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第254死 【圧するマッスルFsキューブ】

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 手痛いイチゲキに偽物の宇宙に立ち込める──キラキラと輝くカラフルデブリ。

 マザー・テンは咄嗟に浮遊する数多の宝石の武器を盾にしたが……必殺のイチゲキ+百を受けきれずひび割れて崩れ散っていく石と、黒く刻まれた白のレースTブラウスと水色のロングスカートの装いにしっかりとダメージを与えていた。

 ツバ付きの黒帽を押さえて乱したダイヤモンドの髪に馴染ませながら……。

「イチゲキでこれほどのチカラ、フフフ────」

「一本ぐらいはと思いましたが……手痛く数本取られましたね、お見事ですそれがあなたの【デスII】いえ【バージョンII】ですか丘梨栄枯」

「がちゃがちゃと玩具を散らかさないで下さいよ、ふ、はしたないですよ、ふふ、ええこれが私の【バージョンII】もうヒャクイチゲキのリプレイか、パパッとそのびっくり箱のおままごとを片付けるか────」

 確実に手応えあり、丘梨栄枯は自信に満ちた黒い切っ先をマザー・テンへと向けた。

「フフフ、たしかに私のびっくり箱スキル【武装宝石】ではこう不意に一太刀で幾度もの斬撃を押し付けられては武器を変えてのカウンターは意味を成さず最強のエメラルドハルバードに劣る武装の数を増やそうがかなり分が悪い。ですからッ」

 手に持ったカードを発動、そして出てきた変哲のない白い石ころを宇宙彼方真横へと投げ込んだ。

 バトルカードかと思い身構えたが突然に奇怪な行動を取ったマザー・テンを訝しみ見る丘梨栄枯。

「【チャネル4ロックモンスター】【圧するマッスルフィンガーズキューブ】」

 彼方へと消えていった石ころは巨大なカードへと変わり、その一枚の薄いドアから這い出て、イヤ、ドタドタと高速這い這いで駆けてやって来た。

「これで対等かと」

 白基調に黒粒がお洒落に混ざるのは変哲の無い道端の花崗岩。だが、その大きく正しい立方体から逞しい手腕が4つ宇宙平面に面している。

 更に天へとぱーーっと伸ばした腕に捕まり上面へと美しい宝石の戦士が飛び乗り、これにて完成。


「ふふ、私の好きなモンスターに余計な手を生やさないでください、おかしいボックスですね、ええ」

「フフフ、マザーとして娘をリスペクトしているのですよ、キューブですっ!」

 だだだ、と地に四つ手を着きいきなり仕掛けて来た。

 搭乗者が長く伸ばしたエメラルドハルバード、岩石キューブモンスターの猪突猛進這い這いのスピードコンボに対してチンキスブレードで左に大きく逃れる。

 刈り取るように元気にぶん回し平面宇宙を抉ったエメラルドハルバードの威力凄まじく、迫り来た這い這いの圧に──。

 更に天にぱーーっと余らせていた石の指が丘梨栄枯を指し示した。そしてまたも不意に放たれた──虹色の弾丸。

 避けた後を狙われてしまった栄枯は宇宙色の巨手を平面から練り上げて召喚。

 広げた巨大な両手は栄枯を覆い隠し、虹色のマシンガンをやり過ごした。

「冗談ッ! 父親はお父さん、母親はきっとお母さんと呼ばせてもらいます、ええッ!」

 そして仕返しひび割れて残った7の指はエメラルドの閃光でキューブを貫き染め上げていく──

 ところが怯まない這い這い、ミドリの蛍光インクが撥水されるようにダメージを強引に押し退けていく。

 そして両手の巨大なパーでソレを迎えた巨手は無惨にも轢き砕かれた。

 しかし最後までその手の裏に彼女が隠れていたのは次のプランを見透かさせないため。

 既に裏に仕掛けられていたカラフルな甘い爆発花火のトラップは巻き起こり。

 【EA】ジェットランウイングブレード、切り札の合成バトルカードを惜しみなく──

 爆炎を裂き、包丁が武装化した美しく肉付けされていく黒い翼はスピードに乗り必殺のイチゲキを放つ。



「チンキスブレェェード+120ッ!!!」



 パーの張り手を強引に黒翼は斬り裂き──スピードに乗った黒い斬撃の嵐に呑まれ宇宙平面に無様に腹をつけながら滑っていくキューブ────。


 気合いを込めて、おまけを込めて、

 刃の痺れる硬い手応えは────。



「────お母さんでもよろしいです、もちろんフフフ、丘梨栄枯!」



 巨大な石のパーとのジャンケンに精一杯の黒い斬撃でキレキレに答え、はげしい尻餅から黄色いデニムは立ち上がる。

「こんなロックなお母さんはッ、ええ、グレそうでべらぼぅにヤですねぇ────」


 張り手を受けひび割れた翼をざっと払い、散っていく黒羽。丘梨栄枯が決めるつもりで放った120+イチゲキの必殺は……なんともその花崗岩のキューブモンスター、圧するマッスルフィンガーズキューブを傷付ける事が出来ず……。

 覆い閉じていた石の手はその花をぱーーっとまた天へと元気に咲かせ、上面の舞台から不敵に笑うマザーと四つ手を着き直しまた立ち上がったキューブモンスター。

 んーー、と思わず納得のいかない結果に息を吐いてしまった孤独な丘パ丘梨栄枯は……戦闘プランよりも先程の結果はどういうカラクリであったのかと顎に手を当てたいつものスタイルで──未だ熱冷めぬ頭でクールに思考していく。
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