階段はバリゲードを作り通れないようになってるのに!
「どうしよう、遥……」
「今は、あの人たちがどこかに行くのを隠れて待ってる方がいいかも」
「そうね……」
辺りを見渡しクローゼットを見つけ、その中に入り息を殺し待つことに。
なんで、わたしと遥が隠れて待つ羽目になるのよ!
でも、ここで階段付近に近づけば間違いなく襲われるだろうし。それは絶対に嫌! そんなクソみたいな展開なんて望んでないから! というか、早く終わってどっか行け! 発情サルめ!
そんなことを思いながら、しばらくすると音が消えたことにやっと終わったかと呆れつつ、様子を伺っていると部屋で一緒だった二人が階段に近づくのが隙間から見えた。
なに、お仲間みたいな関係なの?
相部屋だった女は、襲われたであろう女性に対して笑う。
「この女さ、あれやこれやと言ってくるのがうざかったんだよねー」
「だから、俺らに襲わせたのかよ。お前、鬼畜だな」
「ええ、いいじゃん別にー」
クズの集まりね! 法が機能しないからってこんなことして許されると思ってるわけ!
彼らに襲わせ、物理的に静かにさせて男共はヤれて満足し、女共は目障りな人を排除できてラッキーと?
今も笑い合うこの人間たちに対して不愉快だし軽蔑するわ!
「あ、そうだ。ここにさ、女子高生? くらいの二人が来なかった? もしかしたら見られたかも」
「「――っ!?」」
もう一人の女がそう口走り、わたしと遥は同時に息を呑む。
笑っていた三人は、
「それを早く言えよ!」
「どこで見た!?」
「ちょっ!? 見られてたらヤバいじゃん! 捜すよ!」
まずいっ……! 嫌な予感が当たるし、ここで見つかったら何をされるか!
四人が捜し始める。寝具の下を覗いたり、家具の扉を開けたりして隠れていないか確認して回っていく。
男は「近くにそれらしい奴はいなかった」と言う始末。
「ちっ! どこかに隠れてやがるのか!」
「早く見つけて黙らせておいた方がいいわね」
「まだ見てないとこ捜そう」
四人が散らばり二人を隈なく捜す。
これは……非常に面倒で厄介なことになったわ。
「奏、もうここは飛び出して一目散に階段へ駆けるしかないよ」
「遥もそう思う?」
「うん。見つかるのも時間の問題」
「だよね」
そう決意し、同時に扉を開け放ち走るわしたち!
音に気づいた四人が「いたぞ!」と叫び追いかけてくる。階段付近には、女性が一人いたが助ける余裕などなく、階段を駆け上がると彼らも上がってくる。
「なんで一緒になって、上がってくるわけ!? バカなの!?」
「告げ口されると思ってるからだと思う」
わたしの怒りに遥が簡潔に返答する。
「しないわよ! そんな面倒くさいこと!」
「彼らはそんなの知らないから」
遥ってば、なんでそんなに冷静に話せるの! いつも感情的になるわたしとは正反対!
階段を駆け上がり一階へ飛び出す。
一階は、雑貨店が並ぶけどほとんどの商品は床に散らばり、割れた物や砕け原型がない物など壊れた物だけ。
「奏、こっち」
「うん!」
そこから店の出口へ向かう。まだ諦めず追いかけてくる四人。
「ああ、もう! あいつら鬱陶しい!」
そう毒つくわたしたちの前にさらなる面倒ごとが待ち受けていた。それは、雑貨店に二体の機械人形がいたの! ていうか、なんでいるのよ!?
「ほんと最悪……」
「これは厄介なことになった」
頭を抱えそうになるわたしと、やっぱり冷静に状況を見て表情を変えずに言う遥。
駆ける足音、四人のうるさい声に二体の機械人形が気づく。
首を回し、わたしと遥を含む六人の存在をその目に捉え光った。
「遥、終わった?」
「終わった」
「よし、今のうちに行こ」
「ん」
今、この部屋には二人しかいない。この好機を逃す手はないし、下手に目立ち要らぬ噂や争いごとに巻き込まれないよう、リュックを背負い音を立てずに扉を少し開け外を確認。
「誰もいないよね?」
「いないみたい」
誰もいないことを確認してから、足音を消し外へ出るためには地下から一階へ続く階段がある東出口に向かう。
きっと、一階へ出るとそこはもう地獄絵図と化してるよね……。
それでも、わたしと遥から見れば機械の人形より性欲にまみれた男の方がより恐ろしく厄介な存在だわ。
地下一階のこの場所は、寝具や家具を扱うお店だった。そのまま残っている家具などで身を隠しながら東階段へ。
階段付近まで来て気がつく。
「奏、ストップ」
「声?」
これは……男女の声よね? 女性の方は何だかくぐもった苦しそうな声、男性二人の声が入り交じる。
一人は息遣いが荒くもう一人は小声で「早くしろ」と。
ま、待って……! これってまさか!?
