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32.キスと愛撫と体温と*
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「キスはしてもいいか?」
そう聞かれて、オレは再びフルフルと首を横に振った。
だって、今、キスをされたら、オレはグエンのことをそういった意味で好きになってしまいそうだと思ったから。
グエンがオレに近寄ってくると、オレの頬に両手で触れた。整った顔がどんどん近づいてきて、オレはギュッと目を瞑った。
唇にキスをされるのかと思って身構えたけど、グエンの唇が触れたのはオレの額だった。それから、鼻先、瞼……と顔中にキスをされた。そのキスはとても優しかった。心臓がドキドキとうるさい音を立てる。
「私を見て」
そう言われて、オレはそっと目を開けた。
また、グエンの顔が近づいて来て、今度は頬をペロリと舐められた。
「なっ……」
驚きで固まっていると、顎の先もペロペロと舐められる。舌は唇よりも温かくて、オレはゾクっとしてしまった。
「や、だめ……」
「何故だ? ビジュも今まで私に同じことをしていただろう?」
グエンの身体を押しやろうとしたけれど、その手を取られてベッドに縫い付けられてしまった。
ううう、確かに。オレがポメラニアンだったときは、コミュニケーションの一環として、グエンの指や頬を舐めることはあったけれど……
「ビジュがしてくれたことを、私がビジュにするだけだ。何もダメなことはないね?」
オレはぼんやりとグエンの顔を眺めた。グエンの言う通り、オレが先にやったことだから、今更それをダメっていうのは間違っているのかもしれない。
「ビジュのこと、もっと舐めさせてくれ」
少しだけ悩んだ後、オレはグエンの言葉に頷いた。
「では、舌を出して」
グエンに言われた通り口を開いて舌を伸ばした。オレはそんなところ舐めたことあったっけ?
ぼんやりとそう思ったけれど、結論が出るより早くグエンの顔が近づいてきて、オレの舌にヂュッと吸い付いた。そのまま口内に誘い込まれると、グエンの柔らかい舌がオレの舌に絡みつく。クチュクチュと音を立てながら、舌で舌を愛撫される。だんだん舌の絡まる場所が増えていって、唇と唇がぶつかった。「あ、これってキスじゃん」ってその時ようやくオレは気付いたけれど、そのキスはとても気持ち良くて、オレの理性を溶かしていった。
グエンはしばらくオレの手首を押さえつけたまま舌を貪っていたけれど、くったりと力が抜けてしまったオレの様子に気付くと、手を離して胸元に触れてきた。
「ん、くぅ……」
ただ身体の表面を撫でられただけだというのに、びっくりするくらい気持ちが良くて、オレの身体はビクビクと跳ねてしまう。その手はどんどん下がっていって、ズボンの上から太腿を撫でた。
「ここも、直接触ったらすごく気持ちがいいだろうな」
内腿の際どい部分にまでグエンの手が撫でてくる。その手はオレの中心には触れず、その近くまで触れては離れていくことを繰り返す。その動きの焦れったさと、布越しに触れられるもどかしさに、オレの腰はうずうずと揺れてしまっていた。
なんだかオレがすごく欲しがっているみたいで、恥ずかしい。でも、焦らさないで直接触れて欲しい……
「ちゃんと触って欲しかったら、服を脱いで」
オレの心を見透かしたみたいに、グエンが言った。
「……脱がせて」
シャツは完全に着崩れてしまって、肩と腕に引っ掛かっているだけだった。そんな半裸みたいな状態でも、自分から服を脱ぐのはやっぱり恥ずかしくて、オレにはできなかった。
だから脱がせて貰おうと思ったんだけど、なんだか甘えるような言い方になってしまった。
グエンがオレの着ているものを丁寧に服を脱がせていく。自分で脱ぐのは恥ずかしいと思ったけれど、脱がされるのもやっぱり恥ずかしかった。
下着を脱がされるときに少し抵抗してみたけれど、そんな抵抗はまるで何もなかったかのように、あれよあれよという間に素っ裸にされてしまった。
二人、ベッドの上で裸になって向き合う。
オレは今朝もグエンに素っ裸を見られているけれど、今朝と違うのは、グエンも裸になっているということだ。それだけで、オレの興奮は段違いになった。どんだけグエンの裸が好きなんだよ、オレは……
裸のまましばらくお互い見つめ合っていたけれど、不意にグエンが手を伸ばしてきて、オレのことを抱きしめた。肌と肌がぴったりと密着して、身体全体で感じるグエンの体温が滅茶苦茶気持ちいい。オレはグエンの体温をもっと感じたくて、自分もグエンの背中に腕を回して抱き着いた。
「キスがしたい」
グエンがオレの耳元で言う。オレは顔を上げてグエンを見つめた。
