113 / 220
第五章 真実に近づく者たち
新担任の正体は(2)
しおりを挟む
昼休み、燐と桜は隣のクラスの夏目を捜しに教室を覗くが姿はなく先に部室へ向かったのだろうと。二人も、部室へ向かい誰よりも先に来ている美哉が二人を出迎えてくれた。
「いらっしゃい。あら? 夏目は一緒ではないのですか?」
笑顔で迎え入れる美哉だったが、夏目の姿が見えないことに首を傾げる。
「あれ? てっきり先に部室へ行ってるものかと」
「教室に夏目くんの姿がなかったのでもう来ているものだと」
燐も桜も、普段の行動から部室に来ているものだと思っていた。美哉は、二人と共に来るものだと。
スマホを取り出し、夏目へメッセージを送る。
――『夏目、今どこにいますか?』
いつものならすぐに既読がつくが、今日に限ってつかない。スタンプを送っても返信はない。
美哉の反応から、夏目からの連絡がないことを察し顔を見合わせる燐と桜。
そこへ、部室の扉が開き中へ入室してきたの真冬と陽菜の二人だ。
「真冬、陽菜、いらっしゃい」
二人にも笑顔で迎え入れる美哉。ただし、視線はスマホの画面へ向いているが。そんな彼女に、真冬は楽しげな笑みを作り訊く。
「今日、新しい教師が赴任したことは知ってる?」
「ええ、知ってますよ。確か、女性の新米教師でしたよね?」
頷きながら答える。未だに、何も反応が返ってこない画面を見ながら。
「そう! その教師がすっごい美人なのよ!」
と、少し興奮気味に実際に見た感想を述べる真冬。
「巨乳で、腰もだけど手足が長く細くて高身長! おまけにエロい雰囲気を纏って。これじゃあ、男共はもう釘つけでしょうよ。藍色の髪で長い三つ編みを一本に束ね、見た目はおっとりした感じだったわ。でも、胸なんかははち切れんばかりに主張して揺れまくるし!」
などと、笑いながら言う真冬の感想が男子と変わらない目線だと、部室にいる美哉たちが口には出さないが同じことを思う。
「……それを私に伝えてに来たのですか?」
どうでもいい、と言いたげに返す美哉。
「え? だって、逢真がその新米教師に鼻の下を伸ばし、美哉よりそっちに気が向く。そんな展開が起きれば面白いからに決まってるでしょ」
なんて、美哉に煽るように目を細め笑顔で言い放つ。
その発言に、美哉も顔は笑ってはいるが目は本気で怒りへと変わっていく。
「うふふふふっ。真冬ったら、全然これっぽっちも面白くないことを言いますね。そんな展開が起きることは、天地がひっくり返ってもありえないというのに」
「あははっ! どうかしらね~? 逢真だって男だし、そういうエロしかない女に落ちるかもよ?」
ピキッ、と青筋を立てた美哉が怒りの感情を露わにする。
「真冬! そんなことはありませんっ! 夏目は、”私に”にぞっこんなんです! 相思相愛なんですっ!」
部長椅子から立ち上がり、身を乗り出し頬を膨らませ怒る姿は、子供っぽくそんな美哉を知らない燐と桜は可愛い一面だと呑気に思う。
「ぷっ、あははははははっ! 美哉が可愛いわ!」
「もうっ! 真冬!」
真冬は腹を抱え大笑いし、そのそばに寄った美哉はポカポカと叩く。
そして、その光景を黙って見守っていた陽菜が、美哉へ新米教師の情報を与える。
「でも、その新米教師、瑠々川四音って、言うんだけど、逢真くんの、クラス担任だよ」
「えっ……?」
その情報に、美哉は腕を上げた状態で固まり表情が怒りから不安と涙目に変わっていく。机の上に置いたスマホを手に取り、慌てて電話をするが夏目に繋がらない。
これには、美哉は居ても立っても居られず部室から飛び出す。
「先輩!?」
「美哉先輩!?」
美哉のあとを燐と桜も慌てて追いかけ、真冬と陽菜もついて行く。
不安やらで頭がいっぱいの美哉の背後から、陽菜が余計に不安を募らせる発言が飛ぶ。
「そう言えば、逢真くんを、資料室に行く姿と、一緒に瑠々川先生がいたの、ヒナ見たよ」
「なっ!? そ、そういうことはもっと早くに言ってください!」
廊下を歩く速度が、走る速度に変わる美哉。
風紀委員長の真冬は本来、それを注意する立場のはずが美哉の必死な様子が面白く、この先に起こる展開が楽しみすぎて「あははっ!」と声を出してずっと笑っていた。
