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第六章 機械仕掛けの神

最終幕 神山学園壊滅07(1)

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 三方向に分かれ機械の兵器を破壊していく。だが、数は増える一方でこのままでは学園の外へ溢れ出すのも時間の問題だ。

 それを防ぐべく美哉は、そばにいるヘルに訊く。



「ヘル。グラウンド全体を氷結できませんか?」

「簡単です」



 ヘルは即答し、美哉は指示を出す。



「ならば、遠慮なくやってください!」

「はいです!」



 それにヘルは笑顔で答え、楽しげな表情となり地面に触れると瞬く間に氷結が広がり、兵器諸共に氷像へ変えてしまう。

 ヘルの行動を見ていた夏目とフェンリルもすでに準備完了。



「いくぞ、フェンリル!」

「うむ!」



 動きを封じられたところにフェンリルと夏目の必殺技が炸裂。蒼炎による一掃で溢れていた機械仕掛けの兵器は、跡形もなく焼き尽くされ灰さえも残さず。

 これには悪神も表情を歪め怒り心頭。一番、厄介なのはやはり夏目と北欧の三兄妹。狙いを夏目に絞り込み攻撃へ出る悪神の元に、紅が辿り着き八岐大蛇と完全に融合し腰から、蛇の尻尾と全身に鱗を纏い回し蹴りを見舞う。



「はっ!」

「なにっ!?」



 紅の回し蹴りを食らい吹き飛ぶ悪神。



「夏目くんを殺らせはしないよ悪神。お前は、オレと大蛇が今度こそ滅ぼす」



 声のトーンが落ち、殺気を込めた冷たい声と眼差しを向け告げる。

 紅VS悪神の一騎打ちが幕を切って落とされた。

 腕が八本の悪神は、前回同様に槍と剣の雨を降らす。紅は、鱗を夏目と同じように鎧の役割にして尻尾で降り注ぐ槍と剣を薙ぎ払い突貫。



「その攻撃は一度、見ている!」



 本を持つ手は攻撃に使えないが、残りの六本と攻防戦が始まり空中で殴り合う紅。

 悪神の攻撃を見切り、カウンターを入れ、機体の表面を確実に削ぎダメージを蓄積させていく。が、紅は内心で手応えのなさを感じ困惑する。



 ――おかしい……。ダメージが入っているはずなのに、この倒せる気がしないのはなんだ?



 そう思いながらも手を止めることはしない。殴打、蹴りを繰り返し尻尾で空中から地面へ叩き落とす。土煙を上げ、機体のあちこちにヒビ割れが入りパラパラと小さな破片が落ちていく。

 悪神は、周囲に目を配り状況を把握。召喚した機械の兵器は一割ほどしか残っておらず、紅の攻撃で機体の損傷が激しくこのままでは、世界崩壊の陣をアザゼルとルシファーに壊されかねない。



 夏目の存在も厄介だが、この紅も面倒な人間だと、毒つき睨みつける悪神と見下ろす紅のオッドアイ。



「あれを使うにはまだ早いがやむを得ない」



 そう小さく呟くと八本の手が同時に裏拍手をし始める。

 パチパチ、と十二回叩き告げる。



「我の元へ顕現せよ、愛しき子たちよ!」



 悪神の言葉に、背中の神紋が光を放ち浮かび上がる。



「今度は何を!?」



 紅の驚きをよそに、光を放つそこから二体の機械仕掛けの新たな存在が現れた。

 フォルムは悪神と同じ、違うのは腕と目の数。一つ目に腕は二本だが、その手に持つのは大剣、もう一体は鎖に繋がった柄が短く刀身が巨大な大鎌。

 悪神が自ら生み出した殺戮兵器そのもの。

 全長七メートルの二体のうち大剣を持つ機体は、東雲兄妹と燐を見てターゲットに。大鎌の機体は美哉と真冬に狙いを定め、同時に地を駆け距離を一瞬で詰める。



『――――――っ!』



 その場から散るメンバー。

 悪神は、その間にアザゼルとルシファーから片づけようと動く。が、二人を護るように立ち塞がるのは夏目と紅。



「俺たちが陣を破壊するまで持ち堪えろ!」



 アザゼルは二人に伝え、ルシファーと共に陣の破壊に取り掛かる。



「分かりました!」

「了解!」



 同時に答える。そして夏目と紅は悪神を睨みつけながら闘志を滾らせ、



「「ここで終わらせる!!」」



 と、身構え吠える――。
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