見た目詐欺アルファの優しい檻～会社の先輩とアプリでマッチングしたらいつの間にかがっつり外堀埋められて囲われていました

番外編

塩オメガは発情期じゃなくてもまぐわいたい その１

「ねぇ、今日はエッチしていい？」
「ダメです」
「じゃ、明日は？」
「そんなの明日聞いてください」
「えー、でも、昨日は『そんなこと急に言われても困る』って言ってたし……」
「昨日と今日は違うんです！　あと、今、料理してるんだから邪魔しないでくださいっ」

　そう言って、オレはしつこくまとわりついてくる礼二さんをキッチンから追い出した。

　あああ、可愛くない。めちゃくちゃ可愛くないっ！！
　オレは内心で頭を抱える。
　なんで、素直に「オレもしたいです」って言えないんだろう。ていうか、礼二さんも一回断られたくらいで簡単に引き下がらないで欲しい。もっと強引に迫ってもらえれば、オレだって……って、こんなのは完全に、八つ当たりだってわかってる。わかってるんだけど。

『発情期ヒートじゃなくても礼二さんとエッチしたいです』

　そう言ったのは、オレなのに。そして、その気持ちは本当なのに。
　発情期ヒートのときは、理性なんて吹っ飛んじゃってるから、欲望ただ漏れで礼二さんを誘いまくってしまう。その反動か、通常期シラフだとどうしても、羞恥心が拭えないのだ。
　おかげで前回の発情期ヒート以来、オレは礼二さんとセックスできていなかった。

　ああ、ちんちんがイライラするっ！！

　家に居る間は礼二さんが常にオレにくっついているのでこっそり抜くこともできず、悶々とした日々を過ごしている。礼二さんもオレが寝た後に自室でこっそり抜いてマーキングしてないで、寝てるオレに突っ込んじゃえばいいのにっ！！

　ムラムラが溜まりすぎて、だんだん思考もおかしくなってきている気がする。こんなんじゃ、オレはあらぬタイミングで理性を失って礼二さんを誘ってしまうかもしれない。
　そうならないように、次の週末こそは礼二さんとエッチができるよう頑張ろう。
　オレはそう固く心に誓った。