31 / 57
後日談2 VIPルーム / 相川湊
【4】上書きしちゃっていいですか?
しおりを挟む
「部屋の入口に立ってもらっていい?」
僕は恭介さんの指示に従って、ベッドから降りて部屋の入口に行った。
「湊、Come」
振り返った僕に、ベッドに腰を掛けた恭介さんが言った。
確かにCommandをもらったのだけれど、恭介さんからはGlareが出ていない。
僕は首を傾げつつも、言われた通りに恭介さんに近づいた。
「Good。次は、Kneelして」
やっぱりCommandをくれる恭介さんからはGlareが出ていない。
目を瞬かせながら僕は恭介さんの足元にペタンと座った。
「……?」
不思議に思いながら恭介さんを見上げていたら、わしゃわしゃっと頭を撫でられた。
そして、そのまま恭介さんはボスっとベッドに寝転がってしまった。
「え……?」
「おしまい」
「えっ、えぇっ……!?」
恭介さんが何を言ってるのか本気でわからない。
「湊も、kneelはもういいよ」
言われて慌てて立ち上がって、寝転がった恭介さんを覗き込む。
「えっ、あの……今のはいったい……?」
「んー、プレイ?」
「ええっ!? 嘘だぁ!?」
「残念ながら、本当。10年間、有坂とはこんな感じだったよ」
苦笑しながら恭介さんが言う。
話をよく聞いてみると、有坂さんはGlareを感じにくい体質らしく、たったあれだけの動作で恭介さんのほうがGlareを出し過ぎて倒れてしまっていたそうだ。
バーカウンターで失礼なDomからのGlareを平然と受け流し、Commandを無視しまくっていた有坂さんの姿を思い出す。
え、もしかして有坂さんにはあのCommand、本気で全部通じていなかったの!? そしてその後に来たGlareの塊みたいな久我さんのことを思い出して、なんだか僕は納得した。
あのくらい強いGlareを持つ久我さんじゃないと、有坂さんのことは従えられないようだ。勿論、そこには久我さんにControlされたいっていう有坂さんの気持ちもあるのだろうけれど。
「そういえば、有坂さんは……」
「ああ、DefenceでGlareを異常放出している久我の首根っこを捕まえて、そのまま店を出て行ったよ」
あのGlareの中で動けるなんて、信じられない。
有坂さんは僕より久我さんに近いところに居たから、あの恐ろしいGlareを僕よりまともに浴びているはずなのに!!
というか、久我さんがDefence状態になったときに、有坂さんは僕を庇ってくれた気がする。
久我さんのGlareは規格外って聞いたことがあるけれど、そんな久我さんの本気のGlareにも怯まない有坂さんって、実は超人なのでは!?
「なぁ、湊。癒して」
ベッドに寝転がったまま、恭介さんが腕を伸ばしてきたので、僕もベッドに上がって恭介さんに抱き着いた。
胸に頬を寄せると、恭介さんが僕を腕の中に閉じ込めた。恭介さんの心音と体温が伝わってきて、僕はホッと息を吐いた。
「恭介さんは……有坂さんと……」
「何?」
口に出してしまってから、言っていいのか悩んでしまった。
だけど、恭介さんは言い淀んだ僕の言葉の続きを促すように髪を撫でてくれた。
「……プレイしてて、楽しかったですか?」
「いや、全然」
やっぱり、そうだよね。さっきのは、動作確認か何かの作業か……そんな感じしかしなかった。
あれがプレイだったのだとしたら、多分、お互い何も満たされなかったことだろう。
「恭介さんのこの部屋での思い出、僕が全部上書きしちゃっていいですか?」
僕は顔を上げて、恭介さんの目を見て言った。
「へぇ……湊が?」
恭介さんが、目を細めて笑う。
「何をしてくれるつもり?」
「恭介さんを、全部満たしてあげたいです」
「オレは、湊といるときはいつでも満たされてるけど?」
僕は身体を起こして恭介さんの腰に跨った。
腕を恭介さんの顔の両側について、恭介さんを押し倒したみたいな姿勢になる。
「今日は僕が全部するので、恭介さんはじっとしていてくださいね」
僕は恭介さんの指示に従って、ベッドから降りて部屋の入口に行った。
「湊、Come」
振り返った僕に、ベッドに腰を掛けた恭介さんが言った。
確かにCommandをもらったのだけれど、恭介さんからはGlareが出ていない。
僕は首を傾げつつも、言われた通りに恭介さんに近づいた。
「Good。次は、Kneelして」
やっぱりCommandをくれる恭介さんからはGlareが出ていない。
