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「10、20? こいつらどんだけいんだよ! 汚い鉄砲隊だなぁ!」

高速で近付く異物の接近に気づいた一部のションベンオヤジたちのご自慢のチンコ砲台が一斉に──野に映えるその黒い異物に向かい雷属性のレーザーを発射した。

父親は発射されるタイミングを見計らい緑の地を強く蹴り高く空にジャンプし、

「爆回斬!!」

宙にいた父親は爆回斬を発動し、後ろに構えた剣の剣先から少爆発が起こりその生じたエネルギーと勢いを利用しぐるぐると前転しながら炎の剣の縦方向の回転斬りで前方に加速した。

「ちょマッ!? ぐおおおおおおおお」

チンコレーザーの斉射を華麗に回避した父親は、緑の地に着地し鉄砲隊のションベンオヤジたちの元に肉薄した。

が、着地したはいいもののよたよた、ふらふらとした足取り、様子がおかしい。

「……っぁぁ、はぁはぁやっべぇ頭くらくらする……。てこれ、んな場合じゃなきゅ!」

思いがけない技チョイスの失敗でふらつき腰を崩し右手を地についた父親の目の前に。

ドーンと構える。

それは巨大な石のチンコ。
ビリビリと脈打っている。

「ウオおおおおざけんな!!」

チャージし至近距離から発射される青いチンコレーザー。

父親は緑の地に完全に身体を倒れ込ませ顔面を狙われたレーザーを回避。

「お前マジ爆王斬!!」

無理な姿勢で両手で構えた白蜜を振りそのイカツイ砲台を斬った。
そして巨大な炎球が斬られた場所からションベンオヤジ石像を呑み込む。
更にその豪快な炎に巻き込まれた鉄砲隊の一部。
ションベンオヤジ石像たちは爆王斬の一撃でまとめて光の粒へと還っていった。

ぐぴキャンを駆使して硬直をキャンセル、すこしくらつくアタマをおさえ起き上がり態勢と気分を立て直した父親。

「ぷはぁ!! あーまじでエロいゲームで男でもモンスターでもばっちぃのは勘弁!!」

「にしてもまた遅くない女神石像さん……アクアスナイプは初級だから速いと思うんだがもう撃ったのか」

そう軽く不思議に思った点を愚痴っていると突如。

水の矢が戦場に飛び交った。
数多の水魔法がうねり野の果てに伸びていく。
狙い澄まされた一矢が次々とションベンオヤジ石像たちのチンコ砲台を破壊し無力化していった。

「うおおコピペ陣か!? なるほど……でもこんなに撃てたっけ、撃てないよな、いやはや?」

【コピー陣】
技や術を当てるほどに溜まっていくリミットメルトゲージという斬波爆王斬などのリミットメルト技を撃つためのチカラを全て消費し、天級魔法以外の現在術者が構築している魔法陣をコピーし消費まりょくを更に通常の4倍支払うことで二重に魔法を発動することが出来る。初級術のアクアスナイプは2本しか撃てない魔法使い泣かせの割に合わない仕様のはずだが……。

俺が死んでいる間にものすごい有り難い調整でも入ったのか? 女神石像がボス仕様でポテンシャルがすごいのか……。ん待て、待て、てか俺は死んでない……よな? ……んー、ッ頭がビリビリッしてイマイチ思い出せねぇ……な……。おっとまた考え込んじまった……今は!

