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7話 発情期の過ごし方
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「今からだと、やっぱり間に合わないよなぁ……」
次の発情期は二カ月後だ。
今までは、どんな間違いも起こらないように、僕は強力な抑制剤で発情期をコントロールしていたんだ。
だから、発情期の間もフェロモンはそんなに出ていなかったし、その状態で項を噛まれても番になることはないって言われていた。僕はアシュリーの婚約者だったから、念には念を入れて、発情期の期間中はさらに隔離生活もしていたのだけど、ちょっとムラムラする程度でほとんどベータと変わらない感じで過ごすことができていた。
その抑制剤は発情期が終わったらすぐに服用する必要があるんだけど、前回の発情期の後、僕はその薬を飲んでいない。アシュリーと番になる予定だったからだ。
「何か、手配するものがありますか?」
「うーん、そうだなぁ……」
テオの言葉に、僕は考えた。
今から抑制剤を飲んでも、二か月後にやってくる発情期を止めることはできない。
抑制剤なしで、一人で過ごす発情期っていうのはどんな感じなんだろうか。
アシュリーと過ごす発情期はすごく楽しみだった。でも、噂ではオメガが一人で過ごす発情期はとても辛いものらしい。
「ねぇ。発情期って、どう過ごせばいいと思う?」
本来だったら閨教育の先生に相談することなのかもしれないけれど、アシュリーと婚約破棄をしてしまったからもう会うことはないだろう。
それに、僕が今まで聞いてきたのは配偶者が居ること前提の講義だったから、世継ぎを作るための方法はいっぱい教えてもらったけれど、一人で過ごす方法なんてものはまったく教えてもらっていない。
「私はベータなのでよくわからないのですが……その道のプロに聞いてみるのがいいのでは?」
「プロ? テオには心当たりはある?」
「そうですね……それでは、ご案内しましょう」
テオは一度馬車を止め、御者に行き先を伝えた。
貴族街の中央に向かって進んでいた馬車は、進行方向を変えて進み出す。
テオは、博識だから何でも知っている。
困ったときは、お願いしたら、僕が思いつかないような解決法を見つけてくれるんだ。
だから、今回のこともテオに任せておけば大丈夫。
……そう思っていたんだけど。
馬車が到着したのは、貴族街の外れにある娼館だった。
次の発情期は二カ月後だ。
今までは、どんな間違いも起こらないように、僕は強力な抑制剤で発情期をコントロールしていたんだ。
だから、発情期の間もフェロモンはそんなに出ていなかったし、その状態で項を噛まれても番になることはないって言われていた。僕はアシュリーの婚約者だったから、念には念を入れて、発情期の期間中はさらに隔離生活もしていたのだけど、ちょっとムラムラする程度でほとんどベータと変わらない感じで過ごすことができていた。
その抑制剤は発情期が終わったらすぐに服用する必要があるんだけど、前回の発情期の後、僕はその薬を飲んでいない。アシュリーと番になる予定だったからだ。
「何か、手配するものがありますか?」
「うーん、そうだなぁ……」
テオの言葉に、僕は考えた。
今から抑制剤を飲んでも、二か月後にやってくる発情期を止めることはできない。
抑制剤なしで、一人で過ごす発情期っていうのはどんな感じなんだろうか。
アシュリーと過ごす発情期はすごく楽しみだった。でも、噂ではオメガが一人で過ごす発情期はとても辛いものらしい。
「ねぇ。発情期って、どう過ごせばいいと思う?」
本来だったら閨教育の先生に相談することなのかもしれないけれど、アシュリーと婚約破棄をしてしまったからもう会うことはないだろう。
それに、僕が今まで聞いてきたのは配偶者が居ること前提の講義だったから、世継ぎを作るための方法はいっぱい教えてもらったけれど、一人で過ごす方法なんてものはまったく教えてもらっていない。
「私はベータなのでよくわからないのですが……その道のプロに聞いてみるのがいいのでは?」
「プロ? テオには心当たりはある?」
「そうですね……それでは、ご案内しましょう」
テオは一度馬車を止め、御者に行き先を伝えた。
貴族街の中央に向かって進んでいた馬車は、進行方向を変えて進み出す。
テオは、博識だから何でも知っている。
困ったときは、お願いしたら、僕が思いつかないような解決法を見つけてくれるんだ。
だから、今回のこともテオに任せておけば大丈夫。
……そう思っていたんだけど。
馬車が到着したのは、貴族街の外れにある娼館だった。
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