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29♡セリー来航
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□登場人物■
ムスイ、宮本遂廉(25)
:
所属 流水流道場→神牙流道場の門下生
出生地 日亜国 滋賀県
特殊武器 秘刀名刀・黄蜜
オーラ色 水属性の水色
スキルチップ 【流水陣】【流水斬】【バブルポップ】【流水ノ????】
身長175cm
胸★★★
楽天海都
:
所属 緑蜜高等学校ダンジョン部
出生地 日亜国 千葉県
特殊武器 レアチップ・純白の盾|(ミュウズ・ミュウ)
オーラ色 回復の緑
スキルチップ 【巻く膜クレープグレープ弾】【熱熱クレープグレープ弾】【策咲クレープグレープ弾】【カチコチココアアイスクレープ斬り】【仮pullサマーレンジ】
身長169cm
靴のサイズ25.0cm
セリー・ヴェーバー(27)
:
所属 WASA宇宙開発局サブスペース開発部第4探索部隊ホワイトカノンベル
CC級ダイバー
出生地 独愛国
特殊武器 変異武器チップ・ヴァリアブルセター
オーラ色 乱属性の日替わり色(日月火水木金土。日曜日はお休み)
スキルチップ 不明
身長174cm
胸★★★★
イザベラ・ゴールド(28)
:
所属 WASA宇宙開発局サブスペース開発部第4探索部隊ホワイトカノンベル
AAA級ダイバー
出生地 亜米利牙帝国
特殊武器 変異武器チップ・ブライトステッキ
オーラ色 表裏のモノクロ
スキルチップ 【マイナ・シェード】【シェード・プラス】【モンス・シェード】【ゴルド・シェード】【シェード・アトール】
共通概念 影 動物 伸縮
身長169cm
胸★★
マゲハ&リョクミ(30)&(39)
おなじ激戦区焼き物ロードに店を構える焼物職人であり、リョクミはおなじ女性焼物職人として新参者のマゲハのことをすこしは気にかけている、コレクターでもあるリョクミはそのマゲハの作品であるオリジナルの若いエネルギッシュな輝きを放つ緑蜜焼を自分のテリトリーで2、3取り扱ってもいいとやんわりと懐の広さをみせたほどだ。そして得体の知れないクレープ屋の女と密談しているという情報がたった今、遣わせた子供の密偵からリョクミの耳元に入ってきた。もし仮にここで焼物カフェを開くという大胆な計画がバレてしまえば、焼物カフェの第一人者である彼女はきっと下品に笑うことだろう。
カイトママ(不詳)
その創作クレープのレパートリーはゆうに1000を超える。
本人曰く1000を超えようとした辺りで一切アイディアが浮かばない謎のスランプに陥ったと笑っていうが、1000を我が子海都のバースデーケーキで重ね飾るなどして…完全復活を遂げた。
クレープ業の界隈ではいっとき通ったあとには草根クレープの一片も残さない破壊神がどこかにいるらしいと…まことしやかにささやかれていた。
彼女に試されたかつて敵であった今は同グループの者たちはおそるおそる当時のことを語る…新しい創作クレープを日替わり感覚で実戦投入する、そのやり口はただ周りの環境をクレープに巻きまき破壊するだけの目的ではなく……?
クレープグレープグループの忠実な社員であり、社長からも一目置かれている実力者?
□■
「大判焼き回転焼き今川焼もぐもぐぅ────カイト次のヤキモノいくでぇーす!」
「(やっぱり餡子の入った焼き菓子はぜったいうまいなぁ……母さんにあんこクレープばかりリクエストしたときがあったっけ? あはは)はい! ──って行ってもセリーさんもう焼き物ロードは抜けてしまいました…っすね?」
気付けばあれだけあった熱帯びた活気を過ぎ去り、2人は人気のない路地へと出ていた。
色々な緑蜜焼を鑑賞し食べ歩きながらここまでのらりくらり────海都もいつの間にかこのはじめての焼き物ロードを夢中で楽しんでいたようだ。
「オォ、どしましょー」
「とりあえず…もどりますか?」
「んー、ソデスネシカシィ…もうディナーがいらないほど満喫したでぇーす」
デートと強引に誘われ食べ歩き抜けてきた、なつかしさほやほやの焼き物ロードは遠く背にあり、なんとなく雰囲気的に、ここが彼女との別れ際だと悟った海都はわすれていた自分の用事を思い出し切り出した。
「たしかに…めちゃくちゃ食べ歩いたような……。でも俺やっぱりアッチに用があった気がするんで、戻ることにします。あ、これ…緑蜜焼のカップ、ありがたく……もらっちゃいます!」
「アハ、ソデスカー。いですねーニチアンボーイ遠慮知らずもらっちゃってくださぁーい! それぐらいハッキリのほうがセリーはうれしいでぇーす! ソデスネシカシィ、この素晴らしいヤキモノロードをうかり制覇してコノアト行くところがなくて困りましたぁー」
「あぁー、たしかにそれなら……どこがいいんだろう?」
「オイオイこっちがきいてるでぇーすカイト、さいごのお別れでぇヤラカシはダメでぇす!」
「すみません…俺、実は緑蜜の地元民じゃなくって…あはは…」
「アハッ、やはりぃそだとおもってましたー! どおりで案内が下手でぇーす見つけやすくポツン浮いていましたぁー」
「へ、へた浮いて……っすね…あはは…。いや、本当にくわしくないんで力になれそうには、あっそだ! 先生に──」
「オットト電話はマズイ待ったでぇーす! ──たとえばそですねー、……ダンジョンとか!」
「え、だんっ!??」
「しってまーす?」
思ってもみない斜め上の単語がセリーと名乗る外国人女性から飛び出した。
海都は一瞬心臓が掴まれたかのように驚き、ぐぃと詰め寄り見つめるサングラスの奥の瞳に答えようとしたが……どうにか巻きかえしを計ろうにも先程の不意打ちで平静を崩され過ぎており────
「いや、し、し、しらない……」
「ホントですかぁー?」
「え、いや、ほんっ、ちかっ、んぶ!?」
詰め寄る──怪しまれ、詰め寄る──やがてその豊満な水色の双丘に視界はむぎゅっと覆われ、海都はセリーに熱烈なハグをされてしまった。
「冗談でぇーす、ダンジョンでぇーすイカヤキィーーン、アハッ」
「わかりましたけどあのぐるじ────」
(あれ? なんか頭が……まくま……くらくら)
『だいじょぶでーす、コレで猪突もしーんアメリアさぁんも眠らせましたぁー、ジッセキ』
サングラスを髪にかけ、妖しく笑う金色の眼がぼやっとした青年の目を見つめる。
ぐらり。
まるで頭の中にコーヒーミルクを注がれそれがゆっくりと渦を描くように、されどなかなか溶け合わずにナカの内在オーラを乱されていく。
楽天海都はその未知の体験についに気を保てず────────セリーの胸肉の間で、突然の眠りについてしまった。
