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011 壮大な暇つぶし
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初めて町に降りたリズレットが目にしたものは活気あふれる様々な店だった。
幼いドレス姿の少女が町中を見て回る様は誰が見ても厄介ごとだっただろう。
貴族のように見えるのにその傍には誰も付いていない。
中には屋敷に送り届けて礼金を弾んでもらおうと画策する者もいたかもしれないが、幸運にもリズレットはそういった者に目を付けられる事無く町に溶け込んでいった。
それはお小遣いとして父であるアルフォンスが与えていた金貨のおかげだろう。
町を見て自分の服装をすぐに変えようと服屋に入り新しい服を買うなんてことが出来たのはそれがあったからだ。
そこらを歩いている冒険者の少年と変わらない格好に変わったリズレットはそのままお店を冷やかして回っていった。
店の者たちが何も言わなかったのは、リズレットの人懐っこい態度からだろう。
それからリズレットは町に何度も足を運んで様々な人々の話を聞いてまわった。
話を聞く理由は勿論町に溶け込むためでもあるが、目的はそれだけではない。
貴族の常識は本を読み独学で取得している。
その上で暇を持て余していたリズレットにすれば、平民の一般常識を学べる機会を逃すわけがない。
そうやって、新しい知識を増やしながら平民について少しずつ理解していった。
あくまで暇つぶしの一環なのだ。
話を聞きたがるリズレットは町でアルと名乗っている。
アルという存在が町に完全に解け込むころには、町で知らない者は居ない程の有名人になっていた。
領主の屋敷がある町であるエバンスホルムの大まかな情報を把握したリズレットは、その裏側も覗いてみたくなった。
次の暇つぶしの材料だ。
そこで初めて出会ったのがクラン輝く星のリーダーであるフレッドだった。
フレッドは当時、まだ成人しておらずスラムで暮らす多くの者たちの一人だった。
「ねぇ、何をしているの?」
「………見て分かるだろう。食い物を探しているんだ。」
捨てられたごみの山の中から食料を探しているといった少年にリズレットは興味津々だった。
知識はあっても自分の目で見たことはない者たちだ。
どのような暮らしをしているのか知りたいと思ったのだ。
「ねぇ、私の暇つぶしに付き合ってよ。」
当然リズレットのこの言葉はフレッドを怒らせることになった。
必死で生きようとしている者の前で暇つぶしなど口にしたのだから当然だ。
だが、それで引き下がるリズレットではなかった。
「じゃあ、貴方の時間をこれで買うわ。」
フレッドの前に提示したのは一枚の金貨。
見れば誰もが手を伸ばしたくなるそれにフレッドも当然のことながら、見事に飛びついた。
後で彼が金貨一枚で自分の人生を売り渡したのだと気が付いて、後悔しつつもなんだかんだ言いながらリズレットに付き従うのだが、初めての出会いはそんな感じだった。
リズレットがフレッドに初めにお願いしたのは、人を集める事だった。
暇つぶしといいながらも彼らの暮らしを見てあまりの惨状に口を出したくなってしまったのはしょうがない。
リズレットが集めた者たちを何に使ったのかというと開墾だった。
日本では今やあり得ない事だが、この世界では未だ土地は開墾した者が好きにしていいようになっていた。リズレットはそこに目を付けたのだ。
毎年人頭税を払う事になっているが、スラムに住む者たちはそういったお金を支払えずに流れ着いた者たちだ。
そんな彼らを集めて開墾をさせたリズレットは集団管理体制の畑を作った。
開墾や畑に必要な道具も作らせて、畑を耕すのに便利そうな牛などの動物も借りて作業を進めていった。
この時集められた者たちが輝く星の初期メンバーだ。
彼らを使って畑を作り増やしていったリズレットはそれを売る場所も指定していった。
高く売れる場所を調べさせ、そこに売るようにしたのだ。
それは近くの村や町から始まって領地を跨ぐほどに広がっていった。
次第に彼らの存在が知られるようになり、町を巻き込むようになっていく。
便利な道具を貸す代わりに、畑の指導を頼んだのが始まりだ。
徐々に道具を開発してスラムの彼らだけではなく、町の者たちにも広めていく。
それは、効率化を図るのに最適だった。
作業効率が上がったら、少しずつ時間が空くようになる。
その時間を使って開墾した畑の管理を手伝って貰うようになるのには、かなりの年月を要した。
しかし、数年もすればそれが当たり前になり、また手伝って貰った分は外で販売して収益が出た分から僅かながらも支払いをしていくようになった。
手伝えばお金が入る。それが更に町を巻き込む発端になったのは言うまでもない。
徐々に出来ることが増えていった彼らは輝く星というクランを作り、リーダーはフレッドに決まった。
人を集めたのもフレッドなら当然の結果だと言える。
例えそれがリズレットの暇つぶしであったとしても変わらない。
勿論輝く星の初期メンバーはフレッドの裏にリズレットことアルが居るのは気が付いている。
だが、誰もがそれを指摘することは無くクランは大きく成長していった。
