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4.調合薬
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「ごめんごめん。まさかキミのほうから触ってもらえるなんて思ってなくて、びっくりしちゃった。今からじっくりヨくしてあげるから、そんなに焦らなくていいよ」
優しい声とともに俺の股間に掛かる力は弱まったものの、急所を人質に取られているようなものだ。このままじゃ、下手に動けない。なんとかしてこいつから離れないと……
「要らない!! ていうか、俺のこと好きだのなんだの言うなら、皇帝の暗殺から手を引け!! そして俺の目の前に、二度と現れるな!!」
「えー、嫌だよ。皇帝暗殺の報酬は大切なキミとの結婚資金にするつもりなんだから」
皇帝を殺したら貰える報酬、めちゃくちゃイイよねー。と、今日の天気についてでも話題にするかのように相手が言った。確かに俺に提示された報酬も破格だった。世界で一番権力を持った人間を殺すのだから、当然だろう。
というか、なんとかしてここから逃げ出したいのに、この男、全く隙がない。
「そんな汚い金で俺を養おうなんてするんじゃねぇ!!」
「ふーん……じゃあキレイな金だったらいいんだ。オッケー! やっと、結婚してくれるって言ってもらえた、わーい!」
「そんなこと言ってな……っ!!」
どこをどうしたらそういうことになるんだ、と突っ込む前に唇を唇で塞がれた。
「んぐっ……!!」
無遠慮に舌が入り込んでくる。力いっぱい噛みついてやったら、俺のチンコに体重がかかった。そこを踏みつぶされる恐怖に怯んだ隙に、舌を引きずり出されて、お返しとばかりに噛みつかれた。
「こーゆーのが興奮するんだ? 確かに、ゾクゾクするねぇ……」
唇が離れると、相手の唇が唾液に濡れているのが視界に入った。思わず目を逸らす。その瞬間、両手をベッドに押さえつけていた手が離れて、俺の頸動脈に触れた。しまった。こいつがこのまま指に力を入れれば俺は……
「あー、心配しないで。これ飲んで欲しいだけだから」
相手の細長い指が俺の口に突っ込まれた。反射的に噛みついたけれど、小さな粒が口に落ちてきた。
「ん、なに……」
「ただの筋肉弛緩剤。即効性なんだけど効果時間は短くて、依存性もないから安心して」
今の台詞のどこに安心できる要素があるんだ!
口の中のものを吐き出そうとしたら、皮膚の上から軽く頸動脈を圧迫された。
「このまま絞めちゃってもいいんだけどさ。やっぱり、意識ない間にハジメテを済ませちゃうっていうのは楽しくないしー?」
「ぐっ……」
薬を飲んでも飲まなくても、こいつが今から俺を好き勝手しようとしていることには変わりないじゃないか!!
なんとかして、逃げ出す方法は……
「さて。そろそろ溶けたかな。はい、あーん」
「……っ!?」
俺の首元から手を離した相手が、口をこじ開けてくる。
抵抗しようとしても、身体に全く力が入らない。
「うん、よく効いてるみたい。良かった」
そういえば、先ほどまで口の中にあった粒の気配がもうない。
もしかして、もう溶けたのか!?
目を見開いたら、ニコッと笑いかけられた。
「そうそう。さっきの薬ね、すごくよく水に溶けるから、口の中に入れるだけでいいの。上手に作ってあるでしょ? ちなみに、調合は秘密だよー!」
しかも、こいつが作った薬かよ!!
唯一自分の意思で動かすことができる目で力いっぱい睨みつけるが、「そんな色っぽい目で見られたら照れちゃうなー」と言われただけで全く効果はなかった。
優しい声とともに俺の股間に掛かる力は弱まったものの、急所を人質に取られているようなものだ。このままじゃ、下手に動けない。なんとかしてこいつから離れないと……
「要らない!! ていうか、俺のこと好きだのなんだの言うなら、皇帝の暗殺から手を引け!! そして俺の目の前に、二度と現れるな!!」
「えー、嫌だよ。皇帝暗殺の報酬は大切なキミとの結婚資金にするつもりなんだから」
皇帝を殺したら貰える報酬、めちゃくちゃイイよねー。と、今日の天気についてでも話題にするかのように相手が言った。確かに俺に提示された報酬も破格だった。世界で一番権力を持った人間を殺すのだから、当然だろう。
というか、なんとかしてここから逃げ出したいのに、この男、全く隙がない。
「そんな汚い金で俺を養おうなんてするんじゃねぇ!!」
「ふーん……じゃあキレイな金だったらいいんだ。オッケー! やっと、結婚してくれるって言ってもらえた、わーい!」
「そんなこと言ってな……っ!!」
どこをどうしたらそういうことになるんだ、と突っ込む前に唇を唇で塞がれた。
「んぐっ……!!」
無遠慮に舌が入り込んでくる。力いっぱい噛みついてやったら、俺のチンコに体重がかかった。そこを踏みつぶされる恐怖に怯んだ隙に、舌を引きずり出されて、お返しとばかりに噛みつかれた。
「こーゆーのが興奮するんだ? 確かに、ゾクゾクするねぇ……」
唇が離れると、相手の唇が唾液に濡れているのが視界に入った。思わず目を逸らす。その瞬間、両手をベッドに押さえつけていた手が離れて、俺の頸動脈に触れた。しまった。こいつがこのまま指に力を入れれば俺は……
「あー、心配しないで。これ飲んで欲しいだけだから」
相手の細長い指が俺の口に突っ込まれた。反射的に噛みついたけれど、小さな粒が口に落ちてきた。
「ん、なに……」
「ただの筋肉弛緩剤。即効性なんだけど効果時間は短くて、依存性もないから安心して」
今の台詞のどこに安心できる要素があるんだ!
口の中のものを吐き出そうとしたら、皮膚の上から軽く頸動脈を圧迫された。
「このまま絞めちゃってもいいんだけどさ。やっぱり、意識ない間にハジメテを済ませちゃうっていうのは楽しくないしー?」
「ぐっ……」
薬を飲んでも飲まなくても、こいつが今から俺を好き勝手しようとしていることには変わりないじゃないか!!
なんとかして、逃げ出す方法は……
「さて。そろそろ溶けたかな。はい、あーん」
「……っ!?」
俺の首元から手を離した相手が、口をこじ開けてくる。
抵抗しようとしても、身体に全く力が入らない。
「うん、よく効いてるみたい。良かった」
そういえば、先ほどまで口の中にあった粒の気配がもうない。
もしかして、もう溶けたのか!?
目を見開いたら、ニコッと笑いかけられた。
「そうそう。さっきの薬ね、すごくよく水に溶けるから、口の中に入れるだけでいいの。上手に作ってあるでしょ? ちなみに、調合は秘密だよー!」
しかも、こいつが作った薬かよ!!
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