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GAME8
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「前でんなよ、弱いし」
「なっ!? うっ…どうも…ありが…と」
赤毛を襲った鼠の腹を突き刺したその鉄剣は例のガキ、名前はユウ。
俺たちの戦う模様に興味あり気だった鍛冶師見習いのノゾミィの専属護衛へと俺がついさっき任命したところだ。なにしろこき使うけど?望むところだ!と事前にお熱い了承を得ているものだからな。ノゾミィの鍛冶師としての経験とガキの従順さの経験をついでに同行させ一緒に稼ぐことにした。
「つかまえろ【アクアウルフ】!」
発練したアクアウルフが小鼠を次から次へと素早く駆けながらかっさらっていく。
やはり魔法は偉大だな、王子のブーメランよりも殲滅力も威力も高いだろう。
しかも意志を持つ魔法だ、水狼がとって来た鼠を咥えてしっぽをふりふり水飛沫をまき散らしながら猫のように飼い主にアピールしてやがる。
「注意散漫♡もじゃこ」
「ぬぬぬ…!」
尻尾を振る水狼にもう一度熱心に指示をだしていたクピンに、とつぜん鼠が横腹から飛び出し襲いかかった。
しかしオレンジの皮を模したバックラーがそれを阻み、いなして流れるように右のバグナウで鋭く殴りつけ返り討ちにした。
見ていた動きは悪くはない。
オレンジ帽とオレンジ盾と爪装備バグナウとお姉さん属性の組み合わせは謎だが、戦士としては機能している。実験として王子権限で何かと狙われがちで心配な魔法師のクピンの護衛につけてみたが、まぁ……渋いにらめっこしているが…悪くはないんじゃないか。(ありがとうは言わない『ぬぬぬ…!』スタイル)
それと名前はたしか……
「イヨ……ポン!!!」
「そうそう、そんな感じのヤケクソだ」
「ふぅーんそれほどでもぉ♡ってゴラァ!!! だれがヤケのクソよぉ!!!」
俺が記憶するかぎりゲスト参戦するような関連する作品はおもいつかないが開発者のどうしても入れたかった趣味だとはなんとなく理解できる。あーーーーわかったぞ! さては──ボツキャラか? 原魔勇リバイバル構想20年ごしの。
「だれがボツですかい!!! ハァハァこのペースだと戦闘よりべしゃりがいきぎ……って、あ──!???」
覆う影。口をギャグマンガの一コマのように大きくひらいたイヨポンが指差す……戦況をゆったり俯瞰していた俺を突如覆った──巨大鼠の飛翔した影。
「ちょと何突っ立ってんのカール!!」
「わわわわ、ねぇねぇやばいんじゃない!??」
「ててててて王子様!? べしゃってたらたまのこしがぺしゃんこのボツに!? これってワタシのせいじゃせいじゃどわーーーゴラァーーー避けろーーー王子ィィ!!!」
「おい! クソ王子! こっちだ余裕こいてねぇで走れ!!」
「フッフ」
「「ちょーさていん、とぶ、ぎゅん」」
「アモン様」
に立ち向かう、飛び向かうは──
「【回ァ転斬り】!!!」
小さい、巨大な、最強の影。
宙で体をねじり回転しながら勇み放ったその剣は、下から縦斜めにずんぐり鼠の腹を斬り裂いた。
超重量級の力士が目の前を飛んだ燕にふきとばされ後ろにKOされるかの如く…………やがて舞い落ちた激しい音が地をおおきく揺らした。
突っ立ちぼーっと見上げていたカール王子に八つ当たりジャンピングプレスを仕掛けたキングラットを、従者で剣士のアモンがその鋼剣でその巨体ごと薙ぎ払った。
あり得ない膂力、ありふれたシンプルな技で、あり得ない剣を魅せた。
太った腹を天に向け〝木〟の字で動かない巨大鼠、
ひらひらとマントをなびかせ舞い降りた緑髪の剣士がヤツに振り返る、
目の合った若き勇ましい姿に茶髪の王子は不敵なスマイルで、手の甲を地に捻り左指をクールに鳴らした。
その威力に、その剣に、巨躯が落ち洞窟内に吹き抜けた突風に、唖然とする……カール王子の旅団も、王鼠の群れも。
「「おぉー、ぎゅんのちきゅん♡」」
「ひゅー、規格外のそよ風だねぇ♡」
「なにこのフレッシュな……王子様と剣士様? のソウッッ信頼!! ふぅ……あっつ♡♡」
「♡じゃないわよ…!! ほんと……馬鹿モンと馬鹿ールなんだから…」
「これが……剣」
「……?」
女子たちの黄色い歓声や、熱い眼差し、やがて握りしめていたじぶんの鉄剣をみつめた少年の静かな驚き。
見知らぬ少年の横顔、客である剣士様の横顔、どちらも目の当たりにした鍛冶師。