オーラを緻密に操作し無防備だった海都を眠らせた。
道端で偶然ひろった一仕事を終えたセリーは、ハグれてしまっていた今日亜ツアーの相棒、キュートな洋風のそばかす顔と大和撫子といっても差支えの無いこの国に馴染む黒い髪の彼女の存在を見つけた。
「あっ! イザベラさぁーん、どこほっつきいってたですかーーズブンさがしましたよ、リョクミツオヤジとおなじくらぁい」
「……別にどうでも…。それよりそれナニやってるの…それ息してるの……」
イカ焼きを右手にたい焼きを左手に、両手の状況ははっちゃけており。
デニムのオーバーオールに同じくデニムのハンチング帽を被ったイザベラは、ふとセリーの視界に色濃く現れた。
「ソっチコソなにやってるでぇーす、たのしそうですねぇアハッ。ア、それよりぃー! このこなんとオーラもちでぇーす! よさげな感覚がポツぅーンと…しましたぁー!」
「そうなんだ…わたしじゃゼンゼン見ても影さわってもわからないけど……ダブルシー級のダイバーはすごいね…」
イザベラはその男の子を見ても伸びた地面の影をつんつんと串持つ小指で触っても、何も特別だとはわからなかった。ダンジョンと現世では空気が違い内在オーラを外に発揮できる濃度や変換効率が全く違うからである、イザベラもWASAに属するオーラを持つ特別なダイバーとはいえ中々ソレに気付くことはむずかしい。
「のんのん、これぐらいジョノクチのせいひちゅでぇす。あ、ソダー。イザベラさぁんすねてないで影で行動記録をおえますかー、テトリバヤク。ほら、きのう野良猫ちゃんを探し回ったときみたいでぇーす、撫でれるかもでぇーす!」
「できるけど…おすすめはしない…オーラをここで使ったら疲れる……イヤ…そんなことしても意味ないし……何を撫でるの……イヤ……」
「できるならやてくださぁーい」
俯き影を見ながらイザベラは影と話す、ちいさなボリュームでイヤイヤと抵抗している。
セリーはそんな彼女とのやり取りは何度目だろうか、知っている。
近付いた影は地面と話す顎をくぃとやさしく持ち上げ、端的に命令した。
いくら話す影は黒くておなじでも、こうして顔を上げ真向に向き合えば黒は黄金に逆らえない。長らく影の存在である自分にはこの色の目にはどうにも逆らうことができない。
そばかすをのせた表情を曇らせたイザベラは、眠った海都の足裏の影に触れた。
▼
▽
分散した両足25.0cm。眠った海都の影の足取りを追い、三人を乗せたレンタカーは数十分後目的地へとたどり着いた。
「オヤヤここでぇーすか?」
「ここ、影が濃い…。たぶんそうとう通い詰めてる……!」
「あのイザベラさぁん……ここガッコー! ヤングなニチアンボーイがそうとう通い詰めてて当たり前でぇーす!」
一行を乗せたレンタカーのフロントガラスから見えるのはすこし古びた味のある学校。
どうみてもそれは日亜国の田舎の学校であった。
その学校の生徒が通い詰めているのは当たり前、セリーはイザベラがいつもより自信あり気な口調で語った天然ボケに手早いツッコミを入れた。
「…………そう……」
助手席のイザベラは一瞬セリーと目を合わせ、左肩にかかるオーバーオールの生地を意味もなくいじり、また俯きだした。
「アハッ、しかりしてくださぁーい。ウカリナカ入ってしまいまたぁー、いったんデマース!」
セリーはうっかり侵入してしまった学校から出ようとハンドルを右に切っていく。
俯くイザベラは酔わないように顔を上げ、映りながれる景色の、遠くの足跡をぼんやりと数えていると──
「──ん……? 影が…死んでる?」
「なんです? 影は死んでも死にませぇーんイザベラさぁん?」
セリーはUターンしようと切っていたハンドルの手を止め、左に座るイザベラの横顔をみた。
俯かないそばかす顔が妙に鬱蒼としたエリアに指を差ししめした。
「あの茂みの…規模からして倉庫? のほう…頻繁に行き来しているのにナカの足跡は薄い、だから影が死んでる……。影が死んでると経験上おかしなことがよくある……あと、ナニカ…数が合ってない気がする……(この男の子? なんの影…?)あっ、集中できない……イヤ……混ざった……もうわからなくなった…………」
イザベラは知覚してしまい混ざり合う数多の影のナカ集中を保てず、もう特別な目と感覚を凝らしても海都の影の足跡はみえなくなった。これ以上このモノクロの影の世界を見続けては余計なオーラを消耗するだけなのでイザベラは完全に自身のオーラの放出をやめた。
「わお、なるほどなるほどでぇーす!イザベラさんっ名探偵でぇーす!! 自然にカッコーまれあふれている良いガッコーでまったく気付きませんでしたぁ! そうですねぇそれはきっと────」
「せいひつでぇーす!!!」
「アハッ! 今回のニチアンせいひちゅツアーは大満足の当たり旅でぇーすっ、親愛なる相棒イザベラさぁんいざ未知のせいひちゅへとダぁぁイブ! さっそいきまっしょう!」
「…………つかれた……」
乾いた黒目をしばしばと何度か閉じ開き、さらにごしごし…手でおもい瞼を磨きあげていく。
丹念につかれたアピールを披露するイザベラはこれ以上はセリーの遊びに乗り気でないと言いたげだ。
「アハハ、虎穴に入らずんばコウジを得ずでぇーす、コウジを得たらキヌガーワの温泉宿でぇーす! イザベラさぁんのためにふんぱっつーたった今予約しまったー! アキアリー、これメグスリー」
「温泉宿……べつにどうでもいいけど……つかれたから…………アリ……」
スマホ画面にはなにやらよさげな温泉宿、せっかく日亜国に連行されたのならそんなのも悪くはない……。
お疲れのイザベラにはその見てるだけで癒えるユケムリとそのたのしげに蟹しゃぶする光景がいっそうかがやいてみえていた。
目薬をさし疲れ目にうるおいを、そうしているあいだにもどこかから金髪がかっぱらってきた緑の新品ジャージに着替える。
影が死んだ……不可解な学校のミステリーにいどむ準備はととのった。
イザベラ・ゴールドは俯かない、みしらぬ野良猫の影を追うようにたのしくないこともないからだ。
ふと潤った目でグラサンの目を見た。グラサンごしだとこわくはない、影の存在である自分でも直視は可能であるのだ。
金髪グラサン緑ジャージ、不格好にはみ出たパーカー姿のあやしげな女は厚い唇の口角を上げて相棒に頷く。
眠るお荷物をおぶりながら、鬱蒼に隠れた体育倉庫へと──急ぐ2人の足跡を、いまは誰もいない夏のグラウンドにえがいていった。
