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29.発情期なんて、聞いてない
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ポメガバって異世界転移してきた人のことが書かれていた古い文献。それが、いつ書かれたものなのかは聞き損ねてしまったけれど、あの本の状態からするとかなり昔に書かれたものであることは間違いないだろう。そして、この世界でポメラニアンの存在が知られていないということは、それはそう頻繁に起こることではないのだと推測される。
だからこの世界ではポメガバースについて正しい情報が伝わっていないんだろうけれど……
オレは、グエンが好きなのはジェレール王子だと思っていた。だけど、グエンはジェレール王子ではなくてオレのことが好きなんだと言う。
そしてオレが好きなのは、高校の同級生の大沢礼央のはずだ。失恋したショックでポメ化してしまうくらいには好きだった。
そのポメ化が解けたのは、グエンはオレに『恋人ができたから』だと思っている。
でも、オレはポメ化が解けるのは、『ストレスが取り除かれたから』だと知っている。
オレのグエンに対する「好き」という感情は、人として好きというだけで、恋愛感情ではないと思う。それにグエンがオレのことを好きだというのも、やっぱりすぐには信じられない。
だって。この世界ではポメラニアンを見たら、人々はまず「魔物」と認識する。グエンだって最初はオレのことを魔物と間違えて、殺そうとしていたじゃないか。
いくらオレが元々人間だと知っていたとしても、ポメラニアンの姿をした相手とすぐに恋に落ちたりするものなんだうろか?
単にグエンがモフモフした可愛い生き物が好きなだけということも考えられるけれど、人間の姿に戻ったオレにはポメラニアンの時の面影は全くない。
それに、もしグエンがモフモフ好きなのだとしたら、今のオレにポメラニアンのときの自分と同じだけの価値があるとはとても思えない。
「……グエン」
グエンはオレを寝室のベッドに運んだ後、自分もベッドに上がって同じ布団に潜り込んで来た。そして、オレの背中側からぴったりと抱き着いている。それだけじゃなく、時々、オレの腹や太腿を、悪戯に撫でたりしてくる。ポメラニアンの姿の時は、いつも寝る前にこうやって身体を撫でられたりしていた。でも……
「オレはもうポメラニアンじゃないよ」
そんな風に触られたら、なんだかオレのチンコがムラムラしてしまう。まぁ、このムラムラは今に始まったことじゃないんだけど……
というのも、実は朝ごはんを食べているときから、オレのチンコはちょっとムズムズしていたんだ。あんな話をしながらそんなことになってしまうなんて……久しぶりに人間の姿に戻れて、性欲が誤作動でも起こしているのだろうか。寝起きに射精したばかりなのに……普段のオレからすると、考えられない頻度だ。
って、そういえば。今朝、グエンがオレにあんなことをしたのって、このベッドなんだよな。
ベッドのシーツを眺めながら、オレは今朝のことを思い出す。そのついでに、その時のグエンの手つきとか、イったときの気持ち良さとかまで、うっかり思い出してしまった。
これ以上触られると、ムラムラが止まらなくなりそうだから、本当にやめて欲しい。
オレは抗議の意味も込めて、身体を好き勝手弄っているグエンの手を払いのけた。だけどすぐにグエンの手はオレの身体に触れてくる。
「そろそろ始まるのだろう? いや、もしかしてもう始まっているのか?」
「何が?」
「発情期」
耳元でグエンに言われて、オレの胸がドクンと音を立てた。
だからこの世界ではポメガバースについて正しい情報が伝わっていないんだろうけれど……
オレは、グエンが好きなのはジェレール王子だと思っていた。だけど、グエンはジェレール王子ではなくてオレのことが好きなんだと言う。
そしてオレが好きなのは、高校の同級生の大沢礼央のはずだ。失恋したショックでポメ化してしまうくらいには好きだった。
そのポメ化が解けたのは、グエンはオレに『恋人ができたから』だと思っている。
でも、オレはポメ化が解けるのは、『ストレスが取り除かれたから』だと知っている。
オレのグエンに対する「好き」という感情は、人として好きというだけで、恋愛感情ではないと思う。それにグエンがオレのことを好きだというのも、やっぱりすぐには信じられない。
だって。この世界ではポメラニアンを見たら、人々はまず「魔物」と認識する。グエンだって最初はオレのことを魔物と間違えて、殺そうとしていたじゃないか。
いくらオレが元々人間だと知っていたとしても、ポメラニアンの姿をした相手とすぐに恋に落ちたりするものなんだうろか?
単にグエンがモフモフした可愛い生き物が好きなだけということも考えられるけれど、人間の姿に戻ったオレにはポメラニアンの時の面影は全くない。
それに、もしグエンがモフモフ好きなのだとしたら、今のオレにポメラニアンのときの自分と同じだけの価値があるとはとても思えない。
「……グエン」
グエンはオレを寝室のベッドに運んだ後、自分もベッドに上がって同じ布団に潜り込んで来た。そして、オレの背中側からぴったりと抱き着いている。それだけじゃなく、時々、オレの腹や太腿を、悪戯に撫でたりしてくる。ポメラニアンの姿の時は、いつも寝る前にこうやって身体を撫でられたりしていた。でも……
「オレはもうポメラニアンじゃないよ」
そんな風に触られたら、なんだかオレのチンコがムラムラしてしまう。まぁ、このムラムラは今に始まったことじゃないんだけど……
というのも、実は朝ごはんを食べているときから、オレのチンコはちょっとムズムズしていたんだ。あんな話をしながらそんなことになってしまうなんて……久しぶりに人間の姿に戻れて、性欲が誤作動でも起こしているのだろうか。寝起きに射精したばかりなのに……普段のオレからすると、考えられない頻度だ。
って、そういえば。今朝、グエンがオレにあんなことをしたのって、このベッドなんだよな。
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オレは抗議の意味も込めて、身体を好き勝手弄っているグエンの手を払いのけた。だけどすぐにグエンの手はオレの身体に触れてくる。
「そろそろ始まるのだろう? いや、もしかしてもう始まっているのか?」
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