目を瞬かせながら僕は恭介さんの足元にペタンと座った。
「……?」
不思議に思いながら恭介さんを見上げていたら、わしゃわしゃっと頭を撫でられた。
そして、そのまま恭介さんはボスっとベッドに寝転がってしまった。
「え……?」
「おしまい」
「えっ、えぇっ……!?」
恭介さんが何を言ってるのか本気でわからない。
「湊も、kneelはもういいよ」
言われて慌てて立ち上がって、寝転がった恭介さんを覗き込む。
「えっ、あの……今のはいったい……?」
「んー、プレイ?」
「ええっ!? 嘘だぁ!?」
「残念ながら、本当。10年間、有坂とはこんな感じだったよ」
苦笑しながら恭介さんが言う。
話をよく聞いてみると、有坂さんはGlareを感じにくい体質らしく、たったあれだけの動作で恭介さんのほうがGlareを出し過ぎて倒れてしまっていたそうだ。
バーカウンターで失礼なDomからのGlareを平然と受け流し、Commandを無視しまくっていた有坂さんの姿を思い出す。
え、もしかして有坂さんにはあのCommand、本気で全部通じていなかったの!? そしてその後に来たGlareの塊みたいな久我さんのことを思い出して、なんだか僕は納得した。
あのくらい強いGlareを持つ久我さんじゃないと、有坂さんのことは従えられないようだ。勿論、そこには久我さんにControlされたいっていう有坂さんの気持ちもあるのだろうけれど。
「そういえば、有坂さんは……」
「ああ、DefenceでGlareを異常放出している久我の首根っこを捕まえて、そのまま店を出て行ったよ」
あのGlareの中で動けるなんて、信じられない。
有坂さんは僕より久我さんに近いところに居たから、あの恐ろしいGlareを僕よりまともに浴びているはずなのに!!
というか、久我さんがDefence状態になったときに、有坂さんは僕を庇ってくれた気がする。
久我さんのGlareは規格外って聞いたことがあるけれど、そんな久我さんの本気のGlareにも怯まない有坂さんって、実は超人なのでは!?
「なぁ、湊。癒して」
ベッドに寝転がったまま、恭介さんが腕を伸ばしてきたので、僕もベッドに上がって恭介さんに抱き着いた。
胸に頬を寄せると、恭介さんが僕を腕の中に閉じ込めた。恭介さんの心音と体温が伝わってきて、僕はホッと息を吐いた。
「恭介さんは……有坂さんと……」
「何?」
口に出してしまってから、言っていいのか悩んでしまった。
だけど、恭介さんは言い淀んだ僕の言葉の続きを促すように髪を撫でてくれた。
「……プレイしてて、楽しかったですか?」
「いや、全然」
やっぱり、そうだよね。さっきのは、動作確認か何かの作業か……そんな感じしかしなかった。
あれがプレイだったのだとしたら、多分、お互い何も満たされなかったことだろう。
「恭介さんのこの部屋での思い出、僕が全部上書きしちゃっていいですか?」
僕は顔を上げて、恭介さんの目を見て言った。
「へぇ……湊が?」
恭介さんが、目を細めて笑う。
「何をしてくれるつもり?」
「恭介さんを、全部満たしてあげたいです」
「オレは、湊といるときはいつでも満たされてるけど?」
僕は身体を起こして恭介さんの腰に跨った。
腕を恭介さんの顔の両側について、恭介さんを押し倒したみたいな姿勢になる。
「今日は僕が全部するので、恭介さんはじっとしていてくださいね」
1
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
解放
papiko
BL
過去にCommandされ、名前を忘れた白銀の髪を持つ青年。年齢も分からず、前のDomさえ分からない。瞳は暗く影が落ち、黒ずんで何も映さない。
偶々、甘やかしたいタイプのアルベルに拾われ名前を貰った白銀の青年、ロイハルト。
アルベルが何十という数のDomに頼み込んで、ロイハルトをDropから救い出そうとした。
――――そして、アルベル苦渋の決断の末、選ばれたアルベルの唯一無二の親友ヴァイス。
これは、白銀の青年が解放される話。
〘本編完結済み〙
※ダイナミクスの設定を理解してる上で進めています。一応、説明じみたものはあります。
※ダイナミクスのオリジナル要素あります。
※3Pのつもりですが全くやってません。
※番外編、書けたら書こうと思います。
【リクエストがあれば執筆します。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる