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まいことの出会い
鬼処女と一角獣のツノ
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思いついて電話することにした
「◯◯大学です」
「多田内博士(たたないはかせ)お願いします」
「多田内博士(ただうちひろし)教授ですね。そちらさまは?」
「立野(たつの)です」
クスッと笑う声がした
「ご用件は?」
「いや、先週に鬼の処女と出会って、やろうと言うからやりかけたんですけど、鬼女の処女膜って硬くてね、入らないんですよ。でもその鬼女を処女でなくさないと鬼の王が生まれて、世界が大変なんです。それで、たたないさんなら何か知ってるんじゃないかと思いましてね。彼、鬼の伝承とかに変に詳しいから」
「はい、」と笑いを押し殺すような声がして「お繋ぎします」
「待って、貴女の名前は?」
「はい?」
「いや、声が可愛いから」
「はい・・・、まいこです」
「まいこさん、京都ですもんねえ」
言ってる間に呼び出し音がして、電話が繋がった
「ただうちです。なんか用か」
ぶっきらぼうな声がする
「受付の子に言ったけど」
「笑ってつまりながら言うからよくわからなかった。なんだって?」
つまり、と説明した
「うーん、そう云う伝承もないわけではない。取り敢えず来てくれ」
そう言われて◯◯大学にいった
受付で「まいこさんお願いします」と言うと、「わたくしですが」と答える
わりと可愛い子である
「さっき電話した立野ですが、たたないはかせお願いします」
そう言うと
「ただうち教授はB棟の三階の・・・」
「案内してくれないんですか」
「仕方ないですねえ」
と連れてってくれることになった
「お仕事は何時迄ですか」
「五時迄ですが」
「じゃあ、五時過ぎに駐車場の入り口辺りで待ってます」
と言うと、彼女はなにも答えず
「ここです」
とドアの前で止まった
そのまま去っていく彼女の背に「五時にね」と言った
初対面の女性を誘った事などないのに、この時はなぜか勢いでいってしまった。不思議な事だった
部屋に入るなり首を絞められた
「おれはここでは教授だ。ふざけた名前で呼ぶんじゃない」
「いや君は優秀で教室で立たされた事がないから立たない君、おれは立たされてばかりで立つの君と言われてたんだ。だから褒めてるんだよ」
「たつのたたないのとなんでこんな奴と付き合っているのか、不思議でならんわ」
「いや、まあ、落ち着けよ。それより、さっき言ってた件はどうなんだ?」
多田内教授は、絞めていた手を離して、机の上にあった資料をぽんと投げた
「処女鬼と人間の性行為に関しては多少の伝承があるんだ。常に失敗に終わる訳だが、多少の例外があって、一角獣のツノを使うと、やれるらしい」
「ユニコーンか。そんなの日本にいるのか? 西洋だけだと思っていたけど」
「絶滅したんだろうな。しかし、太古にはいたらしい。その角がわずかながら残ってるんだ」
「何処に?」
「岐阜の山奥の寺にあるらしい」
「奥飛驒か」
「ものがものなら、場所も場所だな」
そういう訳で週末に教授と二人奥ヒダに分け入ることになった
五時前から駐車場の入り口で待っていたが、まいこさんは来ない
驚きはなかったが、それでも待ち続けていると、六時過ぎになってやっと現れた
「まだいらっしゃったんですねえ」
「ええ、信じてましたから。食事に行きましょう」
と大学から離れた市内のレストランに連れていった
食後に、昔なら酔いを醒ましに、今は酒気抜きに散歩する
「初対面の女性をいつもこんな風に誘うんですか」
「いや、初対面で食事やホテルに誘ったことなんか、未だかってないですよ。今夜が初めてです」
言いながら、いつの間にか、ホテル街の道を歩いていた