美哉を筆頭に資料室へ向かう一行。
「いらっしゃい。あら? 夏目は一緒ではないのですか?」
笑顔で迎え入れる美哉だったが、夏目の姿が見えないことに首を傾げる。
「あれ? てっきり先に部室へ行ってるものかと」
「教室に夏目くんの姿がなかったのでもう来ているものだと」
燐も桜も、普段の行動から部室に来ているものだと思っていた。美哉は、二人と共に来るものだと。
スマホを取り出し、夏目へメッセージを送る。
――『夏目、今どこにいますか?』
いつものならすぐに既読がつくが、今日に限ってつかない。スタンプを送っても返信はない。
美哉の反応から、夏目からの連絡がないことを察し顔を見合わせる燐と桜。
そこへ、部室の扉が開き中へ入室してきたの真冬と陽菜の二人だ。
「真冬、陽菜、いらっしゃい」
二人にも笑顔で迎え入れる美哉。ただし、視線はスマホの画面へ向いているが。そんな彼女に、真冬は楽しげな笑みを作り訊く。
「今日、新しい教師が赴任したことは知ってる?」
「ええ、知ってますよ。確か、女性の新米教師でしたよね?」
頷きながら答える。未だに、何も反応が返ってこない画面を見ながら。
「そう! その教師がすっごい美人なのよ!」
と、少し興奮気味に実際に見た感想を述べる真冬。
「巨乳で、腰もだけど手足が長く細くて高身長! おまけにエロい雰囲気を纏って。これじゃあ、男共はもう釘つけでしょうよ。藍色の髪で長い三つ編みを一本に束ね、見た目はおっとりした感じだったわ。でも、胸なんかははち切れんばかりに主張して揺れまくるし!」
などと、笑いながら言う真冬の感想が男子と変わらない目線だと、部室にいる美哉たちが口には出さないが同じことを思う。
「……それを私に伝えてに来たのですか?」
どうでもいい、と言いたげに返す美哉。
「え? だって、逢真がその新米教師に鼻の下を伸ばし、美哉よりそっちに気が向く。そんな展開が起きれば面白いからに決まってるでしょ」
なんて、美哉に煽るように目を細め笑顔で言い放つ。
その発言に、美哉も顔は笑ってはいるが目は本気で怒りへと変わっていく。
「うふふふふっ。真冬ったら、全然これっぽっちも面白くないことを言いますね。そんな展開が起きることは、天地がひっくり返ってもありえないというのに」
「あははっ! どうかしらね~? 逢真だって男だし、そういうエロしかない女に落ちるかもよ?」
ピキッ、と青筋を立てた美哉が怒りの感情を露わにする。
「真冬! そんなことはありませんっ! 夏目は、”私に”にぞっこんなんです! 相思相愛なんですっ!」
部長椅子から立ち上がり、身を乗り出し頬を膨らませ怒る姿は、子供っぽくそんな美哉を知らない燐と桜は可愛い一面だと呑気に思う。
「ぷっ、あははははははっ! 美哉が可愛いわ!」
「もうっ! 真冬!」
真冬は腹を抱え大笑いし、そのそばに寄った美哉はポカポカと叩く。
そして、その光景を黙って見守っていた陽菜が、美哉へ新米教師の情報を与える。
「でも、その新米教師、瑠々川四音って、言うんだけど、逢真くんの、クラス担任だよ」
「えっ……?」
その情報に、美哉は腕を上げた状態で固まり表情が怒りから不安と涙目に変わっていく。机の上に置いたスマホを手に取り、慌てて電話をするが夏目に繋がらない。
これには、美哉は居ても立っても居られず部室から飛び出す。
「先輩!?」
「美哉先輩!?」
美哉のあとを燐と桜も慌てて追いかけ、真冬と陽菜もついて行く。
不安やらで頭がいっぱいの美哉の背後から、陽菜が余計に不安を募らせる発言が飛ぶ。
「そう言えば、逢真くんを、資料室に行く姿と、一緒に瑠々川先生がいたの、ヒナ見たよ」
「なっ!? そ、そういうことはもっと早くに言ってください!」
廊下を歩く速度が、走る速度に変わる美哉。
風紀委員長の真冬は本来、それを注意する立場のはずが美哉の必死な様子が面白く、この先に起こる展開が楽しみすぎて「あははっ!」と声を出してずっと笑っていた。
美哉を筆頭に資料室へ向かう一行。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる