いつか、愛に跪くまで

夏芽玉

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本編

【8】サブスペース

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「今日はエッチなことはダメです。流石に、それ以上されたらオレは有坂さんとの約束を守れません。でも、欲しいと思ってくれたのは嬉しいです。ちゃんとStop止まれができたので、ご褒美をあげますよ。こっちソファの上に来てください」

 オレはソファに乗り上がった。だけど、ここだと久我が遠い。こっちでもソファの上で間違ってないだろうと、勝手に久我の膝の上に向かい合わせに座って抱きついた。

 バースペースでは情けない言動ばかりに意識が行ってしまったが、至近距離で久我の顔を覗き込むと、よく見ればDomらしく整った顔立ちをしていた。


「オレのGlareは好きですか?」

 オレはコクリと頷いた。
 濃厚なGlareにオレは完全に酔ってしまったようだ。
 
「倒れると危ないので、有坂さんがソファに座ってください。オレのGlareを全部受け止めきれたら、もっとイイコトしてあげますよ」

 のろのろとソファの上に降りると、久我は背もたれに両手をついてオレを囲い込む。久我の身体は宣言通り、自分からはオレに触れない。だけど、先ほどと同じくらい近くから視線が合わせられた。

 凶悪なまでの強いGlareに支配される。暴力的なまでの強さのGlareが心地良い。
 今までGlareをこんなに強く感じたことはなかった。


「有坂さん、大丈夫ですか?」
 
 ふわふわとした感覚に揺蕩いながら、声を掛けてくる相手を見つめて頷く。
 とても、気持ちがいい。

「あぁ、蕩けてる有坂さん、すごく可愛いです……ソファじゃなくて、ベッドにしてあげれば良かったですね……気が利かなくてすみません……自分で移動できますか? 抱っこしてあげられなくてすみません。足元がふらつくなら、肩を貸しますので掴まってください」

 その言葉に、次はベッドに移動すればいいのだと認識する。

 するりとソファから降りると、両手を床につき、四つん這いになってベッドへと向かう。

「有坂さん、とってもGood Boyいいこでした。ご褒美に、オレのこと全部あげますよ。今日は触れなくて十分にケアしてあげられないので、有坂さんがオレのこと、好きにしていいですよ」

 オレのことを追い越した久我が先にベッドに上がり、ごろりと大の字に転がった。
 後を追うように、オレもベッドに上がって、久我の体に擦り寄る。
 ぎゅっと抱き着いて、胸元にぐりぐりと顔を擦り付けるけれど何か物足りない。
 この布が邪魔なんだと気づいたオレは、久我のシャツのボタンを外した。

「あ、有坂さん……?」

 インナーを捲りあげると、久我の素肌がようやく表れた。
 オレは、露わになった腹部に頬ずりをして、チュウチュウと吸い付いた。

「んぁっ……ちょっ、有坂さんっ、それは……」

 久我の上ずった声が、なんだか可愛く感じてしまう。
 オレはなんだか楽しくなって、クスクスと笑ってしまった。
 弾力のある肌をペロリと舐めると、男の汗の味がした。

「はぁ……我慢しますよ……ご褒美ですからね……。気が済むまでどうぞ。でも、触るのは上半身だけにしてくださいね。それ以上されたら、流石に我慢できません。あと、次、プレイするときは、オレからの接触NGは解除してくださいよ」

 ため息交じりの声を聴きながら、オレは今まで感じたこともないようなふわふわとした多幸感に身を委ねたのだった。


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