WASA宇宙開発局サブスペース開発部第4探索部隊ホワイトカノンベル、有給を使い亜米利牙帝国から日亜国へのバカンスへと訪れた隊員2人であったが…バカンス先で見つけたオーラ持ちの日亜人青年の行動記録を追い、発見した怪しげに潜む倉庫内を調査することとなった────
中を調べた結果はセリーの期待と予想どおりに……亜空間に繋がる仕掛けが置かれてあった。
隠されていた仕掛けである跳び箱を跳び越えて、青い野原へと放り出され────さっそく2人は呆気にとられつつも見たことない景色の調査探索に取り掛かった。
▼
▽
多少のバトルを覚悟で乗り込んだはずが調査探索は順調を極め進んでいき────安全が確保できるまでの仮の拠点としていたピンクのドアの中へとイザベラが同じ部隊のセリーに第一次索敵を終え結果を報告をしに戻ってきた。
「しつこくちこちこついてくる四角いの×12、白い帽子のゴースト、白フードの灰色鼠、見たことない変なモンスターがいたけど寝てたから…念のため影で深く寝かしつけた。睡眠時間がだいたい2倍になるからすぐには起きないとおもう……」
「おおー、それはラッキーでかしたでーす! ここまで一切たたかわずに済むなんてすごいでぇーすイザベラさぁん」
「そう…」
「トコロトデー、ここはなですかね?」
いざダイブしたのはいいものの、倉庫内の跳び箱から──青い野原から──現在、暗雲に佇む壊れた城内──。
しかもここまで戦闘は一切なし、次への切符チップなしでステージ間の行き来が可能である渦があった。ご丁寧に注意と行先を示す手作りの看板まで立てられていた始末だ。
ピースとピースをツギハギしたようなこんな静かなダンジョンは2人にとっても初めてであった。
「さぁ…。こんな敵意のないダンジョンもモンスターが寝てるお城みたいなのもはじめて……外でマリア博士に連絡──」
「ムゥ、ドラヤキ博士はしばらほっといていいでーす。一つのことに夢中になると止まりませぇーん。あ、ソレヨリー! ニチアンボーイをナンパできまたーイザベラさぁん、これからが真のせいひちゅ調査&バカンスでーす!」
セリーがここまで運んだ荷物が部屋のベッドに横たわっている。セリーは共に息抜きをと索敵終わりのイザベラを誘うが、イザベラは少しズレていたデニムのハンチング帽を正し俯いた。
「わ、私はいい……モンスター他にもいないか見てくる……」
「そですかー、つれないですねぇ? 男よりモンスターマニアでぇーすね?」
「別にマニアじゃない…マリア博士にドアをロックされて押し付けられただけ……アマリアナップはまだAA級だけど私よりずっとつよいだけ……これしかできないだけ……CC級もいるだけ……ホワイトカノンベルではいつも影で索敵だけしてればいいの……どうでも……」
帽の鍔で表情を暗くしそう言うと、イザベラは足音を立てずに部屋から抜けていった。
ゆっくりと操る影手でドアを閉じながら。
「やれやれぇダンジョンなのにウブですねぇー、アハッ。グッジョブでぇす相棒イザベラさぁんついでにここのマァップとお宝も調査たのみまー!」
元気な金髪は大きな声で頼りになる便利な影へと、追加のミッションを課した。イザベラはブツブツとつぶやきながら慎重に索敵をはじめだした。
▼
▽
くらくらとするほど掻き乱された内在オーラは元にしずまり平静を取り戻した。
楽天海都は目覚める────
雷のオーラブロックが白い明かりとなり、この部屋を照らしている。
少しだけくらっとくる頭で上体を起こし──ここがどこだか分かるのに時間がかかった。
『おひやでぇーす』『え、どうもっす…』手渡された水のペットボトルを礼をし受け取り、乾いた喉に3割ほどを飲み干していく。
「てちょ、なんで!? えここって部室ダンジョンでセリーさ──」
「さっそオーラ調べるでーす」
「え、え? いやなにがどういうわけで!? え、あのちか──」
ベッドの上をじりじりと後ずさっていく、四つん這いで近付くその金髪グラサンの女性が、状況が飲み込めずしどろもどろし逃げる海都に追いついた。
見つめるサングラスの黒は瞳が透けるほどにちかく、
厚ぼったい女性らしい唇が窄まる、
そのまま────
驚いた口元はやわらかい感触に支配されていく。
ハムハムとうごく唇を押し付けるようなキスがつづき……突然のキスをくらってしまった海都の力が抜ける。
そのまま厚くやわらかい唇に押され、押し倒されていき────
「あっ…ああぁ…♡」
「んちゅぷー。────わお、挨拶のチューをしただけなのにもうお顔トロトロでぇーす♡」
長い長いキスだけでベッドへとふんわり押し倒された海都はあまりにもやわらかいそのキスに包まれて……恍惚と表情をとろけさせた。
その素直なできあがりにセリーは笑い、接吻した唇を舌で舐めずった。
そしてこれからいどむ興奮のスイッチを入れるように邪魔なサングラスを大胆に投げ捨てた。
▼
▽
どこにでもいそうなただの高校1年生が一度強い雌の獣に襲われてしまえば、楽天海都彼にはその運命を変えることはできない。
海都のペニスはセリーの膣にすっぽりと飲み込まれ、既に背徳の行為は始まっている。
「あっあぁあっあああ♡♡」
「ンッンッかわいいペニスに小突かれて興奮しまぁーす♡」
豊満な女体が、乳房が、揺れ、細い青年にまたがり騎乗位で搾りあげていく。
尻を上げ──落として、いったりきたり。快楽のハンマーで彼の肉を下敷きにし痛めつけ、たのしむように。
上りつづける継続的な刺激がペニスを擦り上げ攻撃する。跨られた海都はそのパワフルな騎乗位に喘がされるばかり、その上で揺れる圧倒的な雌の攻勢と光景に反撃も耐えることもできない。
外国人女性は日亜の若い男子をだれにも邪魔されない秘所へと連れ込み、好きに犯す。
興奮の愛液をセックスの最中に分泌させながら、若い雄の象徴を咥え込んで離さない。
圧倒的な肉感に支配されて性器と性器で淫靡に繋がっている、海都の亀頭は膨れ上がり開いた鈴口から我慢汁をだくだくと漏らしていく。それがまた潤滑液となり、泡立ちながら雌肉によりスムーズに圧されていく。
「わお、ナカで膨らみまたぁー♡」
これ以上はもう耐えられない、セリーは青年の必死な表情と膣内でびくびくとせがみ暴れるペニスを確認して言った。
「アハッグッドボーイでぇーす、さそくカイトトドメのご褒美でぇーちゅ──♡」
「あっああ♡でっでちゃンン♡♡────」
またあの厚くてやわらかい唇が迫り、キス。
今度は押し付けて、より深く、舌をつぷりと入れていく大人のキスで────
更に、カラダを包み込むやわらかな双丘。
密着した騎乗位のまま圧倒的な女の肉に全身をつつまれる。
唇もやわらかく、体も、アタマも、思考も、なにもかも……
海都が耐えられるわけもなく────
大興奮のままに射精していく。
