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第五章 真実に近づく者たち
神の子の三兄妹(4)
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ヒュドラーも、夏目たちの存在に気づき上空から降下し襲い掛かってくる。
「ヘル、我輩と共にヒュドラーを迎え撃つぞ! 主とヨルムンガンドは神殺しを見つけよ!」
「分かりました、兄様!」
「了解! いくぞ、ヨルムンガンド!」
「うん!」
フェンリルの指示に素早く動く。そうして、ヘルVSヒュドラー戦が始まった。
ヘルは、氷像の完成したての巨大ロボットを創り出し、手には大剣を持ち構え、氷で翼を形成しその巨躯を空へ。
フェンリルは妹の傍らに控え護りに入る。
氷像機体は、ヘルの神通力を流し遠隔操作でヒュドラーにぶつけた。尻尾を掴み取り、地面へ叩き落とす。
常に神通力を流し込み、頭の中には夏目から得られた機体の戦い方をイメージし続ける。
ヒュドラーの巨躯が、擬似空間内の建物を潰し、地面が揺れ土煙を盛大に巻き上げる。機体は着地し、剣を振り下ろすがしかしそこにヒュドラーの姿がない。
「逃げられたです!?」
「ヘル、下だ! 地面を這っておる!」
落下した箇所から逃れ、地面を這いずり機体の片脚に巻きつき全身の小さな穴かっら毒霧を撒き散らす。それは、黒い霧のように霧散し広がっていく。
巻きつかれた片脚から嫌な音とヒビが入りついには砕ける。
「ヘル!」
「負けないです!」
フェンリルがヘルの名を呼び、ヘルはすぐさま神通力を流し込み瞬時に脚を直す。手に持たせた大剣を、直した脚に未だに巻きつくヒュドラーの胴体に目掛け振り下ろし突き刺す。
「ギャァァァアアアアアアアッ!」
血飛沫が舞い、ヒュドラーの口から苦痛の声がこだまする。一度、片脚から離れ距離を取った。だが、距離が開く前に、つかさず機体を操り体当たりをぶちかます。
「やられたらやり返す、です!」
「気を抜くな、ヘル!」
「はい!」
ヒュドラーは、機体の勢いで後方に吹き飛びながらも宙で体勢を整え翼による旋風を起こし、機体にぶつけ小さな傷をつけるがこれもヘルの神通力によって元に戻る。
機体とヒュドラーが睨み合う。
「ヘルよ、ヒュドラーの翼を斬り落とし肉体を力の象徴でもある氷像に変えてしまうがよい」
フェンリルからの指示に、ヘルは頷き機体を動かす。真っ直ぐ、ヒュドラーへ突貫。
ヒュドラーも対抗すべく全身から毒霧を撒き散らすが、フェンリルの青い炎が街並みを灰にするほどの火力で燃やし尽くす。
機体が持つ大剣が翼を狙い、横から根元に刃が通り斬り落とした。
「アアアアアアアアアアアアアッ!」
激痛に大口を開け叫ぶヒュドラーは、片翼を失いバランスを崩したところにもう一方の翼にも容赦なく剣が振り下ろされ、半分に斬られ飛ぶ機能を失い地に落ちていく。
「これで終わりです!」
その掛け声と共に、ヘルの力が畳み掛けるように襲う。抵抗を許さず、一瞬でヒュドラーの全身が氷漬けとなり氷像が生まれた。
これでヒュドラーは完全に身動きが取れなくなる。
フェンリルは息を吐き出しヘルに言う。
「うむ。よくやった、我輩が直接手を貸さなくともヘル一人でやれるではないか」
「いえ、兄様が毒を無力化し指示をくれたからこそ、わたくしが勝てたものです。それに、あの人の記憶を見せてもらえなければ、わたくしが望んだこれも完成はしなかったはず。ずっと近くで監視、いえ観察させてもらえたお陰で巨大ロボットを創造してみようと考えに至ったのです。全ては、あの人と兄様たちがそばにいてくれたからです」
照れ隠しなのか少し早口で、しかし笑みを浮かべ胸を張り答えるヘル。