「入りましょうか」
彼女は返事をしなかったが、肩に置いた手にそっと力を入れて誘うと、そのまま一緒に入るのを拒まなかった
「あたし、結婚してて、旦那がいるんです」
ことが終わって、そのまま抱いていると、彼女がそう言った
「えっ、まさか」
不倫なんか、一生しないぞと思っていたのに
ややこしい関係は好みでないのだ
「背が高くて、ハンサムで、この人と結婚出来て幸せだと思っていたら、とんでもない浮気男で、よそに女ばかり作って。昨日なんか、女性とホテルでキスしてる写真をみせて、おれこんなにモテるんだぞって。馬鹿じゃないかと思って。あたしだって浮気してやるからって言ったら、どうぞ御勝手にだって。朝からどうしてやろうかと思っていたら、あなたに声をかけられて、どうしようかと思ってグズグズしてたけどまだいたから。これも運命なんだわ、て思って・・・」
なるほど、そりゃ酷い奴だ。リベンジせねばと、胸までシーツで隠し、スマホをセットし、タイマーをかけ、キスしてる写真を撮って、彼女の携帯に送った
「また腹が立ったら見せればいいよ。別に見せる必要はないけど」
「そうね。でも、今夜で別れる決心がついたわ。あんな男に執着してたあたしが馬鹿だったって気づいたわ」
「うん。その方がよさそうだね」
彼女は暫く黙ってなにか考えている風だったが、やがて笑って
「今日言っていた処女の鬼ってなんの話なの?」ときいた
「そのままだよ」
と経緯を説明した
「そんなことって、あるの?」
「信じられないようなことだけど現実だ。ぼくは世界を救わなくてはならない。ぼくにはチョーズンワン、選ばれし者としての使命があるんだ」
「なんか、情けない使命ね」
「そうかなあ」とぼくも笑って「でも、その為に、土日にたたないと二人で奥飛騨に一角獣の角を探しに行くんだ」
「あたしも連れてって」
「いいけど。シングル二つをシングルとダブルにして、君はぼくと同室になるよ」
「それでいいけど、処女膜も破れなくて、奥ヒダまで行けるの」
「大丈夫だ。君がいる」
「◯◯大学です」
「多田内博士(たたないはかせ)お願いします」
「多田内博士(ただうちひろし)教授ですね。そちらさまは?」
「立野(たつの)です」
クスッと笑う声がした
「ご用件は?」
「いや、先週に鬼の処女と出会って、やろうと言うからやりかけたんですけど、鬼女の処女膜って硬くてね、入らないんですよ。でもその鬼女を処女でなくさないと鬼の王が生まれて、世界が大変なんです。それで、たたないさんなら何か知ってるんじゃないかと思いましてね。彼、鬼の伝承とかに変に詳しいから」
「はい、」と笑いを押し殺すような声がして「お繋ぎします」
「待って、貴女の名前は?」
「はい?」
「いや、声が可愛いから」
「はい・・・、まいこです」
「まいこさん、京都ですもんねえ」
言ってる間に呼び出し音がして、電話が繋がった
「ただうちです。なんか用か」
ぶっきらぼうな声がする
「受付の子に言ったけど」
「笑ってつまりながら言うからよくわからなかった。なんだって?」
つまり、と説明した
「うーん、そう云う伝承もないわけではない。取り敢えず来てくれ」
そう言われて◯◯大学にいった
受付で「まいこさんお願いします」と言うと、「わたくしですが」と答える
わりと可愛い子である
「さっき電話した立野ですが、たたないはかせお願いします」
そう言うと
「ただうち教授はB棟の三階の・・・」
「案内してくれないんですか」
「仕方ないですねえ」
と連れてってくれることになった
「お仕事は何時迄ですか」
「五時迄ですが」
「じゃあ、五時過ぎに駐車場の入り口辺りで待ってます」
と言うと、彼女はなにも答えず
「ここです」
とドアの前で止まった
そのまま去っていく彼女の背に「五時にね」と言った
初対面の女性を誘った事などないのに、この時はなぜか勢いでいってしまった。不思議な事だった