俺たちは乗り込んだベヌレの街西の洞窟で巨敵キングラットを倒すことに成功した。
序盤にしては実りとスリルある濃厚な経験を積みながら────
「なっ!? うっ…どうも…ありが…と」
赤毛を襲った鼠の腹を突き刺したその鉄剣は例のガキ、名前はユウ。
俺たちの戦う模様に興味あり気だった鍛冶師見習いのノゾミィの専属護衛へと俺がついさっき任命したところだ。なにしろこき使うけど?望むところだ!と事前にお熱い了承を得ているものだからな。ノゾミィの鍛冶師としての経験とガキの従順さの経験をついでに同行させ一緒に稼ぐことにした。
「つかまえろ【アクアウルフ】!」
発練したアクアウルフが小鼠を次から次へと素早く駆けながらかっさらっていく。
やはり魔法は偉大だな、王子のブーメランよりも殲滅力も威力も高いだろう。
しかも意志を持つ魔法だ、水狼がとって来た鼠を咥えてしっぽをふりふり水飛沫をまき散らしながら猫のように飼い主にアピールしてやがる。
「注意散漫♡もじゃこ」
「ぬぬぬ…!」
尻尾を振る水狼にもう一度熱心に指示をだしていたクピンに、とつぜん鼠が横腹から飛び出し襲いかかった。
しかしオレンジの皮を模したバックラーがそれを阻み、いなして流れるように右のバグナウで鋭く殴りつけ返り討ちにした。
見ていた動きは悪くはない。
オレンジ帽とオレンジ盾と爪装備バグナウとお姉さん属性の組み合わせは謎だが、戦士としては機能している。実験として王子権限で何かと狙われがちで心配な魔法師のクピンの護衛につけてみたが、まぁ……渋いにらめっこしているが…悪くはないんじゃないか。(ありがとうは言わない『ぬぬぬ…!』スタイル)
それと名前はたしか……
「イヨ……ポン!!!」
「そうそう、そんな感じのヤケクソだ」
「ふぅーんそれほどでもぉ♡ってゴラァ!!! だれがヤケのクソよぉ!!!」
俺が記憶するかぎりゲスト参戦するような関連する作品はおもいつかないが開発者のどうしても入れたかった趣味だとはなんとなく理解できる。あーーーーわかったぞ! さては──ボツキャラか? 原魔勇リバイバル構想20年ごしの。
「だれがボツですかい!!! ハァハァこのペースだと戦闘よりべしゃりがいきぎ……って、あ──!???」
覆う影。口をギャグマンガの一コマのように大きくひらいたイヨポンが指差す……戦況をゆったり俯瞰していた俺を突如覆った──巨大鼠の飛翔した影。
「ちょと何突っ立ってんのカール!!」
「わわわわ、ねぇねぇやばいんじゃない!??」
「ててててて王子様!? べしゃってたらたまのこしがぺしゃんこのボツに!? これってワタシのせいじゃせいじゃどわーーーゴラァーーー避けろーーー王子ィィ!!!」
「おい! クソ王子! こっちだ余裕こいてねぇで走れ!!」
「フッフ」
「「ちょーさていん、とぶ、ぎゅん」」
「アモン様」
に立ち向かう、飛び向かうは──
「【回ァ転斬り】!!!」
小さい、巨大な、最強の影。
宙で体をねじり回転しながら勇み放ったその剣は、下から縦斜めにずんぐり鼠の腹を斬り裂いた。
超重量級の力士が目の前を飛んだ燕にふきとばされ後ろにKOされるかの如く…………やがて舞い落ちた激しい音が地をおおきく揺らした。
突っ立ちぼーっと見上げていたカール王子に八つ当たりジャンピングプレスを仕掛けたキングラットを、従者で剣士のアモンがその鋼剣でその巨体ごと薙ぎ払った。
あり得ない膂力、ありふれたシンプルな技で、あり得ない剣を魅せた。
太った腹を天に向け〝木〟の字で動かない巨大鼠、
ひらひらとマントをなびかせ舞い降りた緑髪の剣士がヤツに振り返る、
目の合った若き勇ましい姿に茶髪の王子は不敵なスマイルで、手の甲を地に捻り左指をクールに鳴らした。
その威力に、その剣に、巨躯が落ち洞窟内に吹き抜けた突風に、唖然とする……カール王子の旅団も、王鼠の群れも。
「「おぉー、ぎゅんのちきゅん♡」」
「ひゅー、規格外のそよ風だねぇ♡」
「なにこのフレッシュな……王子様と剣士様? のソウッッ信頼!! ふぅ……あっつ♡♡」
「♡じゃないわよ…!! ほんと……馬鹿モンと馬鹿ールなんだから…」
「これが……剣」
「……?」
女子たちの黄色い歓声や、熱い眼差し、やがて握りしめていたじぶんの鉄剣をみつめた少年の静かな驚き。
見知らぬ少年の横顔、客である剣士様の横顔、どちらも目の当たりにした鍛冶師。
俺たちは乗り込んだベヌレの街西の洞窟で巨敵キングラットを倒すことに成功した。
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