ポンコツ吸血鬼が淫魔に美味しく食べられちゃうお話

夏芽玉

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7.お替りしたくなっちゃった

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 それから俺たちは、お互いの腹がたっぷり膨れるまでセックスをした。

 普通は、こんな大量の血を一人の人間から摂取したら干からびて死んでしまう。だけど、ミオは淫魔だ。俺が快楽を感じている限り、ミオは食事を摂り続けることができる。

 おかげで、三日三晩、耐久セックスをする羽目になった。




「ぷはぁ……満腹だ。もう食べらんない」

 ベッドの上で、ごろりと仰向けに寝転がる。見下ろせば、こんな体勢にも関わらず、お腹がぽっこり膨らんでいる気がした。だけど、それ以上に腰が痛い。

「えー、俺はまだまだヤれるけど?」

 俺の隣に寝そべったミオが顔を覗き込んできた。
 そんな可愛い顔をしてもダメだ。
 今は、ちょっと食いすぎて、胃が重いくらいだ。

「齢を考えろ。齢を」
「えー? ポーシャって何歳なの?」
「今年でちょうど400歳だ」
「わぉ。思ってたより年上だった」

 ミオは若そうだとは思っていたけれど、こんな反応をされるとは。

「……ちなみに、ミオはいくつなんだ?」
「22歳だけど?」
「はぁっ!?」

 ケロっとした顔でいうミオを俺は思わずガン見した。
 なんだと!?
 22歳だなんて、まだ赤ん坊みたいな年齢じゃないか。

 え、俺ってば、そんな赤ちゃんみたいな年齢の悪魔に本名を知られちゃった上、ヤられちゃったの!?

 嘘ぉ。

 あまりの状況に唖然とするけれど、ミオの血が美味しかったのも、セックスが気持ち良かったのも、否定しようのない事実だ。

 だけどさー。でもさー……なんていうかさ。俺だって、もう400年も生きている吸血鬼なわけよ。もっと、こう、年上の矜持ってものがさ?

 頭の中で色々考えていたら、スススとミオの尻尾が俺の腹を撫でた。そのまま肌を辿って、乳首をツンツンとつついてくる。
 俺はペシっとその尻尾をはたき落した。

「イタズラするんじゃない」
「えー、だって。ポーシャの裸を見てたら、なんかムラムラしてきちゃって」
「もうたっぷり食っただろう」

 腹が膨れたら、なんだか眠くなってきた。
 それに、こんな年下にいいようにされっぱなしというのもなんだか癪に障る。
 だけど、そんなことはお構いなしに、ミオは俺の身体にのし上がってくる。

「ねーねー、ポーシャの精気、気に入っちゃった。もっと欲しいな。ちょーだい、ちょーだい!」
「可愛く言っても、ダメなもんはダメ!!」

 なんでこいつはこんなに元気なんだ。
 胃もたれするくらいたっぷり血を吸ってしまったというのに、肌はツヤツヤだしほんのり上気した頬が色っぽくて可愛いだなんて……

「あ。こーゆーの、可愛いって思ってくれるんだ。嬉しいなー。俺、ポーシャのこと好きになっちゃった。ってことで、恋人になって。んで、もう一回セックスしよ?」
「はぁ? いまなんかどさくさに紛れて雑な告白しなかったか?」
「えー、雑とか酷い。ポーシャのこと好きだよ。だから、次は恋人のセックス!!」
「却下だ。これ以上ヤったら腰が壊れる」
「へぇ。恋人になるってのは拒否しないんだ」
「あっ……」

 拒否し忘れたのには、しっかり気付かれてしまった。
 いや、だって、ごはんは美味しいし、身体の相性もいいし……

「じゃ、やっぱり恋人記念のセックスしなきゃ!!」
「それは無理!! それにもう出ない、空っぽだし!!」
「なーんだ。そのくらいのこと、俺のテクでどうにでもしてあげるから」

 不敵に笑ったミオが色っぽくてゾっとする。
 え……空っぽになってもまだ俺は搾り取られちゃうの……?

「セックスはもう絶対にしないっ」
「ふーん。そんなこと言っていいんだ? ねぇ、

 名前を呼ばれた瞬間、ピクリと身体が震えた。
 そうだ、俺はミオに本名を知られてしまっているんだった。

「ごっ……合意のないセックスはしないんじゃなかったのか!?」
「精気が欲しいんじゃなくて、愛を確かめ合いたいだけだから。ね、ポーシャ。俺のことが好きだったら

 ミオの言葉に、俺の身体は動いてキスをしてしまう。
 しかもチュッと軽いやつじゃなくて、むちゅーっていう濃厚なのを。

「あは。ポーシャも俺のこと大好きじゃん!!」
「もう無理!! これ以上ヤったら、干からびちゃう!!」
「大丈夫大丈夫。セックスしながら、また沢山血をあげるから」
「血よりも休憩が欲しいいいいいぃいっ……!!」



 それからなんだかんだあって、俺はミオと一緒に暮らしている。
 彼のおかげでカサカサだったお肌はツヤツヤになったけれど、栄養失調でガリガリだった身体はぽっちゃり体型になってしまった。

「今日は一回だけって言ったじゃないか!!」

 最近、セックスの後に噛み痕だらけになっているのはミオだけじゃない。
 何故か、ミオはセックスのときに俺に噛みつくようになった。
 おかげで俺の身体も噛み痕だらけだ。

「ポーシャが帰って来たときは、それでも大丈夫かなって思ったけれどねー。ポーシャの精気が美味しくて。やっぱり、お替りしたくなっちゃった」
「いったい何回お替りする気だよ!」

 一回だけと言ったミオは、風呂の中でセックスをして、上がってからリビングでもセックスをして、ベッドに来てからも2回セックスをした。

「えー? ……満足するまで?」
「それって、あと何回なわけっ!?」
「うーん、10回くらい?」
「この、絶倫ーーーー!!」

 毎日毎日この調子だ。
 このままでは俺の腰が壊れてしまうんじゃないだろうか。
 あと、下腹の贅肉が増えてきたからちょっとダイエットしたい。
 そう思って、今日は夜の街を走って来たというのに……

「褒めてくれてありがと。お礼に今夜もたっぷり可愛がってあげるからね」
「褒めてないー!!」

 俺の心からの叫び声は、ミオのキスに飲み込まれたのだった。
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