びゅーびゅーと止まらない。肉厚な魅力的な雌のナカへと漏れて漏れて漏らしていくザーメン。
「ちゅぷアァッあっあっ♡♡オォーオオー…………ンンーー……!! ハァハァ…ぁこれはよそうがいきもちぃでぇーす……」
「あっあぁひもひぁひゃ……♡♡♡」
深いキスでつながりトドメをさされ、回復オーラの熱いザーメンをセリーの膣内へと排泄していった。海都の持つオーラを調査するために自らの肉体で採取したセリーであったが、その際に味わったことのない温かな多幸感が全身に広がっていくのを感じていた。
思わず顔を天へと仰け反りイキ、はげしく息を乱したセリーは艶かしいおおきな声で、セックスの余韻に全力で浸る。
「ハァハァフゥ…これは未知のせいひちゅでぇす……♡♡♡♡。ソデスネシカシィ……もすこし調査する必要がありまー!」
「はぁはぁ…あ、マッ!? せ、セリーひゃんひゃめぇア!?」
セリーは待たない。
汗の染みた水色のパーカーのチャックを豪快に全開にし脱ぎ捨てた。
中に着ていた水玉水着が露わになる。豊満な汗ばんだバストが水着の薄布にぶらさがり……そこに見える。
乱れた金髪を艶かしい手つきの両手でかきあげていく。
「もう一回いきまーー♡ちゅちゅーー」
「んんーー♡♡」
あの気持ちのいい瞬間をもう一度味わうために、またベッドに沈みこむほどのラブラブなキスをしながら大きな尻肉を打ち付けた。
海都の思考はまたまたたくまに逃れられないピンク色に染まっていく。
柔らかくて深い……自分の唇を全て抱かれるようなあつーいキスと、むにゅりとのしかかる巨大な乳房に圧され……なすがままにとろけて抵抗することができない。
汗を染みつけあい、蜜を混ぜ合わせ泡立たせながら、セリーの肉体を用いた青年のオーラ調査はつづく。
▼
▽
青い鳥は暗雲から飛び立ち熱い砂浜へとその冷えた羽を休めた。
なにやら騒がしい、いつもは素っ気ない鳥も珍しく赤髪にチップをねだりに甘えに来た……のではなかった。
1人の時を狙い来たものの、気を入れていた鍛錬を思いもよらない青いちいさな存在に邪魔され集中が途切れた。仕方なく赤髪は汗をタオルで拭い誘われる方へと向かって行った。
またこの勝ち取ったエリアにモンスターやヤドカリがわいたか何かだろうと思い油断はしていなかったはず。
しかしソレは一瞬にて現れて背後上から頭部へと振り下ろされた──暗がりの鈍器に遅れて赤髪は気付いた。
振り下ろされた用心必勝と、
迎え打つ鍛錬殺気、
緊迫の間合いは重なり、勝負は一瞬にて────はじける水飛沫の軍配が上がった。
握る手のない光るステッキが床に乾いた音を鳴らす……。
やがて明かりは点滅し消えて、強烈な水の一太刀に頭を通路の壁に打ち付けた。
……忍んでいた存在を間近で確認し、赤髪はその剣を抜いたまま──
殺気は増しその足音を慌ただしく立てていく──
そしてやがてピンクのいかにもなドアを蹴飛ばした。
〝ドタンッ!!〟
ブロックが損壊する程の蹴りがお見舞いされ開けていく。
「──おい何をやっている、誰だ貴様?」
見たことがあるようなサイズ感の男にまたがる……水着の痴女がいる。金髪の金色の瞳で色々とデカイ訳のわからないヤツだ。
「わお、びっくりまた!? 心臓に悪いノックでぇーすドナタですかぁー? はてぇ、おかしですね? イザベェラさんは?」
「あの足音のしない忍者のことか? そいつならさっき一太刀で片づけたぞ。大方息を潜ませることに自信があったのだろうが私の張っていた陣に迂闊に入ってきたのが悪手だったな、実力を出し切れずに敗れるのは私もよくあることだ」
剣を片手に携えた赤髪の女剣士は不審金髪を見つめ、不敵に笑いながら言う。
ベッドの上にきょとんと座るセリーは顎に手をやりながらも、赤髪の女の表情と鋭い目つきを見て納得したようだ。
「おぉホントでっかぁやるでぇーす! さすが…オォ本場サムライガールでぇーす!!」
「ソデスネシカシィ……どしますぅ? イザベラさんが逃げる間も無くヤラれるのはよそうがいでぇす困りましたねぇーココはたのしく人質ぃこうかんですかぁー」
「え!? ムスイさん…ここにどわっ!?」
「そのまま頭を下げてろ海都!」
ムスイはためらいなくオンナに斬りかかった。
倒れ起きあがろうとした海都の頭の上をスレスレに剣は走り、嘲笑うように自分の背後へと跳躍し避けた女を振り返りながら蹴飛ばした。
人質交換、この赤髪の女は人質など最初から取ってはいない。
ただその振るった勝手な剣線で目の前の相手がいかほどかを試した。
「ここは無法の地だと聞く。そっちの国では違ったか?」
鋭く顔を蹴り上げた左の素足を、セリーは慌てて両手をクロスし防御反応し受け止めた。
「オォ、あぶっ!? …アハッ法はしりませぇーん、ソデスネシカシィ足のひぱりあい同士討ちだけはなしでぇーすねぇ!」
「そうか安心した、私の男を寝取った訳の分からん変質者を斬っても罪には問われんようだ ナッ!!」
「アハハッサムライソードですかぁ! せいひちゅわっふぅのシュケツダイサービスはちょっと心臓びっくらぽんが治るのまてくださぁーい!」
「わ、わたしの…おとこ……」
息を乱し辛くも部屋の外へと逃げる水着姿の変質者をムスイは剣を振り回し追っていった。
壁を斬り、床を斬り、金髪女の残像を斬る、
やがて激しい逃走劇の末、通路を抜け城の一階へと降り立ち対峙する両者がいる。
「おい変質外人なんだその動きは? 何を習えばそうなる? まぁいい、せっかく手に入れた魔王城を壊されると部長とやらが後で吠えて厄介だ、場所を変えるぞ金髪」
「オオ、いですねーセリーはまったくナニもブッタギッテ壊してませぇんが! 素晴らしいせいひつはナルベク保全されるべきでぇーす。アソレニーぃ、勝ったらそのお話あとでミッチリ聞かせてもらいまーす! イッセキニチョ」
「フッ、逃げてばかりで勝てるというのか?」
「ンー、たしかにぃけっこうなお手前…ソデスネシカシィ……その程度なら素手両手でオソラすぐ勝てまーす!」
「仲間はいないようだが!」
「アハッ、たのしそうでぇすそなウソズルはしませぇーんせかくのニチアンせいひちゅツアー初バカンスバぁトルまてましたーレッサムライガール!! いきまー」
「いいから来い、得体の知れないヤツ!」
赤髪の切先は得体の知れない動じない金髪の眉間へと向けられる、自信堂々どちらもハッタリではない。
鋭く細めた妖しげな金色の瞳は湖の瞳に映り光る。
ムスイは己に向かう黄金の獣の挙動を片時も見逃さないように……勇ましく目を凝らし、熱くなってきた剣の柄をぎゅっと握りしめた。
オーラを込めた拳はフロアブロックを砕き、尋常ではないパワーを見せつける。