あの人、が誰を指すのか理解したフェンリルも笑う。
「そうか。ならば、よい」
と、一言そう口にするのだった。
「ヘル、我輩と共にヒュドラーを迎え撃つぞ! 主とヨルムンガンドは神殺しを見つけよ!」
「分かりました、兄様!」
「了解! いくぞ、ヨルムンガンド!」
「うん!」
フェンリルの指示に素早く動く。そうして、ヘルVSヒュドラー戦が始まった。
ヘルは、氷像の完成したての巨大ロボットを創り出し、手には大剣を持ち構え、氷で翼を形成しその巨躯を空へ。
フェンリルは妹の傍らに控え護りに入る。
氷像機体は、ヘルの神通力を流し遠隔操作でヒュドラーにぶつけた。尻尾を掴み取り、地面へ叩き落とす。
常に神通力を流し込み、頭の中には夏目から得られた機体の戦い方をイメージし続ける。
ヒュドラーの巨躯が、擬似空間内の建物を潰し、地面が揺れ土煙を盛大に巻き上げる。機体は着地し、剣を振り下ろすがしかしそこにヒュドラーの姿がない。
「逃げられたです!?」
「ヘル、下だ! 地面を這っておる!」
落下した箇所から逃れ、地面を這いずり機体の片脚に巻きつき全身の小さな穴かっら毒霧を撒き散らす。それは、黒い霧のように霧散し広がっていく。
巻きつかれた片脚から嫌な音とヒビが入りついには砕ける。
「ヘル!」
「負けないです!」
フェンリルがヘルの名を呼び、ヘルはすぐさま神通力を流し込み瞬時に脚を直す。手に持たせた大剣を、直した脚に未だに巻きつくヒュドラーの胴体に目掛け振り下ろし突き刺す。
「ギャァァァアアアアアアアッ!」
血飛沫が舞い、ヒュドラーの口から苦痛の声がこだまする。一度、片脚から離れ距離を取った。だが、距離が開く前に、つかさず機体を操り体当たりをぶちかます。
「やられたらやり返す、です!」
「気を抜くな、ヘル!」
「はい!」
ヒュドラーは、機体の勢いで後方に吹き飛びながらも宙で体勢を整え翼による旋風を起こし、機体にぶつけ小さな傷をつけるがこれもヘルの神通力によって元に戻る。
機体とヒュドラーが睨み合う。
「ヘルよ、ヒュドラーの翼を斬り落とし肉体を力の象徴でもある氷像に変えてしまうがよい」
フェンリルからの指示に、ヘルは頷き機体を動かす。真っ直ぐ、ヒュドラーへ突貫。
ヒュドラーも対抗すべく全身から毒霧を撒き散らすが、フェンリルの青い炎が街並みを灰にするほどの火力で燃やし尽くす。
機体が持つ大剣が翼を狙い、横から根元に刃が通り斬り落とした。
「アアアアアアアアアアアアアッ!」
激痛に大口を開け叫ぶヒュドラーは、片翼を失いバランスを崩したところにもう一方の翼にも容赦なく剣が振り下ろされ、半分に斬られ飛ぶ機能を失い地に落ちていく。
「これで終わりです!」
その掛け声と共に、ヘルの力が畳み掛けるように襲う。抵抗を許さず、一瞬でヒュドラーの全身が氷漬けとなり氷像が生まれた。
これでヒュドラーは完全に身動きが取れなくなる。
フェンリルは息を吐き出しヘルに言う。
「うむ。よくやった、我輩が直接手を貸さなくともヘル一人でやれるではないか」
「いえ、兄様が毒を無力化し指示をくれたからこそ、わたくしが勝てたものです。それに、あの人の記憶を見せてもらえなければ、わたくしが望んだこれも完成はしなかったはず。ずっと近くで監視、いえ観察させてもらえたお陰で巨大ロボットを創造してみようと考えに至ったのです。全ては、あの人と兄様たちがそばにいてくれたからです」
照れ隠しなのか少し早口で、しかし笑みを浮かべ胸を張り答えるヘル。
あの人、が誰を指すのか理解したフェンリルも笑う。
「そうか。ならば、よい」
と、一言そう口にするのだった。
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