「分かるぞその悲しみ!」

ご自慢をアクアスナイプされたションベンオヤジ石像たちは汚い悲しみの石の顔をしている。

そして悲しみが明け、突如、無謀にも父親目掛け特攻の肉弾戦を仕掛けて来た。
げぇ、とそのせまる珍妙な光景に驚いたが敵は攻撃しに来ている。

「うお!? 予想外の行動だが、分かるぞおおその怒り!!」

父親は白蜜を上段に構え、ションベンオヤジ石像たちの怒りの拳が届く前に。

「爆王斬!!」

袈裟斬り、炎の斬撃で斬られた石像の身はすぐさま巨大な炎球に呑み込まれ周りにいた鉄砲隊あらため弾なし部隊はその石の身を焼かれ────最後は断末魔も上げずなぜか優し気な笑顔で光の粒へと還っていった。

「あの世で元気にシコってな。あばよ!」






野良石像軍の後衛であるションベンオヤジ鉄砲隊を水魔法と荒ぶらせた炎技で壊滅させた父親パーティー。
良い働きをしたが依然、前衛母乳石像部隊と街の住民石像たちが激しくぶつかり合い戦っている。

うん住民の方が優勢だな、下手に手を出すより……。それと。

女神石像はっ、と。ん……?

父親が目をきょろきょろと探す──後ろを振り返ると、
女神石像の周りには盾や剣を持ったムキムキ全裸石像のナイトたちが護衛兵のように張り付いていた。
一糸まとわぬ畏れ知らずなのか、熱心な信徒なのか。

「まさかのお仲間親衛隊かよ……。何が起こっているかあんまり分からねぇが……俺はどうするべきこれ? 近づいて敵認定される可能性まであるぞ」

父親はどんぱちな戦闘BGMを聞きながら顎に手をやりしばらく、考え込み。

「見守ろう……!」

少し遠くから戦場を眺め戦況を見守ることにした。
プレイヤー山田燕慈、高みの見物。

思わぬ戦の女神を得た新たな石像住民軍と野良石像軍の争いは士気も上がり激しさを増す。

女神石像の単発発動のアクアスナイプの援護射撃が母乳石像の頭をロックオン、砕く。
石像住民の前衛、石のベレー帽をかぶった画家石像が大斧で敵陣を横に薙ぎ払い砕き光へと還していく獅子奮迅の活躍を魅せる。

パチパチとひとりの拍手が届く戦場で、
勝機の流れに乗った街の石像住民軍は一気に攻勢に出て母乳石像たちを砕いていく。

心配いらず完全に勝利間近だ。

そろそろフィナーレ。飾るのは────そしてふいに発動された。

ド派手な水の竜巻がほんじつのトドメを刺すように敵陣を呑み込む。
いや、敵味方関係なく石像たちを呑み込み空に巻き上げていく。

「おい……やばくね……」

リーダーの男は思わず届かぬ思いを伸ばし、

決着。

何の理由でか街を襲った賊である野良石像たちは全滅しすべて光の粒へと還っていった。
各々の武器を掲げ飛び跳ねる石像住民たち。大地を踏み感情を爆発させている。
そしてしばらく、女神石像は多くの石像住民たちになぜか囲まれていっている。
なにやらアヤシイ雰囲気と予感に、

「チッ、ヤルか……!」

緑の地を蹴り走り出し離れた女神石像の元へと急ぎ向かう。

が、その足を減速させピタリと止めた。

石像住民たちは女神石像に跪き、こちらにおどけて両手を振っている彼女が見える。
 
「ハハ……なんだよそれ。本当の女神かよ」

父親はその意味の分からない光景に腰に左手をあて、苦笑いを浮かべた。
小走りで女神の元へ向かおうとした、そのとき。

「うおっ!?!?」

目の前の突然の事態に驚き足がよろけ後ろに身体を仰け反った。

ズンッ。ドガガラッッ。

緑の地に柔く重い衝撃音が響く。
空から思いがけない石像が降ってきた。目の前に。
ズンッと落ちて来たのは前線で獅子奮迅の活躍を魅せていた画家石像であった。
負傷し草原に仰向けに倒れ込んでいる。

「大丈夫か……」

落下して来たエロいゲームの石像に左手を伸ばし心配そうに声をかけてみたが。
画家石像は寝転びながら腕をクロスさせ父親に向け、ばつ、というジェスチャーをしている。
どうやら落下の衝撃で石の片脚を失ってしまったようだ。

「ハハハハ……石像戦士くん、あとでパイナップルパイナップル天然水を奢ろう!」
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