上 下
168 / 293

第167死 ホットサンド

しおりを挟む
▼夏海ノ香水のキャンプ飯▼

①ここはオーソドックスにラッキーボーイのホットプレート上でしゃしゃっと肉を焼いていくわ。余ったスペースは牛だけじゃなく、ハムステーキフランクフルト、手羽先なんて盛り上がるでしょ。

②そしてそしてこのオリジナルキャンプスパイスをお肉様にチョコチョコっとかける! まじでナンにでも合うからねぇ。

③オリーブオイルをしいたホットサンドメーカーで8枚切りの食パンに焼いた肉、チェダーチーズ、トマト、辛いペッパーピクルスを挟めば夏海ノ香水特性ホットサンドしゃしゃっと完成ね。



 完成したホットサンドやじっくり焼いている手羽先、食欲のそそる香りに包まれながらキャンプ飯で晩飯をいただいた。

 夏海ノ香水の3人は腰のまだ少し悪いタープ下のリーダーの元に集い新しいスキル連携と新たに手に入れたスキルの確認をしている。手に入れたスキルが必ずしもパーティーのプラスに働くとは限らないそれを分かっていたリーダーの香はスキルの効果的な使い方と間違った使い方を照らし合わせて熟考を重ねていく。


 一方で──


 軍用テント内に再び篭り作業に耽っていた先生の元へとホットサンドを運んでいった。それを受け取り食し2、3度頷いた。何かと忙しい彼女は米より片手で食べれるものが好きらしい。


「もぐもぐ……ん。消失したENのミニチュアワールドがね、気になってね」

「なんかわかったんすか!」

「いやそれがな手元の情報じゃ何も分からないがアレは惜しかったとやっぱり思っていてね。はぁこれは邪推だが個人的に私とENの生徒たちの大事な宝物は……奪われたんじゃないかとおもうんだ」

「奪われた!? ……あ、怪盗藍紫にですか? あいつバランスを乱すのが好きですし暴走を……俺のせい……」

「フ、それもあるだろうか? 大学のスパコンがビリリプツンとなる程だ、目を付けたEN外の誰かに多数のAIによる大学への偽装メールの爆弾、AIサイバー攻撃で負荷を与えられたか生徒教員が偽装メールを開いたかあえなく侵入。侵入した大学の外部スパコンからENのスパコンのセキュリティに対して持ち込んだなんらかの優勢電子を用いて、ビリリプツン、なのかもしれないな。そのようなモノがあるなら私ならそうするな、フフ」

「んー……はぁ……でも正直……これすみません先生、ENもみんなも。仮にスパコンを壊してまで奪うならもっとAIじみた強力なモノを奪いませんか? なんでわざわざミニチュアワールドの変わった性格の奴らを? 扱いづらいですよ?」

「それはだね…………まったく分からないな!」

「え!? まぁそうですよね……」

「フ、刑事じゃないんだ知るかよ。ただまぁそうだな。ENとはエンターテイメントだ、そこに価値があったんだろう」

「エンターテイんメント……」

「こういう心まで機械じみた世の中だ、マッドに正しく進むだけが正解とは限らない。わたしのオモチャが欲しくなったのか? 世代性格デザインシステムに興味があったのかもな」

「とにかくそんな輩は許せないのは間違いない、おかげで大学には戻れなくなった。みんなが慕うまりじ様を待っているというのにな」

「たしかに、そっすね。ENのみんなも……」

「ところで狩野生徒くん、キミ、大学の授業は?」

「……えっと……なんか状況的に……それどころじゃありませんし、え、栄枯さんとENの怪盗藍紫も見つけないと!」

「レールからおおきく外れているようだが、このダメな生徒は私のせいなのだろうか? ……よし、授業だ狩野生徒くん!」

「えっと、ハイ!!」

『ちょっと手羽先見ててって言ったでしょ手羽先ボーイ!!』

「え!? ハイ!!!!」

 耳を貫いた怒声にしたがい大きな返事をした青年はそそくさと軍用テントから抜け出して行った。

 チェアーを回して右手で指差した、その虚空に──長い金髪をかわりにそっとかき上げて、ひとくち。

「美味いな……私も彼女たちのアウトドアの魅力に当てられたのか? このホットサンドの断面のように、混ざり合うのは生電子情報だけではないのかもな。ふふフ」

 茶と赤まだとろけるチーズ色を確認し、カタカタとまたスパコンをタイピングし作業へと戻っていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...