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第三章
三人目 肉好き悪魔は育てた野菜も好む その六
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はあっ、はあっ……。
怒りのまま、感情的になり口にして乱れる息を整える。くそっ、貴様らの謝罪を聞けば聞くほど感情を抑えきれなくなるっ。
いつもならグレモリーがなだめてくれるが今はいない。
落ち着け、僕……。
山内は僕の吐露した言葉に、目を開き押し黙ってしまう。
「落ち着いたか? 夏目」
バアルに声をかけられ頷く。
「そうか。じゃあ、そろそろいいよな」
「ああ」
短く答えると、部屋に待機させていた紫色のヒキガエルと蜘蛛がいた。そして、山内の荷物も一緒にこの異空間に持ってきていたバアル。
バッグの中身をその場にばら撒く。
「なっ⁉ なんで、あたしのバッグをあんたが持ってるのよ!」
「あ? んなもん、決まってるだろ。夏目の復讐に必要だからだよ」
「復讐って、あたしに何をする気なの? ちゃんと全部話して謝ったじゃない! もうしないって! なのにまだあるわけ! ちょっと、あたしの物に触らないで!」
「うるせえな。そのまま固まってろ」
山内は、バッグの中身を一つずつ床に広げていくバアルに抗議し腕を伸ばす。だが、それを許すはずがなく床に這いつくばり腕を伸ばす状態で、バアルの魔力によって動きを封じられ固まる。
魔力を言葉に乗せた言霊だ。バアルが発した時点で、効果を発揮し対象を意のままにできる能力。それも力の一部だ。
「な、なんで動けないのよ⁉ どうなってるわけ⁉」
「さてと。どれどれ」
言霊で動けない山内の目の前で物色するバアル。
最初に目がいったのは手帳のよう。中身を確認すると、僕の方へ投げ渡す。
手帳を受け取り確認すると、そこには今まで遊んできた男性の名前、デートで行った場所や使わせた金額、メッセージアプリだろうかそのIDが細かに書き溜められていた。
几帳面なのは分かるが、やってることは最低の女だな。
「勝手に見てるんじゃないわよ! プライバシーの侵害よこれは!」
などと叫ぶが僕もバアルも気に留めることなく物色を続ける。
次は、コスメ類とモバイルバッテリーに手を伸ばすバアル。
それを、横一列に並べる。
「色々、持ってるんだな小娘」
「だったら何? ていうか、並べてどうするつもり?」
「香水にメイク道具、どれも高価な物のようだなこれ」
「な、なに笑って……。ちょっと、ほんと何をする気⁉ ねえってば!」
「くくっ。女ってのは、こういう道具を大切にしつつ金をかけるんだよないつの時代も。それを目の前で粉々になる瞬間を見たら、小娘はどんな顔になるんだろうな!」
「やっ! やめてっ! そこにある物、いくらしたと思ってるの! 集めるのだって一苦労したのよ!」
余計なことを言ったな。それを聞いて、バアルは壊したくて仕方がなくなるぞ。現に、悪魔らしく不気味な笑みを浮かべているし。
ああ、始まったな。破壊が。
コスメ類、口紅や目の周りを書く……なんと言ったかなアイ何とかと、何とかシャドウとかで……僕、化粧品には詳しくないから名称も分からないが。
他にも、香水や手持ちミラーなどなど踏み潰していくバアル。
「いやあっ! あたしのコスメが! やめて!」
「あはははっ! 小娘が大切にしてきた物が、俺の手で粉々になっていく様を! どんな気分だ? 自分の物を目の前で破壊され、失っていく瞬間は?」
高笑いで破壊を続けるバアル。ガラスの破片が飛び散り、中身もぶち撒け何もかも見る影もなくなっていく。
それだけでは終わらず、身につけていた高級品のアクセサリーやブランド物のバッグから財布さえも目の前で燃やし尽くす。
「あっ……、ああっ……」
「くくくっ! はははっ!」
「ふ、ふざけんな! よくも、よくもあたしの……! 許さないから! 絶対に許さないから! 最低よ、あんたたち! 全部、告白して謝ったのにこんな仕打ちとかありえない! 何があっても許してなんかやらない! 弁償させてやるわ!」
何を言うかと思えば。泣きながら目を吊り上げ睨み、何度も許さないと繰り返し言い怒りを僕とバアルにぶつける山内。
許さない、ね。それは僕の台詞だ。言ったはず、絶対に許さない、誰一人として、と。
「おいおい、何言ってんだ。これは、小娘がしてきたことが今になって返ってきた。小娘が、夏目の姉ちゃんの物を破壊してよ。それが、倍になって自分の身に戻ってきただけのことだ。謝罪して済む、許さないとか弁償とか、そんなもの小娘が言う筋合いはないだろ」
「はあ⁉ なによそれ! そんなのあんたたちの勝手な意見じゃない!」
「やれやれ。反省の色なし、か。まあ、その方がもっと楽しめそうだからいいけどよ」
「な、何を言って……」
山内の前にしゃがみ込み頭を撫でるバアル。
「へっ?」
「なあに、本番はこれからだ。小娘」
「いっ、痛い! 引っ張らないで! 髪の毛、抜けちゃうから!」
撫でていた手で、前髪を掴み上げ引っ張る。その痛みでまた泣きそうになる山内。顔を無理やり上げられ表情を歪める。
目を開けた山内の口から小さな悲鳴が。
