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本編
【22】不憫DomとへなちょこSubの大団円
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「夢だと思ってたんだ。湊が好きって言うたびに、オレも好きって言ってたんだけれど、それは覚えてない?」
「うぅ……それは覚えてないです」
湊は目を大きく見開いた後、しょんぼりとした顔をした。なんだか、表情だけで考えてることが伝わってきそうだ。
「何回でも言ってあげる。湊、好きだよ。恋人になって欲しい」
「嘘……」
「嘘じゃないよ」
「でも、有坂さんは……」
「ただの友達だよ」
もしかしたらただの友達というよりはほんの少しだけ深い関係だったかもしれない。だけど、結局オレ達は友達以上の関係にはならなかったし、これからもずっとただの友達だろう。
その関係は、これから湊と紡いでいきたい絆に比べたら、些細なものにしかなりえない。
「……でも、有坂さんともプレイしてたんですよね……?」
湊とプレイをした後では、有坂とのあれはプレイだったのだろうかという気すらしてきた。本当に酷い関係だった。微妙な顔をしたオレに湊が不安そうな顔をした。
「んー……10年程パートナーのような真似事はしてたけれど……」
「10年も……」
「結局、その10年間で有坂に使ったCommandはComeとKneelだけだよ」
「えっ……!?」
多分、湊はオレと湊がしたプレイのようなものを想像したのだろうけれど、オレと有坂の間にそんなことをしたという事実は全くない。
「本当に、友達として体調不良解消の手助けをしてただけだから。でも、それももうお役御免になったし」
「じゃあ、今日みたいなことは……」
「湊としたようなことは一切してないよ。なんなら有坂に直接聞いてごらん。ただし、その時は湊のことを恋人だって紹介するけどいい?」
オレの言葉の意味を理解した様子の湊は、頬を染めて俯いた。
「……恭介さん、ずるいです」
「何が?」
何に気を損ねさせてしまったのだろうかと顔を覗き込むと、赤い顔のまま湊が膨れっ面をしていた。
「僕が先に言いたかったのに。恋人にしてくださいって」
「言ってくれるの?」
オレの好きな人は、可愛いことでいじけていたようだ。
頬に手を添えて、湊の顔を持ち上げる。視線が絡み合う。
「恭介さん。僕は恭介さんが好きです。恋人にしてください」
「うん、恋人になろっか。……今度、湊にCollarを送ってもいい?」
「そ、それって……Claimするってことですか……!?」
DomからSubにCollarを送りたいというのはプロポーズと同義だ。
Collarはそれを送ったDomとSubが特別な関係であることを示す、婚約指輪とか結婚指輪のような役割も持つ。そして、Claim関係にあるDomとSudは公的にも結婚しているのと同じ扱いを受けられるようになる。
「返事はすぐじゃなくていいよ。だけど、湊が嫌じゃなかったら……」
「嬉しいです、夢みたいだ……」
「夢じゃないよ。オレのSubは湊だけだ」
オレ達はどちらともなくキスをした。
「なぁ……湊、今度はちゃんと恋人のエッチしたい」
キスをしただけでオレはあっさりと気持ちが昂ってしまった。それに、勘違いさせたまま湊の初体験を終わらせたくなかった。さっきよりはオレも落ち着いているハズ……だと思いたい。
「でも、恭介さん、この後出勤……」
「お願い。ちょっとだけでもいいから」
「んー……、いいですけど……」
湊を再び寝室に連れ込んで、ベッドの上で服を脱がせる。
露わになった素肌にきつく吸い付いて、いくつも所有痕をつけていく。
一度湊を抱いて少しは落ち着いたかと思ったけれど、全然そんなことはない。湊の裸を見て、オレはすぐに興奮してしまった。
「すみません、恭介さん……僕、実は言わなきゃなんないことがあって……」
「何?」
「恭介さん……さっきからずっと、Glareが強いです……」
「えっ……?」
そう言うなり、オレの腕の中でふにゃりと湊が溶けた。
慌てて顔を覗き込んだら、その表情は昨夜の湊と全く同じで……
サブスペースに入ってる……!?
「嘘だろ……?」
確かにさっきからオレの気持ちは相当昂っていたので、自分がどれだけGlareを出していたかなんて気にもしていなかったけれど、まさかこのタイミングで!?
ていうか、うっかり漏らしたGlareだけで湊はサブスペースに入ってしまうのか!?