とんできた危険な破壊行動を、染み付いた反応で紙一重で避けたいつもの水色道着。
そして水色の刃はすかさずやり返し、返す刀でつづけざまに攻め立てる。
しかし豊満さに似合わないしなやかな身のこなしで避けつづける金毛を、やがて捉えるためにチカラ強く虚空をその剣で幾度も刻んでいく。
それはウォーミングアップはたまた慣らし合いのつもりか。
序の口のチカラを魅せあった結果にお互いじわり口角を上げ──
また異なる間合いを重ね合い、2人のオーラは拳と剣にのせ混じり合った。
「あ、あの……? ム、ムスイさんセリーさんなんでたたかってぇ……どわっ!? ヤバ崩れ!??」
結局たたかいの場は変えなかった。
修復途中の魔王城はもはや何故勃発したかは定かではない、赤髪のサムライとさすらいの異国人2人だけの争い模様を刻み彩る舞台へと……崩れ斬られ、危うい変貌を遂げていく。
ムスイ、宮本遂廉(25)
:
所属 流水流道場→神牙流道場の門下生
出生地 日亜国 滋賀県
特殊武器 秘刀名刀・黄蜜
オーラ色 水属性の水色
スキルチップ 【流水陣】【流水斬】【バブルポップ】【流水ノ????】
身長175cm
胸★★★
楽天海都
:
所属 緑蜜高等学校ダンジョン部
出生地 日亜国 千葉県
特殊武器 レアチップ・純白の盾|(ミュウズ・ミュウ)
オーラ色 回復の緑
スキルチップ 【巻く膜クレープグレープ弾】【熱熱クレープグレープ弾】【策咲クレープグレープ弾】【カチコチココアアイスクレープ斬り】【仮pullサマーレンジ】
身長169cm
靴のサイズ25.0cm
セリー・ヴェーバー(27)
:
所属 WASA宇宙開発局サブスペース開発部第4探索部隊ホワイトカノンベル
CC級ダイバー
出生地 独愛国
特殊武器 変異武器チップ・ヴァリアブルセター
オーラ色 乱属性の日替わり色(日月火水木金土。日曜日はお休み)
スキルチップ 不明
身長174cm
胸★★★★
イザベラ・ゴールド(28)
:
所属 WASA宇宙開発局サブスペース開発部第4探索部隊ホワイトカノンベル
AAA級ダイバー
出生地 亜米利牙帝国
特殊武器 変異武器チップ・ブライトステッキ
オーラ色 表裏のモノクロ
スキルチップ 【マイナ・シェード】【シェード・プラス】【モンス・シェード】【ゴルド・シェード】【シェード・アトール】
共通概念 影 動物 伸縮
身長169cm
胸★★
マゲハ&リョクミ(30)&(39)
おなじ激戦区焼き物ロードに店を構える焼物職人であり、リョクミはおなじ女性焼物職人として新参者のマゲハのことをすこしは気にかけている、コレクターでもあるリョクミはそのマゲハの作品であるオリジナルの若いエネルギッシュな輝きを放つ緑蜜焼を自分のテリトリーで2、3取り扱ってもいいとやんわりと懐の広さをみせたほどだ。そして得体の知れないクレープ屋の女と密談しているという情報がたった今、遣わせた子供の密偵からリョクミの耳元に入ってきた。もし仮にここで焼物カフェを開くという大胆な計画がバレてしまえば、焼物カフェの第一人者である彼女はきっと下品に笑うことだろう。
カイトママ(不詳)
その創作クレープのレパートリーはゆうに1000を超える。
本人曰く1000を超えようとした辺りで一切アイディアが浮かばない謎のスランプに陥ったと笑っていうが、1000を我が子海都のバースデーケーキで重ね飾るなどして…完全復活を遂げた。
クレープ業の界隈ではいっとき通ったあとには草根クレープの一片も残さない破壊神がどこかにいるらしいと…まことしやかにささやかれていた。
彼女に試されたかつて敵であった今は同グループの者たちはおそるおそる当時のことを語る…新しい創作クレープを日替わり感覚で実戦投入する、そのやり口はただ周りの環境をクレープに巻きまき破壊するだけの目的ではなく……?
クレープグレープグループの忠実な社員であり、社長からも一目置かれている実力者?
□■
「大判焼き回転焼き今川焼もぐもぐぅ────カイト次のヤキモノいくでぇーす!」
「(やっぱり餡子の入った焼き菓子はぜったいうまいなぁ……母さんにあんこクレープばかりリクエストしたときがあったっけ? あはは)はい! ──って行ってもセリーさんもう焼き物ロードは抜けてしまいました…っすね?」
気付けばあれだけあった熱帯びた活気を過ぎ去り、2人は人気のない路地へと出ていた。
色々な緑蜜焼を鑑賞し食べ歩きながらここまでのらりくらり────海都もいつの間にかこのはじめての焼き物ロードを夢中で楽しんでいたようだ。
「オォ、どしましょー」
「とりあえず…もどりますか?」
「んー、ソデスネシカシィ…もうディナーがいらないほど満喫したでぇーす」
デートと強引に誘われ食べ歩き抜けてきた、なつかしさほやほやの焼き物ロードは遠く背にあり、なんとなく雰囲気的に、ここが彼女との別れ際だと悟った海都はわすれていた自分の用事を思い出し切り出した。
「たしかに…めちゃくちゃ食べ歩いたような……。でも俺やっぱりアッチに用があった気がするんで、戻ることにします。あ、これ…緑蜜焼のカップ、ありがたく……もらっちゃいます!」
「アハ、ソデスカー。いですねーニチアンボーイ遠慮知らずもらっちゃってくださぁーい! それぐらいハッキリのほうがセリーはうれしいでぇーす! ソデスネシカシィ、この素晴らしいヤキモノロードをうかり制覇してコノアト行くところがなくて困りましたぁー」
「あぁー、たしかにそれなら……どこがいいんだろう?」
「オイオイこっちがきいてるでぇーすカイト、さいごのお別れでぇヤラカシはダメでぇす!」
「すみません…俺、実は緑蜜の地元民じゃなくって…あはは…」
「アハッ、やはりぃそだとおもってましたー! どおりで案内が下手でぇーす見つけやすくポツン浮いていましたぁー」
「へ、へた浮いて……っすね…あはは…。いや、本当にくわしくないんで力になれそうには、あっそだ! 先生に──」
「オットト電話はマズイ待ったでぇーす! ──たとえばそですねー、……ダンジョンとか!」
「え、だんっ!??」
「しってまーす?」
思ってもみない斜め上の単語がセリーと名乗る外国人女性から飛び出した。
海都は一瞬心臓が掴まれたかのように驚き、ぐぃと詰め寄り見つめるサングラスの奥の瞳に答えようとしたが……どうにか巻きかえしを計ろうにも先程の不意打ちで平静を崩され過ぎており────
「いや、し、し、しらない……」
「ホントですかぁー?」
「え、いや、ほんっ、ちかっ、んぶ!?」
詰め寄る──怪しまれ、詰め寄る──やがてその豊満な水色の双丘に視界はむぎゅっと覆われ、海都はセリーに熱烈なハグをされてしまった。
「冗談でぇーす、ダンジョンでぇーすイカヤキィーーン、アハッ」
