いつか、愛に跪くまで

夏芽玉

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後日談1 セカンドオピニオン

【1】セカンドオピニオン

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 オレは久我に紹介された大学病院に来ていた。先日初めてこの病院に来て色々検査をした。そして、今日は結果が出る日だ。

「プレイ不足によるGlare欠乏症ですね」
「はぁ、そうでしたか……」

 目の前のイスに座った医者が、カルテを見ながらオレにそう言った。
 オレはGlare不感症ではなかったらしい。ということで、あのヤブ者が名実ともにヤブ医者だと証明されてしまった。

 今回は以前のように簡単な問診だけで決まったのではなく、血液検査とか尿検査とかその他諸々検査してしっかりと調べてもらった結果なので、多分間違いはないだろう。

 今まで処方されていたGlareを感じやすくする薬は、この症状の場合は逆効果なので、もう飲まないように指導された。

 今までの長冨とのプレイは、ドライアイの人が目を瞑ったまま目薬を差しているようなものだったらしい。さらに処方されている薬が目の乾きを促すようなものだったとか……長冨には本当に悪いことをした。今度、高級な酒と果物の差し入れを持って行こうと思う。

 また、何らかの原因で……というか、久我のCommandのせいでオレのGlareを感知する器官が機能していなかったようだが、今はその兆候はないのでこちらも特に治療はしないことになった。

 自分のGlare以外感じるなというCommandもそれに従うことも論理上はあり得ないことではないけど、普通は身体機能の一部を制限するほど強いCommandを使うこともそれに従うこともできないらしい。オレがGlareを長年感じられなかったのは、規格外のオレと久我がそろったことで引き起ってしまったレアケースだったようだ。

「有坂さん、ちょっといいですか?」

 診察室でパソコン画面を見ながら検査結果の詳細と注意事項を伝えていた医師がオレに声を掛けたので、反射的にそちらを向いたら、なんかゾワっという感覚があった。強いて言えば、駅のホームで通りすがりに身体を触られたみたいな……

「今、Glare出したんだけど、どうでした?」
「あっ、えーっと……なんか、ゾワっとしました……」

 流石に痴漢されたみたいだったとは言えず、そう答えた。

「それなら、Glareは問題なく感じられてるみたいなので。今、特に不調がないのであれば、特に薬は飲まなくて大丈夫ですよ。抑制剤や抗不安剤など、頓服で必要な薬はありますか?」

 久我と付き合い始めてからは不調が一切ないので、オレは首を横に振った。
 とにかくオレにはGlareが不足しているので、複数のDomとのプレイも効果的だと言われた。

 後に、そのことを思い出して久我に言ってみたけれど、当然のように却下された。まぁ、オレも複数人とプレイすることは考えたこともなかったので、久我が相手してくれるだけで問題ないならそれでいいと思う。
 しかし、まさか病院で複数Domとのプレイを推奨されるとは思ってもみなかった……大学病院スゲぇな……

 あと、オレが久我のGlareでムラムラしてしまうのは、単なるGlare酔いだったようだ。
 乗り物酔いのほうではなく、アルコールで酔っ払うとか猫にマタタビ的な……

 Glare耐性が低い人やプレイ初心者がなりやすいらしい。あとは、相性が良い場合も。……相性が良い相手のGlareは浴びるだけで気持ちよくなれるというのは都市伝説じゃなかったらしい……
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