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後日談3 嫉妬の行方
【2】嫉妬の行方*
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「あの、唯織さん……さっきはすみませんでした……」
部屋に入って、ようやく久我は少し落ち着いたようだ。攻撃的だったGlareが治まっている。
だけど、久我が落ち着いたところでオレは全然落ち着いていない。
「……Command寄越せよ」
とりあえず二人で並んでベッドに座ってみたけれど、オレは久我の足元に跪いてしまいたくなるのを必死に耐えながら、そう言った。
「えっ……」
「早く」
あんな高濃度のGlareを浴びて、オレに余裕なんてあるわけがない。
「も、もしかして、唯織さん、さっきのGlareで発情しちゃってます……?」
言い当てられて、顔に熱が集まる。
普通はあんなGlareを浴びれば委縮したり怯えたりするものなのかもしれない。
だけど、オレはそのどちらでもなく……あの時、久我が欲しいと思ってしまったんだ。
唇を引き結んだオレに、久我が少しだけGlareを発した。
「唯織さん、どうしてオレをここに連れてきたんですか? Speak」
「あんなGlare浴びて正気でいられるわけないだろ、馬鹿。しかも、あの場には相川とか他のSubだって居たのに……」
「本当、すみません……」
「久我のGlareが魅力的だって、他の奴が気づいたらどうすんだよ」
「へ? いや、それはないと思いますけど……」
そんなわけはない。
久我のGlareはこんなにも気持ち良くオレを狂わせるのに。
「こんなに煽情的で色気たっぷりなGlareなのにっ」
「いや、多分、そう思ってるの、唯織さんだけですよ? さっきのでお店ではDomもSubも何人か倒れてると思います……」
久我は溜息を吐いて、がっくりと肩を落としてそう言った。
久我が何を言っているのかちょっとわからない。
確かに、相川は具合が悪そうだった……? 気にならないわけではないけれど、長冨がついているから大丈夫だろう。それより、オレ自身が切羽詰まりすぎていて、他人の心配をしているだけの余裕がない。
「いいから、早く。あと、今後オレ以外にGlare使うのは禁止だ」
「いや、でもさっきのはDefenceで。唯織さんを守りたいって思ったから……」
「それでも。……勿体ないから、駄目だ」
「勿体ないって……」
「あんな全力のGlareを他の奴に向けるなんて、許さない」
「あのー……もしかして、唯織さん……嫉妬してます?」
嫉妬。
自分でも自覚はなかったけれど。もしかしたらそうなのかもしれない。久我のGlareはオレが全部欲しい。気づいてしまって、オレはふいっと視線を逸らす。
「ま、マジですか……!!」
だから、なんでこいつはオレの心をそう簡単に読んでしまうんだよ。
さっき相川を久我のGlareから庇うように動いてしまったのは、相川を助けようとかそんな考えがあったわけじゃない。
ただ、オレ以外のSubに久我のGlareを感じさせたくないと、咄嗟に思ってしまったからだった。
「喜んでないで、さっさと責任取れ。さっきの以上のGlareをくれるまで許してやんねぇ」
「オレの怒り任せのGlareにまで反応しちゃう唯織さん、可愛い……」
チュッと額にキスが落とされた。
「それじゃあStripして、ベッドにGo」
やっと貰えたCommandに身体が昂る。早く、あの全てを屈服させるほど強い久我のGlareに全部支配されたい。
ワイシャツのボタン1つ1つを外すのをもどかしい。興奮で震える手を叱咤しながら、オレは急いで服を全て脱ぎ捨てるとベッドに上がった。
入れ違いに久我が立ち上がって、ベッドの上に座ったオレを見下ろす。
オレは何も言われていないのに、脚を大きく開いて久我に全てをPresentした。
自分の弱いところを久我に見せつけて、まるで服従の意を表す動物にでもなったみたいだ。
「唯織さん、さっきのDomとは何を話してたんです?」
「話なんてしてな……」
「でも、口説かれてたでしょう?」
「んなことな……」
真正面から、さっき店で感じたのと同じようなGlareがくる。真正面からそれを浴びて、更に身体が芯から熱くなった。
「唯織さん、すっごい反応してる……」
すでにオレのペニスはガチガチに勃起していた。
するりと撫でられるだけでヤバイ。オレは歯を食いしばって射精感を堪えた。
「さっきの人の口説き文句思い出して勃起してるんですか?」
「ち、違っ……」
そんなわけないって久我もわかっているはずなのに。
ぶつけられているのは怒りのGlareであるにも関わらず、その強烈なGlareがものすごく心地良いもののように感じてしまう。
「さっき何があったのか、詳しくSpeak」
「相川が絡まれてたから、間に入っただけだ……GlareとCommand出されてたみたいだけど、よくわかんなかったし」
「へぇ。他のDomのGlareとCommand、ですか」
久我が低く硬い声で言って、出るGlareが一層強くなる。もしかして、久我が……嫉妬してる?
