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第214死 キュプロのパラソルガール

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 市民人々の生命の危機、パラソルガールのピンチへと嗅ぎつけ駆けつけたのは──

「街中でビームなんてぶっ放してるんじゃないわよ、ふふふふふふふ、丘梨栄枯」

 状況一変、傘列に吹き荒れる銀の雨止んで民のざわめきのBGM。そんなナカ両者がゆっくりと歩み寄り、立ち止まる。

「ええ、ふふ失礼しました、ですが大ピンチの良からぬ予感がしましたのでとりあえず適当に……狙い撃ちました」

「ふふふふふまぁいいわ、キュプロのパラソルガールよやっと会えたわね丘梨栄枯」

「ええ、キプロスの……マラカスガール?」

「パラってんじゃないわよ! とんだおとぼけ島国違いよ、マラカス要素をおしえなさいきこえてるでしょうに」

 パッと白い傘を開いて優雅にサシ、くすりと横顔で睨み笑う。

 初対面の談笑も程々に、とりあえずの状況の相互確認をおこなうため丘梨栄枯はパラソルガールに問おうと──


 突如、黒雷が天より轟き堕ちた。

 続々と現れ出でる鉄の機体────計10機。先程栄枯とパラソルガールが倒したロボットのバリエーション違いと思われるモノ達が。

「ずっと相手を?」

「ふふふふふふ途中で数えるのをやめたから今でひぃふぅぱらっと100機ぐらいかしらね」

「ええ」

「ええじゃないのよ」

「栄枯ママ僕だよ!!! 会い」

 エメラルドの閃光が黄色い鉄装甲を貫いた。不意打ちで燃やされてしまったスプーンロボットがイチゲキで仕留められ。

「何か言いましたか」

「ふふふふふ、ビーム垂れ流してんじゃないわよ」

「後ろはキュプロのパラソルガールよ、パラッとしてきなさいな」

「ええ、なら、パパッといい加減の火加減でっ!」

 展開するいつもより多めの傘の列が熱気溢れる市民を守り、心にこだまするアツい声援を受けて──

 開戦の不意打ちを受けて既に雑言を叫びながら動き出した敵集に、

 構えた指から狙い澄ましたエメラルドの弾丸が銀と白を光速で貫き、

「に、さん」

 ピンクは反省点を活かして全出力を持ってして自身を電磁スプーンシールドで5重に纏い守り、そのまま丘梨栄枯に対して突っ込んで来た。

「僕の第2マ!!!」

「チンキス!」

 一刀にて両断、使用したカード【LR】パーティーシルフぼるとブレードに加えてそのエネルギー斬に対してスキル【チンキス】の効果をノセる事のできる栄枯の鍛え見つけた裏技で──粘る5重の黄緑シールドを歪め、中の圧迫され軋むピンクの機体ごと斬!

「ゴー! ろく、シチ」

 ビル横から生成した巨大な左手が勢いよく──蓮華の葉に乗り宙にちょこまかとしていた黒、ゴールドを握り潰しぐしゃりとスクラップへと変え無力化。

「パラッと!」

 展開していくファンサービス、今日いちばんのソラへと咲かせた色とりどりの傘のパレードが丘梨栄枯の踏み場、踊り場となり宙を踏み上って魅せるブラックな包丁捌き。

「くうーーっ」

「テンキス!」

 9どころではない蓮の葉に乗る敵機を一刀に散らしスコアを上げて次々に墜としていく──ダンダンとクールな微笑みは飛び跳ね高度を上げてパラソルガールがカードを切る。

「とぅっ」

 【SR】マストランポリンで指定した黄色い傘布のマスを指定しトランポリンの効果を付与。

 あからさまに置かれていたソレを栄枯は踏みグレーの天彼方へと突き抜けていく。

 拍手声援は遠のいていき────

 曇りを裂き、大きな──

 突然の襲来に慌てふためく銀色の球体がいるのならば、構えた人差し中指薬指の手銃は、

「マ」

「プ、らすいち!」

 今更に黒雷を宙に放ち出現させた蓮の葉は──エメラルドの閃光へとすべて呑み込まれていった。

 その美しい豪炎がグレーに濁る天を横走り、人々が見上げた先にやがて。


 ふわりふわりと、虹色の傘を手持ち舞い落ちてくるのは。

 死のダンジョンの吐い信者、丘梨栄枯。

 黒と黄色の長身が手を振りながら今度は満面に近い笑みで、即興の即興を掛け合わせて上手くいった殲滅作戦をみなと分かち合い喜ぶ。

 ふわりふわり今か今かと囲み待つ陽気な堺市の歓声の中、舞い降りた。

「UFOは球体だったようです、ええ」

「ふふふふふふふ、ダッセンスだわねぇ」

 丘梨栄枯は10+1、のスプーンロボット達と死の予感でふたりが察知していた巨大UFOを撃ち落とし。

 綺麗さっぱり後の駆け寄るもみくちゃの勝利の中で、丘梨栄枯は傘を隣に抱きついていた少女に預けて、いつまでも含み笑うパラソルガールとかるい握手を交わした。

「復帰戦はどうだったかしら?」

「べらぼぅな死の予感に人として駆けつけただけですよ、ふふ」

「ふふふふ──改めてキュプロのパラソルガールよ」

「ええ、物覚えはいいですよ? 舞台役者なので。きゅぷろーのパラソルガール。──はむっ」

 2人の話し合う雰囲気に割り込む──気の利くおばちゃんにいただいた勝利のハムカツは再び、今度は丘梨栄枯が味わう。

 そこそこの空腹を見知らぬおばちゃんと談笑しながらありがたく満たす、そんな彼女の姿を見て白傘を閉じたパラソルガールはやっと、ひとつ大きく息を吐いた。
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