部屋に入るなり首を絞められた
「おれはここでは教授だ。ふざけた名前で呼ぶんじゃない」
「いや君は優秀で教室で立たされた事がないから立たない君、おれは立たされてばかりで立つの君と言われてたんだ。だから褒めてるんだよ」
「たつのたたないのとなんでこんな奴と付き合っているのか、不思議でならんわ」
「いや、まあ、落ち着けよ。それより、さっき言ってた件はどうなんだ?」
多田内教授は、絞めていた手を離して、机の上にあった資料をぽんと投げた
「処女鬼と人間の性行為に関しては多少の伝承があるんだ。常に失敗に終わる訳だが、多少の例外があって、一角獣のツノを使うと、やれるらしい」
「ユニコーンか。そんなの日本にいるのか? 西洋だけだと思っていたけど」
「絶滅したんだろうな。しかし、太古にはいたらしい。その角がわずかながら残ってるんだ」
「何処に?」
「岐阜の山奥の寺にあるらしい」
「奥飛驒か」
「ものがものなら、場所も場所だな」
そういう訳で週末に教授と二人奥ヒダに分け入ることになった
五時前から駐車場の入り口で待っていたが、まいこさんは来ない
驚きはなかったが、それでも待ち続けていると、六時過ぎになってやっと現れた
「まだいらっしゃったんですねえ」
「ええ、信じてましたから。食事に行きましょう」
と大学から離れた市内のレストランに連れていった
食後に、昔なら酔いを醒ましに、今は酒気抜きに散歩する
「初対面の女性をいつもこんな風に誘うんですか」
「いや、初対面で食事やホテルに誘ったことなんか、未だかってないですよ。今夜が初めてです」
言いながら、いつの間にか、ホテル街の道を歩いていた
「入りましょうか」
彼女は返事をしなかったが、肩に置いた手にそっと力を入れて誘うと、そのまま一緒に入るのを拒まなかった
「あたし、結婚してて、旦那がいるんです」
ことが終わって、そのまま抱いていると、彼女がそう言った
「えっ、まさか」
不倫なんか、一生しないぞと思っていたのに
ややこしい関係は好みでないのだ
「背が高くて、ハンサムで、この人と結婚出来て幸せだと思っていたら、とんでもない浮気男で、よそに女ばかり作って。昨日なんか、女性とホテルでキスしてる写真をみせて、おれこんなにモテるんだぞって。馬鹿じゃないかと思って。あたしだって浮気してやるからって言ったら、どうぞ御勝手にだって。朝からどうしてやろうかと思っていたら、あなたに声をかけられて、どうしようかと思ってグズグズしてたけどまだいたから。これも運命なんだわ、て思って・・・」
なるほど、そりゃ酷い奴だ。リベンジせねばと、胸までシーツで隠し、スマホをセットし、タイマーをかけ、キスしてる写真を撮って、彼女の携帯に送った
「また腹が立ったら見せればいいよ。別に見せる必要はないけど」
「そうね。でも、今夜で別れる決心がついたわ。あんな男に執着してたあたしが馬鹿だったって気づいたわ」
「うん。その方がよさそうだね」
彼女は暫く黙ってなにか考えている風だったが、やがて笑って
「今日言っていた処女の鬼ってなんの話なの?」ときいた
「そのままだよ」
と経緯を説明した
「そんなことって、あるの?」
「信じられないようなことだけど現実だ。ぼくは世界を救わなくてはならない。ぼくにはチョーズンワン、選ばれし者としての使命があるんだ」
「なんか、情けない使命ね」
「そうかなあ」とぼくも笑って「でも、その為に、土日にたたないと二人で奥飛騨に一角獣の角を探しに行くんだ」
「あたしも連れてって」
「いいけど。シングル二つをシングルとダブルにして、君はぼくと同室になるよ」
「それでいいけど、処女膜も破れなくて、奥ヒダまで行けるの」
「大丈夫だ。君がいる」
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