「ひっ……⁉」
僕からでも見えた。バアルの、獲物を狙う獰猛な獣の目だ。今すぐにでも喰らいたいのを我慢して。笑みを作る唇から、人間の犬歯より鋭く太い牙が見えた。
怒りのまま、感情的になり口にして乱れる息を整える。くそっ、貴様らの謝罪を聞けば聞くほど感情を抑えきれなくなるっ。
いつもならグレモリーがなだめてくれるが今はいない。
落ち着け、僕……。
山内は僕の吐露した言葉に、目を開き押し黙ってしまう。
「落ち着いたか? 夏目」
バアルに声をかけられ頷く。
「そうか。じゃあ、そろそろいいよな」
「ああ」
短く答えると、部屋に待機させていた紫色のヒキガエルと蜘蛛がいた。そして、山内の荷物も一緒にこの異空間に持ってきていたバアル。
バッグの中身をその場にばら撒く。
「なっ⁉ なんで、あたしのバッグをあんたが持ってるのよ!」
「あ? んなもん、決まってるだろ。夏目の復讐に必要だからだよ」
「復讐って、あたしに何をする気なの? ちゃんと全部話して謝ったじゃない! もうしないって! なのにまだあるわけ! ちょっと、あたしの物に触らないで!」
「うるせえな。そのまま固まってろ」
山内は、バッグの中身を一つずつ床に広げていくバアルに抗議し腕を伸ばす。だが、それを許すはずがなく床に這いつくばり腕を伸ばす状態で、バアルの魔力によって動きを封じられ固まる。
魔力を言葉に乗せた言霊だ。バアルが発した時点で、効果を発揮し対象を意のままにできる能力。それも力の一部だ。
「な、なんで動けないのよ⁉ どうなってるわけ⁉」
「さてと。どれどれ」
言霊で動けない山内の目の前で物色するバアル。
最初に目がいったのは手帳のよう。中身を確認すると、僕の方へ投げ渡す。
手帳を受け取り確認すると、そこには今まで遊んできた男性の名前、デートで行った場所や使わせた金額、メッセージアプリだろうかそのIDが細かに書き溜められていた。
几帳面なのは分かるが、やってることは最低の女だな。
「勝手に見てるんじゃないわよ! プライバシーの侵害よこれは!」
などと叫ぶが僕もバアルも気に留めることなく物色を続ける。
次は、コスメ類とモバイルバッテリーに手を伸ばすバアル。
それを、横一列に並べる。
「色々、持ってるんだな小娘」
「だったら何? ていうか、並べてどうするつもり?」
「香水にメイク道具、どれも高価な物のようだなこれ」
「な、なに笑って……。ちょっと、ほんと何をする気⁉ ねえってば!」
「くくっ。女ってのは、こういう道具を大切にしつつ金をかけるんだよないつの時代も。それを目の前で粉々になる瞬間を見たら、小娘はどんな顔になるんだろうな!」
「やっ! やめてっ! そこにある物、いくらしたと思ってるの! 集めるのだって一苦労したのよ!」
余計なことを言ったな。それを聞いて、バアルは壊したくて仕方がなくなるぞ。現に、悪魔らしく不気味な笑みを浮かべているし。
ああ、始まったな。破壊が。
コスメ類、口紅や目の周りを書く……なんと言ったかなアイ何とかと、何とかシャドウとかで……僕、化粧品には詳しくないから名称も分からないが。
他にも、香水や手持ちミラーなどなど踏み潰していくバアル。
「いやあっ! あたしのコスメが! やめて!」
「あはははっ! 小娘が大切にしてきた物が、俺の手で粉々になっていく様を! どんな気分だ? 自分の物を目の前で破壊され、失っていく瞬間は?」
高笑いで破壊を続けるバアル。ガラスの破片が飛び散り、中身もぶち撒け何もかも見る影もなくなっていく。
それだけでは終わらず、身につけていた高級品のアクセサリーやブランド物のバッグから財布さえも目の前で燃やし尽くす。
「あっ……、ああっ……」
「くくくっ! はははっ!」
「ふ、ふざけんな! よくも、よくもあたしの……! 許さないから! 絶対に許さないから! 最低よ、あんたたち! 全部、告白して謝ったのにこんな仕打ちとかありえない! 何があっても許してなんかやらない! 弁償させてやるわ!」
何を言うかと思えば。泣きながら目を吊り上げ睨み、何度も許さないと繰り返し言い怒りを僕とバアルにぶつける山内。
許さない、ね。それは僕の台詞だ。言ったはず、絶対に許さない、誰一人として、と。
「おいおい、何言ってんだ。これは、小娘がしてきたことが今になって返ってきた。小娘が、夏目の姉ちゃんの物を破壊してよ。それが、倍になって自分の身に戻ってきただけのことだ。謝罪して済む、許さないとか弁償とか、そんなもの小娘が言う筋合いはないだろ」
「はあ⁉ なによそれ! そんなのあんたたちの勝手な意見じゃない!」
「やれやれ。反省の色なし、か。まあ、その方がもっと楽しめそうだからいいけどよ」
「な、何を言って……」
山内の前にしゃがみ込み頭を撫でるバアル。
「へっ?」
「なあに、本番はこれからだ。小娘」
「いっ、痛い! 引っ張らないで! 髪の毛、抜けちゃうから!」
撫でていた手で、前髪を掴み上げ引っ張る。その痛みでまた泣きそうになる山内。顔を無理やり上げられ表情を歪める。
目を開けた山内の口から小さな悲鳴が。
「ひっ……⁉」
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