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後日談2 VIPルーム / 相川湊
【3】僕の我儘
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目覚めたら、VIPルームのベッドに寝かされていた。
久我さんのGlareは僕にとっては凶悪すぎて、意識がない間でさえもすごく怖い夢を見ていた気がするんだけど、目が覚めたときに恭介さんが側にいてくれて、恭介さんのGlareに包まれているうちに僕はだんだん落ち着きを取り戻していった。
あの時、カウンタースペースに僕たち以外のお客さんはいなかった。
フロアには恭介さんが居たから、被害はあんまりなかったんだそうだ。
僕は知らなかったんだけど、Dom同士でGlareをぶつけると相殺することができるらしい。
ただ、久我さんのGlareと、それを打ち消すために恭介さんが出したGlareに挟まれて、僕はぶっ倒れてしまったようだ。恭介さんにしきりに謝られたけれど、恭介さんのGlareがあったからサブドロップしなくて済んだんじゃないかって僕は思ってる。
僕が恭介さんのお店のVIPルームに入るのは初めてだ。
芸能人とかがお忍びで使うこともあるっていうVIPルームは、アンティーク調で、まるでホテルの一室みたいに豪華ですごく素敵なお部屋だった。
だけど、僕は恭介さんにここを使いたいと言ったことはなかった。だって、恭介さんが有坂さんとここでプレイをしていたというのを、僕は葉月さんから聞いたことがあったから。
そして、恭介さんも今まで僕をこの部屋に誘ったことはなかった。
恭介さんのGlareで落ち着いていた心がだんだんざわついてきて、少しずつ昏い色に染まっていく。
気にしても仕方ない。わかっているんだけど……僕の心の中に渦巻く感情……これは嫉妬だ。
だって、有坂さんはとても魅力的な人なんだもの。恭介さんの心がまた有坂さんに向いてしまうのが、僕はとても怖い。有坂さんは素敵な人だけど、それを知れば知るほど恭介さんの心がいつか僕から離れて行ってしまうんじゃないかって思ってしまって、僕は落ち着かない気持ちになる。
沈んだ心のままに唇を噛んで俯いてしまった僕の顔を恭介さんが覗き込んで、どうしたの?と言った。
「……この部屋に来ると、有坂さんとのことを思い出したりしますか?」
「気になる?」
そう問いかけられて、僕は頷いた。
「……恭介さんが有坂さんとしていたプレイ、僕もしたいです」
僕がそう言うと恭介さんは僕の頭を優しく撫でてくれた。
「いいよ。でも、今日は湊の調子が悪そうだから、また今度に……」
「イヤです。今がいいです」
また今度なんて。今の機会を失ったらもしかしたらこんなチャンスは二度とこないかもしれない、と思った。僕が怖気づいてしまうかもしれないし、恭介さんの気が変わってしまうことだってあるかもしれない。
「ん。じゃあ、しよっか」
恭介さんは優しいから、僕の我儘を聞いてくれた。
久我さんのGlareは僕にとっては凶悪すぎて、意識がない間でさえもすごく怖い夢を見ていた気がするんだけど、目が覚めたときに恭介さんが側にいてくれて、恭介さんのGlareに包まれているうちに僕はだんだん落ち着きを取り戻していった。
あの時、カウンタースペースに僕たち以外のお客さんはいなかった。
フロアには恭介さんが居たから、被害はあんまりなかったんだそうだ。
僕は知らなかったんだけど、Dom同士でGlareをぶつけると相殺することができるらしい。
ただ、久我さんのGlareと、それを打ち消すために恭介さんが出したGlareに挟まれて、僕はぶっ倒れてしまったようだ。恭介さんにしきりに謝られたけれど、恭介さんのGlareがあったからサブドロップしなくて済んだんじゃないかって僕は思ってる。
僕が恭介さんのお店のVIPルームに入るのは初めてだ。
芸能人とかがお忍びで使うこともあるっていうVIPルームは、アンティーク調で、まるでホテルの一室みたいに豪華ですごく素敵なお部屋だった。
だけど、僕は恭介さんにここを使いたいと言ったことはなかった。だって、恭介さんが有坂さんとここでプレイをしていたというのを、僕は葉月さんから聞いたことがあったから。
そして、恭介さんも今まで僕をこの部屋に誘ったことはなかった。
恭介さんのGlareで落ち着いていた心がだんだんざわついてきて、少しずつ昏い色に染まっていく。
気にしても仕方ない。わかっているんだけど……僕の心の中に渦巻く感情……これは嫉妬だ。
だって、有坂さんはとても魅力的な人なんだもの。恭介さんの心がまた有坂さんに向いてしまうのが、僕はとても怖い。有坂さんは素敵な人だけど、それを知れば知るほど恭介さんの心がいつか僕から離れて行ってしまうんじゃないかって思ってしまって、僕は落ち着かない気持ちになる。
沈んだ心のままに唇を噛んで俯いてしまった僕の顔を恭介さんが覗き込んで、どうしたの?と言った。
「……この部屋に来ると、有坂さんとのことを思い出したりしますか?」
「気になる?」
そう問いかけられて、僕は頷いた。
「……恭介さんが有坂さんとしていたプレイ、僕もしたいです」
僕がそう言うと恭介さんは僕の頭を優しく撫でてくれた。
「いいよ。でも、今日は湊の調子が悪そうだから、また今度に……」
「イヤです。今がいいです」
また今度なんて。今の機会を失ったらもしかしたらこんなチャンスは二度とこないかもしれない、と思った。僕が怖気づいてしまうかもしれないし、恭介さんの気が変わってしまうことだってあるかもしれない。
「ん。じゃあ、しよっか」
恭介さんは優しいから、僕の我儘を聞いてくれた。
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