町からスラムと言える場所が以前とは比べ物にならない程少なくなった頃、リズレットの興味はスラムから町へと戻っていった。
十分すぎるほどに彼らは以前とは違って、普通の暮らしを手に入れる事に成功していたからだ。
リズレットの思いつくことが無くなったと言っても過言ではない。
すでに様々な商品開発が行われ、冒険者のクランというよりも様々な技術集団と言った方がしっくりくるような、普通のクランとは逸脱したものに成長してしまったのは一重にリズレットの思い付きのせいだろう。
リズレットの思い付きは唐突だ。
突然のお願いに振り回され続けていたフレッドだったが、自分たちの為になることをすでに学んでおり文句を言うことなく従っている。
意味の分からない実験に付き合ったりするのも日常茶飯事になってしまった。
「アル…今、何て言った?」
「だからさ、井戸って面倒だよねって話だよ。」
町で水を汲むには井戸もしくは、川まで行かなければならない。
それをリズレットは変えようというのだ。
だが、明らかに一クランができる枠を超えている話でフレッドは頭を抱えた。
「無茶を言うな。そんなの出来るわけがない。」
「みんなでやれば出来るって!時間は別にかけても良いと思うし。」
リズレットの計画は壮大だった。
山から水を引くなど夢物語のようなものだ。
それも水を沸かして浄水するとまで言うのだ。
普通に考えれば無茶な話だ。
しかし、リズレットの言葉は実現することになる。
パーツを作るのも一か所で請け負ったわけではない。
多くの協力者を得ているクランはすでに町全体に広がり、クランに入っていない者でも進んで協力を得ることが出来る環境が整っていた。
環境が整って整備が終わったころ、あの流行り病が国全体に広がったのだ。
しかし、レスター辺境伯爵領で流行らなかった理由は単純だ。
「それで、どうして病が広がらなかったのだ?」
ランドリックが身を乗り出す勢いで尋ねた。
「ランドリック様、今回の流行り病にかかって亡くなった貴族はどれほどでしたか?」
答えの代わりに質問で返したリズレットにランドリックは答える。
「そんなもの数える程度だったと思うが。」
「それは何故なのでしょう?」
「決まっている。平民は医者にかかることが出来ないまま亡くなった者が多い。貴族は優先して医者に掛かれるから当然の結果だろう。」
「それが答えの半分ですね。」
「何?」
「医者にかかれないのはそれだけ民に余裕がないからです。町ぐるみで畑を管理している分の収入がある彼らには、医者にかかる僅かな余裕があった。勿論、理由はそれだけではありませんが。」
リズレットの言葉にランドリックは呆気にとられたようだ。
言われてみればその通りで、医者にかかる金さえあれば、今回の病も助かった者が多くいたはずなのだ。
幼いドレス姿の少女が町中を見て回る様は誰が見ても厄介ごとだっただろう。
貴族のように見えるのにその傍には誰も付いていない。
中には屋敷に送り届けて礼金を弾んでもらおうと画策する者もいたかもしれないが、幸運にもリズレットはそういった者に目を付けられる事無く町に溶け込んでいった。
それはお小遣いとして父であるアルフォンスが与えていた金貨のおかげだろう。
町を見て自分の服装をすぐに変えようと服屋に入り新しい服を買うなんてことが出来たのはそれがあったからだ。
そこらを歩いている冒険者の少年と変わらない格好に変わったリズレットはそのままお店を冷やかして回っていった。
店の者たちが何も言わなかったのは、リズレットの人懐っこい態度からだろう。
それからリズレットは町に何度も足を運んで様々な人々の話を聞いてまわった。
話を聞く理由は勿論町に溶け込むためでもあるが、目的はそれだけではない。
貴族の常識は本を読み独学で取得している。
その上で暇を持て余していたリズレットにすれば、平民の一般常識を学べる機会を逃すわけがない。
そうやって、新しい知識を増やしながら平民について少しずつ理解していった。
あくまで暇つぶしの一環なのだ。
話を聞きたがるリズレットは町でアルと名乗っている。
アルという存在が町に完全に解け込むころには、町で知らない者は居ない程の有名人になっていた。
領主の屋敷がある町であるエバンスホルムの大まかな情報を把握したリズレットは、その裏側も覗いてみたくなった。
次の暇つぶしの材料だ。
そこで初めて出会ったのがクラン輝く星のリーダーであるフレッドだった。
フレッドは当時、まだ成人しておらずスラムで暮らす多くの者たちの一人だった。
「ねぇ、何をしているの?」
「………見て分かるだろう。食い物を探しているんだ。」
捨てられたごみの山の中から食料を探しているといった少年にリズレットは興味津々だった。
知識はあっても自分の目で見たことはない者たちだ。
どのような暮らしをしているのか知りたいと思ったのだ。
「ねぇ、私の暇つぶしに付き合ってよ。」
当然リズレットのこの言葉はフレッドを怒らせることになった。
必死で生きようとしている者の前で暇つぶしなど口にしたのだから当然だ。
だが、それで引き下がるリズレットではなかった。
「じゃあ、貴方の時間をこれで買うわ。」
フレッドの前に提示したのは一枚の金貨。