「わかりましたけどあのぐるじ────」
(あれ? なんか頭が……まくま……くらくら)
『だいじょぶでーす、コレで猪突もしーんアメリアさぁんも眠らせましたぁー、ジッセキ』
サングラスを髪にかけ、妖しく笑う金色の眼がぼやっとした青年の目を見つめる。
ぐらり。
まるで頭の中にコーヒーミルクを注がれそれがゆっくりと渦を描くように、されどなかなか溶け合わずにナカの内在オーラを乱されていく。
楽天海都はその未知の体験についに気を保てず────────セリーの胸肉の間で、突然の眠りについてしまった。
オーラを緻密に操作し無防備だった海都を眠らせた。
道端で偶然ひろった一仕事を終えたセリーは、ハグれてしまっていた今日亜ツアーの相棒、キュートな洋風のそばかす顔と大和撫子といっても差支えの無いこの国に馴染む黒い髪の彼女の存在を見つけた。
「あっ! イザベラさぁーん、どこほっつきいってたですかーーズブンさがしましたよ、リョクミツオヤジとおなじくらぁい」
「……別にどうでも…。それよりそれナニやってるの…それ息してるの……」
イカ焼きを右手にたい焼きを左手に、両手の状況ははっちゃけており。
デニムのオーバーオールに同じくデニムのハンチング帽を被ったイザベラは、ふとセリーの視界に色濃く現れた。
「ソっチコソなにやってるでぇーす、たのしそうですねぇアハッ。ア、それよりぃー! このこなんとオーラもちでぇーす! よさげな感覚がポツぅーンと…しましたぁー!」
「そうなんだ…わたしじゃゼンゼン見ても影さわってもわからないけど……ダブルシー級のダイバーはすごいね…」
イザベラはその男の子を見ても伸びた地面の影をつんつんと串持つ小指で触っても、何も特別だとはわからなかった。ダンジョンと現世では空気が違い内在オーラを外に発揮できる濃度や変換効率が全く違うからである、イザベラもWASAに属するオーラを持つ特別なダイバーとはいえ中々ソレに気付くことはむずかしい。
「のんのん、これぐらいジョノクチのせいひちゅでぇす。あ、ソダー。イザベラさぁんすねてないで影で行動記録をおえますかー、テトリバヤク。ほら、きのう野良猫ちゃんを探し回ったときみたいでぇーす、撫でれるかもでぇーす!」
「できるけど…おすすめはしない…オーラをここで使ったら疲れる……イヤ…そんなことしても意味ないし……何を撫でるの……イヤ……」
「できるならやてくださぁーい」
俯き影を見ながらイザベラは影と話す、ちいさなボリュームでイヤイヤと抵抗している。
セリーはそんな彼女とのやり取りは何度目だろうか、知っている。
近付いた影は地面と話す顎をくぃとやさしく持ち上げ、端的に命令した。
いくら話す影は黒くておなじでも、こうして顔を上げ真向に向き合えば黒は黄金に逆らえない。長らく影の存在である自分にはこの色の目にはどうにも逆らうことができない。
そばかすをのせた表情を曇らせたイザベラは、眠った海都の足裏の影に触れた。
▼
▽
分散した両足25.0cm。眠った海都の影の足取りを追い、三人を乗せたレンタカーは数十分後目的地へとたどり着いた。
「オヤヤここでぇーすか?」
「ここ、影が濃い…。たぶんそうとう通い詰めてる……!」
「あのイザベラさぁん……ここガッコー! ヤングなニチアンボーイがそうとう通い詰めてて当たり前でぇーす!」
一行を乗せたレンタカーのフロントガラスから見えるのはすこし古びた味のある学校。
どうみてもそれは日亜国の田舎の学校であった。
その学校の生徒が通い詰めているのは当たり前、セリーはイザベラがいつもより自信あり気な口調で語った天然ボケに手早いツッコミを入れた。
「…………そう……」
助手席のイザベラは一瞬セリーと目を合わせ、左肩にかかるオーバーオールの生地を意味もなくいじり、また俯きだした。
「アハッ、しかりしてくださぁーい。ウカリナカ入ってしまいまたぁー、いったんデマース!」
セリーはうっかり侵入してしまった学校から出ようとハンドルを右に切っていく。
俯くイザベラは酔わないように顔を上げ、映りながれる景色の、遠くの足跡をぼんやりと数えていると──
「──ん……? 影が…死んでる?」
「なんです? 影は死んでも死にませぇーんイザベラさぁん?」
セリーはUターンしようと切っていたハンドルの手を止め、左に座るイザベラの横顔をみた。
俯かないそばかす顔が妙に鬱蒼としたエリアに指を差ししめした。
「あの茂みの…規模からして倉庫? のほう…頻繁に行き来しているのにナカの足跡は薄い、だから影が死んでる……。影が死んでると経験上おかしなことがよくある……あと、ナニカ…数が合ってない気がする……(この男の子? なんの影…?)あっ、集中できない……イヤ……混ざった……もうわからなくなった…………」
イザベラは知覚してしまい混ざり合う数多の影のナカ集中を保てず、もう特別な目と感覚を凝らしても海都の影の足跡はみえなくなった。これ以上このモノクロの影の世界を見続けては余計なオーラを消耗するだけなのでイザベラは完全に自身のオーラの放出をやめた。
「わお、なるほどなるほどでぇーす!イザベラさんっ名探偵でぇーす!! 自然にカッコーまれあふれている良いガッコーでまったく気付きませんでしたぁ! そうですねぇそれはきっと────」
「せいひつでぇーす!!!」
「アハッ! 今回のニチアンせいひちゅツアーは大満足の当たり旅でぇーすっ、親愛なる相棒イザベラさぁんいざ未知のせいひちゅへとダぁぁイブ! さっそいきまっしょう!」
「…………つかれた……」
乾いた黒目をしばしばと何度か閉じ開き、さらにごしごし…手でおもい瞼を磨きあげていく。
丹念につかれたアピールを披露するイザベラはこれ以上はセリーの遊びに乗り気でないと言いたげだ。
「アハハ、虎穴に入らずんばコウジを得ずでぇーす、コウジを得たらキヌガーワの温泉宿でぇーす! イザベラさぁんのためにふんぱっつーたった今予約しまったー! アキアリー、これメグスリー」
「温泉宿……べつにどうでもいいけど……つかれたから…………アリ……」
スマホ画面にはなにやらよさげな温泉宿、せっかく日亜国に連行されたのならそんなのも悪くはない……。
お疲れのイザベラにはその見てるだけで癒えるユケムリとそのたのしげに蟹しゃぶする光景がいっそうかがやいてみえていた。
目薬をさし疲れ目にうるおいを、そうしているあいだにもどこかから金髪がかっぱらってきた緑の新品ジャージに着替える。
影が死んだ……不可解な学校のミステリーにいどむ準備はととのった。
イザベラ・ゴールドは俯かない、みしらぬ野良猫の影を追うようにたのしくないこともないからだ。