わたしの反応を見ていた遥がコクッと頷く。
卑猥な水音と、パンパンという肌同士がぶつかる音。それだけで、嫌な予感がする。
……もっと慎重に考え行動するべきだったわ。
あの男たちの会話と、ここは地下で地上に出る者は限られていること。食料を探し確保するため五、六人で決まった時間に出て行く。それまで、この東階段には誰も近寄らない。
誰も好んで危険を犯し、地上へ行く者などいるはずがない。
つまり、この時間帯なら誰にも見つからずやりたい放題ってことに。
それを考慮して行動に起こすべきだったと後悔する。だけど、地上へ行くにはここを通るしかない。他の階段はバリゲードを作り通れないようになってるのに!
「どうしよう、遥……」
「今は、あの人たちがどこかに行くのを隠れて待ってる方がいいかも」
「そうね……」
辺りを見渡しクローゼットを見つけ、その中に入り息を殺し待つことに。
なんで、わたしと遥が隠れて待つ羽目になるのよ!
でも、ここで階段付近に近づけば間違いなく襲われるだろうし。それは絶対に嫌! そんなクソみたいな展開なんて望んでないから! というか、早く終わってどっか行け! 発情サルめ!
そんなことを思いながら、しばらくすると音が消えたことにやっと終わったかと呆れつつ、様子を伺っていると部屋で一緒だった二人が階段に近づくのが隙間から見えた。
なに、お仲間みたいな関係なの?
相部屋だった女は、襲われたであろう女性に対して笑う。
「この女さ、あれやこれやと言ってくるのがうざかったんだよねー」
「だから、俺らに襲わせたのかよ。お前、鬼畜だな」
「ええ、いいじゃん別にー」
クズの集まりね! 法が機能しないからってこんなことして許されると思ってるわけ!
彼らに襲わせ、物理的に静かにさせて男共はヤれて満足し、女共は目障りな人を排除できてラッキーと?
今も笑い合うこの人間たちに対して不愉快だし軽蔑するわ!
「あ、そうだ。ここにさ、女子高生? くらいの二人が来なかった? もしかしたら見られたかも」
「「――っ!?」」
もう一人の女がそう口走り、わたしと遥は同時に息を呑む。
笑っていた三人は、
「それを早く言えよ!」
「どこで見た!?」
「ちょっ!? 見られてたらヤバいじゃん! 捜すよ!」
まずいっ……! 嫌な予感が当たるし、ここで見つかったら何をされるか!
四人が捜し始める。寝具の下を覗いたり、家具の扉を開けたりして隠れていないか確認して回っていく。
男は「近くにそれらしい奴はいなかった」と言う始末。
「ちっ! どこかに隠れてやがるのか!」
「早く見つけて黙らせておいた方がいいわね」
「まだ見てないとこ捜そう」
四人が散らばり二人を隈なく捜す。
これは……非常に面倒で厄介なことになったわ。
「奏、もうここは飛び出して一目散に階段へ駆けるしかないよ」
「遥もそう思う?」
「うん。見つかるのも時間の問題」
「だよね」
そう決意し、同時に扉を開け放ち走るわしたち!
音に気づいた四人が「いたぞ!」と叫び追いかけてくる。階段付近には、女性が一人いたが助ける余裕などなく、階段を駆け上がると彼らも上がってくる。
「なんで一緒になって、上がってくるわけ!? バカなの!?」
「告げ口されると思ってるからだと思う」
わたしの怒りに遥が簡潔に返答する。
「しないわよ! そんな面倒くさいこと!」
「彼らはそんなの知らないから」
遥ってば、なんでそんなに冷静に話せるの! いつも感情的になるわたしとは正反対!
階段を駆け上がり一階へ飛び出す。
一階は、雑貨店が並ぶけどほとんどの商品は床に散らばり、割れた物や砕け原型がない物など壊れた物だけ。
「奏、こっち」
「うん!」
そこから店の出口へ向かう。まだ諦めず追いかけてくる四人。
「ああ、もう! あいつら鬱陶しい!」
そう毒つくわたしたちの前にさらなる面倒ごとが待ち受けていた。それは、雑貨店に二体の機械人形がいたの! ていうか、なんでいるのよ!?
「ほんと最悪……」
「これは厄介なことになった」
頭を抱えそうになるわたしと、やっぱり冷静に状況を見て表情を変えずに言う遥。
駆ける足音、四人のうるさい声に二体の機械人形が気づく。
首を回し、わたしと遥を含む六人の存在をその目に捉え光った。
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