見れば誰もが手を伸ばしたくなるそれにフレッドも当然のことながら、見事に飛びついた。
後で彼が金貨一枚で自分の人生を売り渡したのだと気が付いて、後悔しつつもなんだかんだ言いながらリズレットに付き従うのだが、初めての出会いはそんな感じだった。
リズレットがフレッドに初めにお願いしたのは、人を集める事だった。
暇つぶしといいながらも彼らの暮らしを見てあまりの惨状に口を出したくなってしまったのはしょうがない。
リズレットが集めた者たちを何に使ったのかというと開墾だった。
日本では今やあり得ない事だが、この世界では未だ土地は開墾した者が好きにしていいようになっていた。リズレットはそこに目を付けたのだ。
毎年人頭税を払う事になっているが、スラムに住む者たちはそういったお金を支払えずに流れ着いた者たちだ。
そんな彼らを集めて開墾をさせたリズレットは集団管理体制の畑を作った。
開墾や畑に必要な道具も作らせて、畑を耕すのに便利そうな牛などの動物も借りて作業を進めていった。
この時集められた者たちが輝く星の初期メンバーだ。
彼らを使って畑を作り増やしていったリズレットはそれを売る場所も指定していった。
高く売れる場所を調べさせ、そこに売るようにしたのだ。
それは近くの村や町から始まって領地を跨ぐほどに広がっていった。
次第に彼らの存在が知られるようになり、町を巻き込むようになっていく。
便利な道具を貸す代わりに、畑の指導を頼んだのが始まりだ。
徐々に道具を開発してスラムの彼らだけではなく、町の者たちにも広めていく。
それは、効率化を図るのに最適だった。
作業効率が上がったら、少しずつ時間が空くようになる。
その時間を使って開墾した畑の管理を手伝って貰うようになるのには、かなりの年月を要した。
しかし、数年もすればそれが当たり前になり、また手伝って貰った分は外で販売して収益が出た分から僅かながらも支払いをしていくようになった。
手伝えばお金が入る。それが更に町を巻き込む発端になったのは言うまでもない。
徐々に出来ることが増えていった彼らは輝く星というクランを作り、リーダーはフレッドに決まった。
人を集めたのもフレッドなら当然の結果だと言える。
例えそれがリズレットの暇つぶしであったとしても変わらない。
勿論輝く星の初期メンバーはフレッドの裏にリズレットことアルが居るのは気が付いている。
だが、誰もがそれを指摘することは無くクランは大きく成長していった。
町からスラムと言える場所が以前とは比べ物にならない程少なくなった頃、リズレットの興味はスラムから町へと戻っていった。
十分すぎるほどに彼らは以前とは違って、普通の暮らしを手に入れる事に成功していたからだ。
リズレットの思いつくことが無くなったと言っても過言ではない。
すでに様々な商品開発が行われ、冒険者のクランというよりも様々な技術集団と言った方がしっくりくるような、普通のクランとは逸脱したものに成長してしまったのは一重にリズレットの思い付きのせいだろう。
リズレットの思い付きは唐突だ。
突然のお願いに振り回され続けていたフレッドだったが、自分たちの為になることをすでに学んでおり文句を言うことなく従っている。
意味の分からない実験に付き合ったりするのも日常茶飯事になってしまった。
「アル…今、何て言った?」
「だからさ、井戸って面倒だよねって話だよ。」
町で水を汲むには井戸もしくは、川まで行かなければならない。
それをリズレットは変えようというのだ。
だが、明らかに一クランができる枠を超えている話でフレッドは頭を抱えた。
「無茶を言うな。そんなの出来るわけがない。」
「みんなでやれば出来るって!時間は別にかけても良いと思うし。」
リズレットの計画は壮大だった。
山から水を引くなど夢物語のようなものだ。
それも水を沸かして浄水するとまで言うのだ。
普通に考えれば無茶な話だ。
しかし、リズレットの言葉は実現することになる。
パーツを作るのも一か所で請け負ったわけではない。
多くの協力者を得ているクランはすでに町全体に広がり、クランに入っていない者でも進んで協力を得ることが出来る環境が整っていた。
環境が整って整備が終わったころ、あの流行り病が国全体に広がったのだ。
しかし、レスター辺境伯爵領で流行らなかった理由は単純だ。
「それで、どうして病が広がらなかったのだ?」
ランドリックが身を乗り出す勢いで尋ねた。
「ランドリック様、今回の流行り病にかかって亡くなった貴族はどれほどでしたか?」
答えの代わりに質問で返したリズレットにランドリックは答える。
「そんなもの数える程度だったと思うが。」
「それは何故なのでしょう?」
「決まっている。平民は医者にかかることが出来ないまま亡くなった者が多い。貴族は優先して医者に掛かれるから当然の結果だろう。」
「それが答えの半分ですね。」
「何?」
「医者にかかれないのはそれだけ民に余裕がないからです。町ぐるみで畑を管理している分の収入がある彼らには、医者にかかる僅かな余裕があった。勿論、理由はそれだけではありませんが。」
リズレットの言葉にランドリックは呆気にとられたようだ。
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