確かに、湊はGlareに敏感だとは聞いていたけれど……
オレはまさかのタイミングでお預けを食らってしまい、幸せそうな顔で抱き着いてくる湊を呆然としながら抱きしめ返した。
昨日の様子からして……湊がサブスペースから帰ってくるのは、そんなにすぐではなさそうだ。流石にこの状態の湊を一人残して出勤するわけにもいかない。
結局、今日は図らずも有休をとることになってしまった。
こうして、オレに可愛い恋人ができた。
目下の悩みは、湊がGlareに弱すぎて、プレイが始まるとすぐにグズグズに蕩けてしまったり、うっかりオレの気持ちが昂りすぎるとすぐにスペースに入ってしまったりすることだ。
それも可愛いのだけれど、そのたびに愛しい存在を前に手を出せないもどかしさに悶えることになる。
だけどそれすらも愛しく思ってしまうので、仕方ない。
苦難は、まだまだこれからも続きそうだ。
「うぅ……それは覚えてないです」
湊は目を大きく見開いた後、しょんぼりとした顔をした。なんだか、表情だけで考えてることが伝わってきそうだ。
「何回でも言ってあげる。湊、好きだよ。恋人になって欲しい」
「嘘……」
「嘘じゃないよ」
「でも、有坂さんは……」
「ただの友達だよ」
もしかしたらただの友達というよりはほんの少しだけ深い関係だったかもしれない。だけど、結局オレ達は友達以上の関係にはならなかったし、これからもずっとただの友達だろう。
その関係は、これから湊と紡いでいきたい絆に比べたら、些細なものにしかなりえない。
「……でも、有坂さんともプレイしてたんですよね……?」
湊とプレイをした後では、有坂とのあれはプレイだったのだろうかという気すらしてきた。本当に酷い関係だった。微妙な顔をしたオレに湊が不安そうな顔をした。
「んー……10年程パートナーのような真似事はしてたけれど……」
「10年も……」
「結局、その10年間で有坂に使ったCommandはComeとKneelだけだよ」
「えっ……!?」
多分、湊はオレと湊がしたプレイのようなものを想像したのだろうけれど、オレと有坂の間にそんなことをしたという事実は全くない。
「本当に、友達として体調不良解消の手助けをしてただけだから。でも、それももうお役御免になったし」
「じゃあ、今日みたいなことは……」
「湊としたようなことは一切してないよ。なんなら有坂に直接聞いてごらん。ただし、その時は湊のことを恋人だって紹介するけどいい?」
オレの言葉の意味を理解した様子の湊は、頬を染めて俯いた。
「……恭介さん、ずるいです」
「何が?」
何に気を損ねさせてしまったのだろうかと顔を覗き込むと、赤い顔のまま湊が膨れっ面をしていた。
「僕が先に言いたかったのに。恋人にしてくださいって」
「言ってくれるの?」
オレの好きな人は、可愛いことでいじけていたようだ。
頬に手を添えて、湊の顔を持ち上げる。視線が絡み合う。
「恭介さん。僕は恭介さんが好きです。恋人にしてください」
「うん、恋人になろっか。……今度、湊にCollarを送ってもいい?」
「そ、それって……Claimするってことですか……!?」
DomからSubにCollarを送りたいというのはプロポーズと同義だ。
Collarはそれを送ったDomとSubが特別な関係であることを示す、婚約指輪とか結婚指輪のような役割も持つ。そして、Claim関係にあるDomとSudは公的にも結婚しているのと同じ扱いを受けられるようになる。
「返事はすぐじゃなくていいよ。だけど、湊が嫌じゃなかったら……」
「嬉しいです、夢みたいだ……」
「夢じゃないよ。オレのSubは湊だけだ」
オレ達はどちらともなくキスをした。
「なぁ……湊、今度はちゃんと恋人のエッチしたい」
キスをしただけでオレはあっさりと気持ちが昂ってしまった。それに、勘違いさせたまま湊の初体験を終わらせたくなかった。さっきよりはオレも落ち着いているハズ……だと思いたい。
「でも、恭介さん、この後出勤……」
「お願い。ちょっとだけでもいいから」
「んー……、いいですけど……」
湊を再び寝室に連れ込んで、ベッドの上で服を脱がせる。
露わになった素肌にきつく吸い付いて、いくつも所有痕をつけていく。
一度湊を抱いて少しは落ち着いたかと思ったけれど、全然そんなことはない。湊の裸を見て、オレはすぐに興奮してしまった。
「すみません、恭介さん……僕、実は言わなきゃなんないことがあって……」
「何?」
「恭介さん……さっきからずっと、Glareが強いです……」
「えっ……?」
そう言うなり、オレの腕の中でふにゃりと湊が溶けた。
慌てて顔を覗き込んだら、その表情は昨夜の湊と全く同じで……
サブスペースに入ってる……!?
「嘘だろ……?」
確かにさっきからオレの気持ちは相当昂っていたので、自分がどれだけGlareを出していたかなんて気にもしていなかったけれど、まさかこのタイミングで!?
ていうか、うっかり漏らしたGlareだけで湊はサブスペースに入ってしまうのか!?
確かに、湊はGlareに敏感だとは聞いていたけれど……
オレはまさかのタイミングでお預けを食らってしまい、幸せそうな顔で抱き着いてくる湊を呆然としながら抱きしめ返した。
昨日の様子からして……湊がサブスペースから帰ってくるのは、そんなにすぐではなさそうだ。流石にこの状態の湊を一人残して出勤するわけにもいかない。
結局、今日は図らずも有休をとることになってしまった。
こうして、オレに可愛い恋人ができた。
目下の悩みは、湊がGlareに弱すぎて、プレイが始まるとすぐにグズグズに蕩けてしまったり、うっかりオレの気持ちが昂りすぎるとすぐにスペースに入ってしまったりすることだ。
それも可愛いのだけれど、そのたびに愛しい存在を前に手を出せないもどかしさに悶えることになる。
だけどそれすらも愛しく思ってしまうので、仕方ない。
苦難は、まだまだこれからも続きそうだ。
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