ゾクリと背中が泡立つ。
「ねぇ、唯織さん。空っぽになるまでイかせ続けられるのと、限界まで我慢させられるの、どっちがいいですか?」
オレは久我の提示してきた選択肢に目を見開いた。
「唯織さん、さっきオレのDefenceを無理矢理止めたでしょ。しかも、その矛先が自分に向くことをおねだりするなんて……オレもDomですよ。唯織さんに対して嗜虐欲が全くないわけじゃないんです。勿論、覚悟はできてますよね」
久我の顔には笑顔が浮かんでいるように見えるけれど、目は笑っていない。その奥に見える、久我の獰猛さにオレはゴクリと唾を飲み込む。
「我慢は無理。そんなの、気が狂う……」
オレは、バーで久我のDefenceのGlareを浴びたときから欲情していて、もう今にも爆発しそうだ。
「じゃ、沢山イきましょうね」
久我が、にっこりとオレに笑いかけた。
部屋に入って、ようやく久我は少し落ち着いたようだ。攻撃的だったGlareが治まっている。
だけど、久我が落ち着いたところでオレは全然落ち着いていない。
「……Command寄越せよ」
とりあえず二人で並んでベッドに座ってみたけれど、オレは久我の足元に跪いてしまいたくなるのを必死に耐えながら、そう言った。
「えっ……」
「早く」
あんな高濃度のGlareを浴びて、オレに余裕なんてあるわけがない。
「も、もしかして、唯織さん、さっきのGlareで発情しちゃってます……?」
言い当てられて、顔に熱が集まる。
普通はあんなGlareを浴びれば委縮したり怯えたりするものなのかもしれない。
だけど、オレはそのどちらでもなく……あの時、久我が欲しいと思ってしまったんだ。
唇を引き結んだオレに、久我が少しだけGlareを発した。
「唯織さん、どうしてオレをここに連れてきたんですか? Speak」
「あんなGlare浴びて正気でいられるわけないだろ、馬鹿。しかも、あの場には相川とか他のSubだって居たのに……」
「本当、すみません……」
「久我のGlareが魅力的だって、他の奴が気づいたらどうすんだよ」
「へ? いや、それはないと思いますけど……」
そんなわけはない。
久我のGlareはこんなにも気持ち良くオレを狂わせるのに。
「こんなに煽情的で色気たっぷりなGlareなのにっ」
「いや、多分、そう思ってるの、唯織さんだけですよ? さっきのでお店ではDomもSubも何人か倒れてると思います……」
久我は溜息を吐いて、がっくりと肩を落としてそう言った。
久我が何を言っているのかちょっとわからない。
確かに、相川は具合が悪そうだった……? 気にならないわけではないけれど、長冨がついているから大丈夫だろう。それより、オレ自身が切羽詰まりすぎていて、他人の心配をしているだけの余裕がない。
「いいから、早く。あと、今後オレ以外にGlare使うのは禁止だ」
「いや、でもさっきのはDefenceで。唯織さんを守りたいって思ったから……」
「それでも。……勿体ないから、駄目だ」
「勿体ないって……」
「あんな全力のGlareを他の奴に向けるなんて、許さない」
「あのー……もしかして、唯織さん……嫉妬してます?」
嫉妬。
自分でも自覚はなかったけれど。もしかしたらそうなのかもしれない。久我のGlareはオレが全部欲しい。気づいてしまって、オレはふいっと視線を逸らす。
「ま、マジですか……!!」
だから、なんでこいつはオレの心をそう簡単に読んでしまうんだよ。
さっき相川を久我のGlareから庇うように動いてしまったのは、相川を助けようとかそんな考えがあったわけじゃない。
ただ、オレ以外のSubに久我のGlareを感じさせたくないと、咄嗟に思ってしまったからだった。
「喜んでないで、さっさと責任取れ。さっきの以上のGlareをくれるまで許してやんねぇ」
「オレの怒り任せのGlareにまで反応しちゃう唯織さん、可愛い……」
チュッと額にキスが落とされた。
「それじゃあStripして、ベッドにGo」
やっと貰えたCommandに身体が昂る。早く、あの全てを屈服させるほど強い久我のGlareに全部支配されたい。
ワイシャツのボタン1つ1つを外すのをもどかしい。興奮で震える手を叱咤しながら、オレは急いで服を全て脱ぎ捨てるとベッドに上がった。
入れ違いに久我が立ち上がって、ベッドの上に座ったオレを見下ろす。
オレは何も言われていないのに、脚を大きく開いて久我に全てをPresentした。
自分の弱いところを久我に見せつけて、まるで服従の意を表す動物にでもなったみたいだ。
「唯織さん、さっきのDomとは何を話してたんです?」
「話なんてしてな……」
「でも、口説かれてたでしょう?」
「んなことな……」
真正面から、さっき店で感じたのと同じようなGlareがくる。真正面からそれを浴びて、更に身体が芯から熱くなった。
「唯織さん、すっごい反応してる……」
すでにオレのペニスはガチガチに勃起していた。
するりと撫でられるだけでヤバイ。オレは歯を食いしばって射精感を堪えた。
「さっきの人の口説き文句思い出して勃起してるんですか?」
「ち、違っ……」
そんなわけないって久我もわかっているはずなのに。
ぶつけられているのは怒りのGlareであるにも関わらず、その強烈なGlareがものすごく心地良いもののように感じてしまう。
「さっき何があったのか、詳しくSpeak」
「相川が絡まれてたから、間に入っただけだ……GlareとCommand出されてたみたいだけど、よくわかんなかったし」
「へぇ。他のDomのGlareとCommand、ですか」
久我が低く硬い声で言って、出るGlareが一層強くなる。もしかして、久我が……嫉妬してる?
ゾクリと背中が泡立つ。
「ねぇ、唯織さん。空っぽになるまでイかせ続けられるのと、限界まで我慢させられるの、どっちがいいですか?」
オレは久我の提示してきた選択肢に目を見開いた。
「唯織さん、さっきオレのDefenceを無理矢理止めたでしょ。しかも、その矛先が自分に向くことをおねだりするなんて……オレもDomですよ。唯織さんに対して嗜虐欲が全くないわけじゃないんです。勿論、覚悟はできてますよね」
久我の顔には笑顔が浮かんでいるように見えるけれど、目は笑っていない。その奥に見える、久我の獰猛さにオレはゴクリと唾を飲み込む。
「我慢は無理。そんなの、気が狂う……」
オレは、バーで久我のDefenceのGlareを浴びたときから欲情していて、もう今にも爆発しそうだ。
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