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69.帰る場所
しおりを挟む「元の世界に恋人なんて居ないけど……?」
いったいグエンは何を勘違いしているのだろう?
オレは心当たりがなくて、首を傾げた。
「しかし、あの時ショータは確かに『好きだ』と言っていた。相手の名前は、レオだったか……」
「え? なんでグエンが礼央のこと知って……」
こっちの世界に来てから、礼央のことを誰かに話した記憶はない。
禁書庫で通話をしたときに呼んだような気もするけれど……
「って……ああっ!?」
その時のことを思い出して、思わず声を上げてしまった。
そういえば、通話の後にグエンに声を掛けられた気がする。しばらく経ってからだったから、オレの通話中は禁書庫には居なかったと思っていたんだけど……もしかして、グエンは礼央との通話を聞いていた!?
オレはようやくそのことに気付いた。
「あのね……オレが好きなのはグエンだよ」
ちゃんと説明しなきゃ。そう思って、オレはまっすぐグエンの方を向いた。
「それで礼央っていうのはオレの親友で……今度、結婚するんだ。それを知ってオレはショックのあまりポメラニアンになって、こっちの世界に来ちゃったわけなんたけど……」
「ショータは今もその者のことを……?」
不安そうに言うグエンに、オレは首を振った。
「確かに、オレは礼央のことが好きだった。だけど、完全にオレの一方的な片想いで……礼央はオレの気持ちを知らなかったし、恋人関係だったことは一度もないよ。それに今、オレが好きなのはグエンで……えぇと、つまり……グエンがオレの初めての恋人、……てことっ!」
この歳まで誰とも付き合ったことすらないというのもちょっと恥ずかしいし、しかも自分でグエンのことを恋人というのも気恥ずかしい。だけど、オレはそう言い切った。
「でも……」
「それで。禁書庫でジョゼフの日記を読み終わったとき、急にスマホが鳴って……あ、スマホっていうのは、あの黒くて四角い板のことね。あれは、オレが元に居た世界での通信機器なんだけど。それが、あの時、何故か元の世界と繋がったみたいで……礼央と話をしたんだ」
「それで、帰るという約束を……?」
やっぱり、オレが礼央にそう言ったのもグエンは聞いていたのか。手の上で拳をぎゅっと握りしめたグエンに、オレは首を振った。
「元の世界には家族も友達も居る。だから、もし帰れたら……グエンのこと紹介して、『今、幸せだよ』って言いたかったなって思って……グエンにオレの居た世界も見せてあげたいな、なんて思うし……まぁ、それはきっと無理なんだろうけど……」
でも、あの時ちゃんと礼央にお別れの言葉を伝えられた。それで十分だ。
「私は……私では、ショータの帰る場所になることはできないか?」
グエンの言葉にオレは顔を上げた。
「私と一緒に居ることで、ショータを大切な人から引き離してしまうことになるのは……すまない。だけど、どうしてもショータと離れたくない」
苦しそうにグエンが言う。
「オレのことを一番に愛して。そして、オレの一番大切な人になって。グエンとずっと一緒に居たいと思ってるから……」
「ショータ、愛してる」
「オレも愛してるよ」
視線が絡まると、オレたちはどちらともなくキスをした。
いったいグエンは何を勘違いしているのだろう?
オレは心当たりがなくて、首を傾げた。
「しかし、あの時ショータは確かに『好きだ』と言っていた。相手の名前は、レオだったか……」
「え? なんでグエンが礼央のこと知って……」
こっちの世界に来てから、礼央のことを誰かに話した記憶はない。
禁書庫で通話をしたときに呼んだような気もするけれど……
「って……ああっ!?」
その時のことを思い出して、思わず声を上げてしまった。
そういえば、通話の後にグエンに声を掛けられた気がする。しばらく経ってからだったから、オレの通話中は禁書庫には居なかったと思っていたんだけど……もしかして、グエンは礼央との通話を聞いていた!?
オレはようやくそのことに気付いた。
「あのね……オレが好きなのはグエンだよ」
ちゃんと説明しなきゃ。そう思って、オレはまっすぐグエンの方を向いた。
「それで礼央っていうのはオレの親友で……今度、結婚するんだ。それを知ってオレはショックのあまりポメラニアンになって、こっちの世界に来ちゃったわけなんたけど……」
「ショータは今もその者のことを……?」
不安そうに言うグエンに、オレは首を振った。
「確かに、オレは礼央のことが好きだった。だけど、完全にオレの一方的な片想いで……礼央はオレの気持ちを知らなかったし、恋人関係だったことは一度もないよ。それに今、オレが好きなのはグエンで……えぇと、つまり……グエンがオレの初めての恋人、……てことっ!」
この歳まで誰とも付き合ったことすらないというのもちょっと恥ずかしいし、しかも自分でグエンのことを恋人というのも気恥ずかしい。だけど、オレはそう言い切った。
「でも……」
「それで。禁書庫でジョゼフの日記を読み終わったとき、急にスマホが鳴って……あ、スマホっていうのは、あの黒くて四角い板のことね。あれは、オレが元に居た世界での通信機器なんだけど。それが、あの時、何故か元の世界と繋がったみたいで……礼央と話をしたんだ」
「それで、帰るという約束を……?」
やっぱり、オレが礼央にそう言ったのもグエンは聞いていたのか。手の上で拳をぎゅっと握りしめたグエンに、オレは首を振った。
「元の世界には家族も友達も居る。だから、もし帰れたら……グエンのこと紹介して、『今、幸せだよ』って言いたかったなって思って……グエンにオレの居た世界も見せてあげたいな、なんて思うし……まぁ、それはきっと無理なんだろうけど……」
でも、あの時ちゃんと礼央にお別れの言葉を伝えられた。それで十分だ。
「私は……私では、ショータの帰る場所になることはできないか?」
グエンの言葉にオレは顔を上げた。
「私と一緒に居ることで、ショータを大切な人から引き離してしまうことになるのは……すまない。だけど、どうしてもショータと離れたくない」
苦しそうにグエンが言う。
「オレのことを一番に愛して。そして、オレの一番大切な人になって。グエンとずっと一緒に居たいと思ってるから……」
「ショータ、愛してる」
「オレも愛してるよ」
視線が絡まると、オレたちはどちらともなくキスをした。
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