ふと潤った目でグラサンの目を見た。グラサンごしだとこわくはない、影の存在である自分でも直視は可能であるのだ。
金髪グラサン緑ジャージ、不格好にはみ出たパーカー姿のあやしげな女は厚い唇の口角を上げて相棒に頷く。
眠るお荷物をおぶりながら、鬱蒼に隠れた体育倉庫へと──急ぐ2人の足跡を、いまは誰もいない夏のグラウンドにえがいていった。
WASA宇宙開発局サブスペース開発部第4探索部隊ホワイトカノンベル、有給を使い亜米利牙帝国から日亜国へのバカンスへと訪れた隊員2人であったが…バカンス先で見つけたオーラ持ちの日亜人青年の行動記録を追い、発見した怪しげに潜む倉庫内を調査することとなった────
中を調べた結果はセリーの期待と予想どおりに……亜空間に繋がる仕掛けが置かれてあった。
隠されていた仕掛けである跳び箱を跳び越えて、青い野原へと放り出され────さっそく2人は呆気にとられつつも見たことない景色の調査探索に取り掛かった。
▼
▽
多少のバトルを覚悟で乗り込んだはずが調査探索は順調を極め進んでいき────安全が確保できるまでの仮の拠点としていたピンクのドアの中へとイザベラが同じ部隊のセリーに第一次索敵を終え結果を報告をしに戻ってきた。
「しつこくちこちこついてくる四角いの×12、白い帽子のゴースト、白フードの灰色鼠、見たことない変なモンスターがいたけど寝てたから…念のため影で深く寝かしつけた。睡眠時間がだいたい2倍になるからすぐには起きないとおもう……」
「おおー、それはラッキーでかしたでーす! ここまで一切たたかわずに済むなんてすごいでぇーすイザベラさぁん」
「そう…」
「トコロトデー、ここはなですかね?」
いざダイブしたのはいいものの、倉庫内の跳び箱から──青い野原から──現在、暗雲に佇む壊れた城内──。
しかもここまで戦闘は一切なし、次への切符チップなしでステージ間の行き来が可能である渦があった。ご丁寧に注意と行先を示す手作りの看板まで立てられていた始末だ。
ピースとピースをツギハギしたようなこんな静かなダンジョンは2人にとっても初めてであった。
「さぁ…。こんな敵意のないダンジョンもモンスターが寝てるお城みたいなのもはじめて……外でマリア博士に連絡──」
「ムゥ、ドラヤキ博士はしばらほっといていいでーす。一つのことに夢中になると止まりませぇーん。あ、ソレヨリー! ニチアンボーイをナンパできまたーイザベラさぁん、これからが真のせいひちゅ調査&バカンスでーす!」
セリーがここまで運んだ荷物が部屋のベッドに横たわっている。セリーは共に息抜きをと索敵終わりのイザベラを誘うが、イザベラは少しズレていたデニムのハンチング帽を正し俯いた。
「わ、私はいい……モンスター他にもいないか見てくる……」
「そですかー、つれないですねぇ? 男よりモンスターマニアでぇーすね?」
「別にマニアじゃない…マリア博士にドアをロックされて押し付けられただけ……アマリアナップはまだAA級だけど私よりずっとつよいだけ……これしかできないだけ……CC級もいるだけ……ホワイトカノンベルではいつも影で索敵だけしてればいいの……どうでも……」
帽の鍔で表情を暗くしそう言うと、イザベラは足音を立てずに部屋から抜けていった。
ゆっくりと操る影手でドアを閉じながら。
「やれやれぇダンジョンなのにウブですねぇー、アハッ。グッジョブでぇす相棒イザベラさぁんついでにここのマァップとお宝も調査たのみまー!」
元気な金髪は大きな声で頼りになる便利な影へと、追加のミッションを課した。イザベラはブツブツとつぶやきながら慎重に索敵をはじめだした。
▼
▽
くらくらとするほど掻き乱された内在オーラは元にしずまり平静を取り戻した。
楽天海都は目覚める────
雷のオーラブロックが白い明かりとなり、この部屋を照らしている。
少しだけくらっとくる頭で上体を起こし──ここがどこだか分かるのに時間がかかった。
『おひやでぇーす』『え、どうもっす…』手渡された水のペットボトルを礼をし受け取り、乾いた喉に3割ほどを飲み干していく。
「てちょ、なんで!? えここって部室ダンジョンでセリーさ──」
「さっそオーラ調べるでーす」
「え、え? いやなにがどういうわけで!? え、あのちか──」
ベッドの上をじりじりと後ずさっていく、四つん這いで近付くその金髪グラサンの女性が、状況が飲み込めずしどろもどろし逃げる海都に追いついた。
見つめるサングラスの黒は瞳が透けるほどにちかく、
厚ぼったい女性らしい唇が窄まる、
そのまま────
驚いた口元はやわらかい感触に支配されていく。
ハムハムとうごく唇を押し付けるようなキスがつづき……突然のキスをくらってしまった海都の力が抜ける。
そのまま厚くやわらかい唇に押され、押し倒されていき────
「あっ…ああぁ…♡」
「んちゅぷー。────わお、挨拶のチューをしただけなのにもうお顔トロトロでぇーす♡」
長い長いキスだけでベッドへとふんわり押し倒された海都はあまりにもやわらかいそのキスに包まれて……恍惚と表情をとろけさせた。
その素直なできあがりにセリーは笑い、接吻した唇を舌で舐めずった。
そしてこれからいどむ興奮のスイッチを入れるように邪魔なサングラスを大胆に投げ捨てた。
▼
▽
どこにでもいそうなただの高校1年生が一度強い雌の獣に襲われてしまえば、楽天海都彼にはその運命を変えることはできない。
海都のペニスはセリーの膣にすっぽりと飲み込まれ、既に背徳の行為は始まっている。
「あっあぁあっあああ♡♡」
「ンッンッかわいいペニスに小突かれて興奮しまぁーす♡」
豊満な女体が、乳房が、揺れ、細い青年にまたがり騎乗位で搾りあげていく。
尻を上げ──落として、いったりきたり。快楽のハンマーで彼の肉を下敷きにし痛めつけ、たのしむように。
上りつづける継続的な刺激がペニスを擦り上げ攻撃する。跨られた海都はそのパワフルな騎乗位に喘がされるばかり、その上で揺れる圧倒的な雌の攻勢と光景に反撃も耐えることもできない。
外国人女性は日亜の若い男子をだれにも邪魔されない秘所へと連れ込み、好きに犯す。
興奮の愛液をセックスの最中に分泌させながら、若い雄の象徴を咥え込んで離さない。
圧倒的な肉感に支配されて性器と性器で淫靡に繋がっている、海都の亀頭は膨れ上がり開いた鈴口から我慢汁をだくだくと漏らしていく。それがまた潤滑液となり、泡立ちながら雌肉によりスムーズに圧されていく。
「わお、ナカで膨らみまたぁー♡」
これ以上はもう耐えられない、セリーは青年の必死な表情と膣内でびくびくとせがみ暴れるペニスを確認して言った。