「いいよね」
オレは今度は首を横に振るかわりに、顔を上げて目を閉じた。
そう聞かれて、オレは再びフルフルと首を横に振った。
だって、今、キスをされたら、オレはグエンのことをそういった意味で好きになってしまいそうだと思ったから。
グエンがオレに近寄ってくると、オレの頬に両手で触れた。整った顔がどんどん近づいてきて、オレはギュッと目を瞑った。
唇にキスをされるのかと思って身構えたけど、グエンの唇が触れたのはオレの額だった。それから、鼻先、瞼……と顔中にキスをされた。そのキスはとても優しかった。心臓がドキドキとうるさい音を立てる。
「私を見て」
そう言われて、オレはそっと目を開けた。
また、グエンの顔が近づいて来て、今度は頬をペロリと舐められた。
「なっ……」
驚きで固まっていると、顎の先もペロペロと舐められる。舌は唇よりも温かくて、オレはゾクっとしてしまった。
「や、だめ……」
「何故だ? ビジュも今まで私に同じことをしていただろう?」
グエンの身体を押しやろうとしたけれど、その手を取られてベッドに縫い付けられてしまった。
ううう、確かに。オレがポメラニアンだったときは、コミュニケーションの一環として、グエンの指や頬を舐めることはあったけれど……
「ビジュがしてくれたことを、私がビジュにするだけだ。何もダメなことはないね?」
オレはぼんやりとグエンの顔を眺めた。グエンの言う通り、オレが先にやったことだから、今更それをダメっていうのは間違っているのかもしれない。
「ビジュのこと、もっと舐めさせてくれ」
少しだけ悩んだ後、オレはグエンの言葉に頷いた。
「では、舌を出して」
グエンに言われた通り口を開いて舌を伸ばした。オレはそんなところ舐めたことあったっけ?
ぼんやりとそう思ったけれど、結論が出るより早くグエンの顔が近づいてきて、オレの舌にヂュッと吸い付いた。そのまま口内に誘い込まれると、グエンの柔らかい舌がオレの舌に絡みつく。クチュクチュと音を立てながら、舌で舌を愛撫される。だんだん舌の絡まる場所が増えていって、唇と唇がぶつかった。「あ、これってキスじゃん」ってその時ようやくオレは気付いたけれど、そのキスはとても気持ち良くて、オレの理性を溶かしていった。
グエンはしばらくオレの手首を押さえつけたまま舌を貪っていたけれど、くったりと力が抜けてしまったオレの様子に気付くと、手を離して胸元に触れてきた。
「ん、くぅ……」
ただ身体の表面を撫でられただけだというのに、びっくりするくらい気持ちが良くて、オレの身体はビクビクと跳ねてしまう。その手はどんどん下がっていって、ズボンの上から太腿を撫でた。
「ここも、直接触ったらすごく気持ちがいいだろうな」
内腿の際どい部分にまでグエンの手が撫でてくる。その手はオレの中心には触れず、その近くまで触れては離れていくことを繰り返す。その動きの焦れったさと、布越しに触れられるもどかしさに、オレの腰はうずうずと揺れてしまっていた。
なんだかオレがすごく欲しがっているみたいで、恥ずかしい。でも、焦らさないで直接触れて欲しい……
「ちゃんと触って欲しかったら、服を脱いで」
オレの心を見透かしたみたいに、グエンが言った。
「……脱がせて」
シャツは完全に着崩れてしまって、肩と腕に引っ掛かっているだけだった。そんな半裸みたいな状態でも、自分から服を脱ぐのはやっぱり恥ずかしくて、オレにはできなかった。
だから脱がせて貰おうと思ったんだけど、なんだか甘えるような言い方になってしまった。
グエンがオレの着ているものを丁寧に服を脱がせていく。自分で脱ぐのは恥ずかしいと思ったけれど、脱がされるのもやっぱり恥ずかしかった。
下着を脱がされるときに少し抵抗してみたけれど、そんな抵抗はまるで何もなかったかのように、あれよあれよという間に素っ裸にされてしまった。
二人、ベッドの上で裸になって向き合う。
オレは今朝もグエンに素っ裸を見られているけれど、今朝と違うのは、グエンも裸になっているということだ。それだけで、オレの興奮は段違いになった。どんだけグエンの裸が好きなんだよ、オレは……
裸のまましばらくお互い見つめ合っていたけれど、不意にグエンが手を伸ばしてきて、オレのことを抱きしめた。肌と肌がぴったりと密着して、身体全体で感じるグエンの体温が滅茶苦茶気持ちいい。オレはグエンの体温をもっと感じたくて、自分もグエンの背中に腕を回して抱き着いた。
「キスがしたい」
グエンがオレの耳元で言う。オレは顔を上げてグエンを見つめた。
「いいよね」
オレは今度は首を横に振るかわりに、顔を上げて目を閉じた。
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