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2日目
⑨
しおりを挟む奥の部屋は書斎兼仕事部屋になってるようだった。
本棚で壁が埋め尽くされ、本棚の中にも多種多様な本で埋まっていた。本の趣味は被ってるようで愛読書にしている本や好きな作家の本もあり、読んだことのない本も沢山あった。
『真綾の目がとっても輝いてる。本当に本が好きなんだね。』
「うん!とっても好き。読んだことの無い本も読みたかった本も沢山ある!」
『読みたい本があるなら貸すよ。どれか読みたいのある?』
「いいの!!これが読みたい!」
選んだのは自分が愛読してる作家のデビュー作で大変人気なのだが自社出版だったため中古本屋でも出回らないプレミアムのついたものだった。
ずっと読みたかった本に出会えると思ってなかったし、こんな所で出会えると思ってなかった。
今すぐにでも読みたいがまだ家の中を案内してもらってる途中だ。
『この家の中ならどこで読んでもいいようにしとくから、今は案内に集中して欲しいな。』
そりゃそうだよねと少しガッカリしたが後で読める楽しみもある。
『次はこの部屋だよ』
書斎をでてすぐ右の部屋に案内される。
惣一郎がドアを開けると、部屋には沢山のモニターがある。
「ここは?」
部屋の電気を付けると、モニター以外にも見えるものがあった。
沢山の真綾の写真が壁一面に貼ってあった。
仕事場の写真、通勤中の電車に乗ってる写真、1人で出かけている時の写真、家でご飯を食べてる写真、1人で欲を発散してる時の写真、着替えている写真、どれも隠し撮りのようだった。
『ここは、僕の大切な部屋だよ。真綾をいつも見てたって言ったでしょ?』
頭では分かってた。ストーカーされてたって事は当然隠し撮りだって盗聴とか隠しカメラが仕込まれてたっておかしくない。
でも、自分がされている、されてたと分かるとやはり恐怖に感じる。
心のどこかで惣一郎はそんな事してないと、せいぜい後をつけて家を知ったくらいだと思ってた。
まさか、自分の部屋に隠しカメラがあるとは思えなかった。
声が震えて上手く話せない。
「あ、えっ??こんな…なんで……。」
『そうなると思ってた。見たら怖がるだろうなって。でも僕は君に危害は加えてない。確かにやってる事は犯罪だってわかってるけど…』
確かに惣一郎の言う通り。言われるまでストーカーされてたのすら知らなかった。それもわかってる。でも頭が追いつかない。
どうやって私の家に入ったのか。本当に私なんかで良いのか。なんでここまでしたのか。そんな疑問が頭の中を駆け巡る。
「どうやって…?なんで私なんかを、こんな…なんで……?」
『真綾はなんかじゃないよ。どうやって…っていうのは家の事かな?随分前に鍵落としたの覚えてる?後ろをつけてたときに真綾が落としたんだ。それを拾って合鍵を作ってから交番に届けた。』
「あ、あの時…」
真綾には覚えがあった。惣一郎が私を見たと言っている映画の日から2ヶ月後くらいに通勤中鍵を無くしていた。どこを探しても見当たらず帰り道の最寄りの交番に行き、なかったらアパートの管理会社に連絡しようとしたら交番に届けてくれてた人が居てとてもありがたかったのを思い出した。
『それと、私なんか、どうして?の問に答えると、どうしても真綾が欲しいと思ったから。でもなんて声掛けていいのかも分からなかった。だから真綾をまずは知りたいと思った。知ってくうちに、まぁ…その、家に色々細工してから真綾を外よりも知る事が出来て、性癖とかも含めて僕達は似てると感じた。それを知って更に真綾を僕のパートナーにしたいって思ったんだ。』
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