「アハッグッドボーイでぇーす、さそくカイトトドメのご褒美でぇーちゅ──♡」
「あっああ♡でっでちゃンン♡♡────」
またあの厚くてやわらかい唇が迫り、キス。
今度は押し付けて、より深く、舌をつぷりと入れていく大人のキスで────
更に、カラダを包み込むやわらかな双丘。
密着した騎乗位のまま圧倒的な女の肉に全身をつつまれる。
唇もやわらかく、体も、アタマも、思考も、なにもかも……
海都が耐えられるわけもなく────
大興奮のままに射精していく。
びゅーびゅーと止まらない。肉厚な魅力的な雌のナカへと漏れて漏れて漏らしていくザーメン。
「ちゅぷアァッあっあっ♡♡オォーオオー…………ンンーー……!! ハァハァ…ぁこれはよそうがいきもちぃでぇーす……」
「あっあぁひもひぁひゃ……♡♡♡」
深いキスでつながりトドメをさされ、回復オーラの熱いザーメンをセリーの膣内へと排泄していった。海都の持つオーラを調査するために自らの肉体で採取したセリーであったが、その際に味わったことのない温かな多幸感が全身に広がっていくのを感じていた。
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「はぁはぁ…あ、マッ!? せ、セリーひゃんひゃめぇア!?」
セリーは待たない。
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中に着ていた水玉水着が露わになる。豊満な汗ばんだバストが水着の薄布にぶらさがり……そこに見える。
乱れた金髪を艶かしい手つきの両手でかきあげていく。
「もう一回いきまーー♡ちゅちゅーー」
「んんーー♡♡」
あの気持ちのいい瞬間をもう一度味わうために、またベッドに沈みこむほどのラブラブなキスをしながら大きな尻肉を打ち付けた。
海都の思考はまたまたたくまに逃れられないピンク色に染まっていく。
柔らかくて深い……自分の唇を全て抱かれるようなあつーいキスと、むにゅりとのしかかる巨大な乳房に圧され……なすがままにとろけて抵抗することができない。
汗を染みつけあい、蜜を混ぜ合わせ泡立たせながら、セリーの肉体を用いた青年のオーラ調査はつづく。
▼
▽
青い鳥は暗雲から飛び立ち熱い砂浜へとその冷えた羽を休めた。
なにやら騒がしい、いつもは素っ気ない鳥も珍しく赤髪にチップをねだりに甘えに来た……のではなかった。
1人の時を狙い来たものの、気を入れていた鍛錬を思いもよらない青いちいさな存在に邪魔され集中が途切れた。仕方なく赤髪は汗をタオルで拭い誘われる方へと向かって行った。
またこの勝ち取ったエリアにモンスターやヤドカリがわいたか何かだろうと思い油断はしていなかったはず。
しかしソレは一瞬にて現れて背後上から頭部へと振り下ろされた──暗がりの鈍器に遅れて赤髪は気付いた。
振り下ろされた用心必勝と、
迎え打つ鍛錬殺気、
緊迫の間合いは重なり、勝負は一瞬にて────はじける水飛沫の軍配が上がった。
握る手のない光るステッキが床に乾いた音を鳴らす……。
やがて明かりは点滅し消えて、強烈な水の一太刀に頭を通路の壁に打ち付けた。
……忍んでいた存在を間近で確認し、赤髪はその剣を抜いたまま──
殺気は増しその足音を慌ただしく立てていく──
そしてやがてピンクのいかにもなドアを蹴飛ばした。
〝ドタンッ!!〟
ブロックが損壊する程の蹴りがお見舞いされ開けていく。
「──おい何をやっている、誰だ貴様?」
見たことがあるようなサイズ感の男にまたがる……水着の痴女がいる。金髪の金色の瞳で色々とデカイ訳のわからないヤツだ。
「わお、びっくりまた!? 心臓に悪いノックでぇーすドナタですかぁー? はてぇ、おかしですね? イザベェラさんは?」
「あの足音のしない忍者のことか? そいつならさっき一太刀で片づけたぞ。大方息を潜ませることに自信があったのだろうが私の張っていた陣に迂闊に入ってきたのが悪手だったな、実力を出し切れずに敗れるのは私もよくあることだ」
剣を片手に携えた赤髪の女剣士は不審金髪を見つめ、不敵に笑いながら言う。
ベッドの上にきょとんと座るセリーは顎に手をやりながらも、赤髪の女の表情と鋭い目つきを見て納得したようだ。
「おぉホントでっかぁやるでぇーす! さすが…オォ本場サムライガールでぇーす!!」
「ソデスネシカシィ……どしますぅ? イザベラさんが逃げる間も無くヤラれるのはよそうがいでぇす困りましたねぇーココはたのしく人質ぃこうかんですかぁー」
「え!? ムスイさん…ここにどわっ!?」
「そのまま頭を下げてろ海都!」
ムスイはためらいなくオンナに斬りかかった。
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「フッ、逃げてばかりで勝てるというのか?」
「ンー、たしかにぃけっこうなお手前…ソデスネシカシィ……その程度なら素手両手でオソラすぐ勝てまーす!」
「仲間はいないようだが!」
「アハッ、たのしそうでぇすそなウソズルはしませぇーんせかくのニチアンせいひちゅツアー初バカンスバぁトルまてましたーレッサムライガール!! いきまー」
「いいから来い、得体の知れないヤツ!」
赤髪の切先は得体の知れない動じない金髪の眉間へと向けられる、自信堂々どちらもハッタリではない。
鋭く細めた妖しげな金色の瞳は湖の瞳に映り光る。
ムスイは己に向かう黄金の獣の挙動を片時も見逃さないように……勇ましく目を凝らし、熱くなってきた剣の柄をぎゅっと握りしめた。
オーラを込めた拳はフロアブロックを砕き、尋常ではないパワーを見せつける。
とんできた危険な破壊行動を、染み付いた反応で紙一重で避けたいつもの水色道着。
そして水色の刃はすかさずやり返し、返す刀でつづけざまに攻め立てる。
しかし豊満さに似合わないしなやかな身のこなしで避けつづける金毛を、やがて捉えるためにチカラ強く虚空をその剣で幾度も刻んでいく。
それはウォーミングアップはたまた慣らし合いのつもりか。
序の口のチカラを魅せあった結果にお互いじわり口角を上げ──
また異なる間合いを重ね合い、2人のオーラは拳と剣にのせ混じり合った。
「あ、あの……? ム、ムスイさんセリーさんなんでたたかってぇ……どわっ!? ヤバ崩れ!??」
結局たたかいの場は変えなかった。
修復途中の魔王城はもはや何故勃発したかは定かではない、赤髪のサムライとさすらいの異国人2人だけの争い模様を刻み彩る舞台へと……崩れ斬られ、危うい変貌を遂げていく。
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