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11♡新発売夏ちゃんゼリー、新登場ド神子

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(あの先生が不在だった日、シデン・レイラさんが助けに来なければ俺と月山さんがかなり死にかけた日)

(ききたかったことがあって、野暮用のことや、あのちょっと強いらしいビームを撃てた白い盾のレアチップの話)

(を聞いたはずが…昔話? を聞かされていた気がする。けっこう、ながいながい…)

(なんとなくは聞かされてはいたけど今回よりくわしく…先生の中に眠るという古い刀、緑蜜のこと先生が神牙流の道場に通っていたとおい過去のこと。俺の引っ越してきた栃木緑蜜市と同じ名なんてなんというか…すごい)

(そんなモノを平然と持って使っている…斬っている。雷夏先生はもっとすごい人な気がしてきた…)



あれからシデン・レイラは結局雷夏から逃げおおせたらしく、時間が余ったので楽天海都とふたりきりになった雷夏先生は生徒からの夏ちゃん質問タイムを設けていた。

なんでも答えてくれるのだと、しかし一方的な自分語りがつづき今やっとライバルである赤髪の剣士、流水の美剣士ムスイをけちょんけちょんに怒涛の91連勝でやっつけたという……ひとつのエピソードが区切りよく終わったのであった。


さすがに雷夏も人間である、しゃべるにも息継ぎが必要だ。

第二幕がはじまってはいけないので、海都はここでタイミングよく先生に聞きたかったことを質問した。


「で、あのぉ先生の野暮用ってなんだったんですか…?」

「んや? それはな、──これだ」

「夏ちゃんの大好物夏ちゃんゼリーだ」

「ゼリー? クレー…」

どこから出したのか手を伸ばしぽんと手渡された、大好物夏ちゃんゼリー。
しかしそれはゼリーに見えない。カタチは円錐台であり、焼き目のついた山吹色をしている。

しかし──

「あぁ!? これ俺家で食べましたよ! え、え?  え?」

海都生徒は知っていた、昨日まったく同じカタチのソレを食べさせられたので当然知っていたのだ。ちょうど、母さんにもこんな風に突然部屋に無断で押しかけられて脈絡なく手渡されたのであった。

母さんにも。そう──

「ってなんで母さんいんの!? ダンジョンに!?」

例のホームセンターで買ってきたビーチチェアーを並べゆったりと寝そべり、楽天海都と雷夏の先生と生徒コンビが語り合っていたところ、

遠目の砂浜に、

楽天海都の母さんは手を振っている。

『夏ちゃんのいるだんじょん…?っておうちはどこかしら?』
ということで、先に帰っていた牛頭梢と月山がばったり品を運んでいた海都の母親と出会い体育倉庫内のここまで案内したらしい。

「なんでも最近ここに越してきた新参の方のクレープ屋というじゃないかカイトママ。だからその腕を見込んでママには夏ちゃんゼリーを開発してもらおうと思ってな。恥ずかしがってかゼンゼンじぶんから身の上話をしないから気付かなかったぞ夏ちゃん! っもう、水臭いなぁ♡」

「え、意味がわからないっすけど…そりゃクレープ以外もつくってますけど…え、いつ、いつの間に…」

「分かれよ、こう見えてナントナ…──夏ちゃんはゼリーには目がないんだぞぉ!」

「え、そうなんすか?(餃子や焼きそばだと思ってました?) でもうちクレープ屋でクレープ以外はそんなに扱っては」

「フ、だから焼いて巻いてもらったのさ」

「それはハイ知ってますけど……これ先生の案だったんすね!」

「フフフちがうぞ、カイト生徒の案だ」

「俺? なななんでぇ…?」

「カイト生徒が不味いと言ったものは店で出さないとカイトママは言っていたぞ♡つまりカイト生徒お墨付きのクレープカンパニーの夏ちゃんゼリーだ!」

遠くで月山と牛頭と三人でだべるカイトママは、夏ちゃんの放ったウインクをお茶目なウインクで返した。

乙女なら顔を覆いたくなるような事態であるが、男子苦笑いにとどめ、海都は一応大事なことなのでツッコんでおいた。

「クレープグレープグループですけど…(え、そんな単純なシステムだったの…店のメニュー決めるのって…)」

「はっはっは、そうとも言うな。んー、カリぷるで美味い! ──おっ? これ生クリームが入っている? んや、カイト生徒のアレンジか? なんとナナナイスだ! これは──そうだなっうん、これも正解だぞカイト生徒ォォォ」

「あっす…あそれ、はい! ちょっと食べ続けたときに味気なかったんで俺が一応ちょっと注文つけた通りになってるみたいっす…(きのうよりも──う、うまい)」

「なにこの変なの、たしかにカリぷるでヤバいわ、うんうんなるほど──生クリームなかったらヤバイね、夢に出てきそう。(カリぷる星人があおい地球侵略に)」

「え、えっ? だれ!?(俺のゼリーが……)」

「そいつはさっきはなしたド神子だな。はむはむかりぷる────」

「どみこ? ってたしか当主代行とかいう…」

「そっド神子よろしく。げんぞうくん、アレっ。ジョリってない、ジョリ皆無のつるってん、ぉぉぉ」

チェアーから上体を起こし夏ちゃんゼリーを口に入れようとしていたところ──現れた。

不意に現れた黒髪、ビーチにも関らず黒パジャマ姿のある意味奇抜な人物が背後同じチェアーに座っている。
海都からかっぱらったクレープ巻き生クリーム入りゼリーを勝手に食べて、変わった咀嚼音をきかされている。そして軽い自己紹介をしたと思えばチェアーの前方に乗る海都は何故か顎を飼い猫のように撫でられている。

食べ物を盗まれる、
背後に何かがいる、
それがさっきの先生の話で出てきたどみこである、
何故か顎周りを撫でられている、

余りにも情報過多で分からないのでとりあえず撫でられながらも海都はひとつ訂正だけをしておいた。

「えっと…げんぞうじゃなくて、らくてんかいとっす…」

「あーぁ、やばっ、ごめっ。──だれかしらないしどっちでもいいわ、仮眠室どこ?(これもういらない)」

「ハイ? …?(えと、これ2ミリぐらいのクレープしかないんすけど……)」

2ミリの食べかすを彼の手のひらに乗せた…黒髪黒目の背後にあらわれた黒髪黒目。
それを笑い見つめる青髪は顎に手を当て、あらぬことを冗談交じりに言う。

「んや、ひょっとして兄弟か?」

「まじ、生き別れのおとうとやぁばいわ、てんぞう、だっけ? そういやじじいからきいたかもだわ」

「いやちがうかと…、楽天海都っす…(これは食べるべきか…捨てるべきか…)」


もはや今日が日亜国民の花見の日であるとは誰も覚えていない。
シデン・レイラからはじまり思いもよらない登場人物のバーゲンセールであり、部室ビーチはあちこちまた彼女らの声で騒がしくなってきた。
ちなみに夏ちゃんゼリーは夏ミカン味、構想当初はゼリーを丸ごとカリカリに焼いたクレープに包むのを売りにする予定だったが、海都生徒の提案したみんな大好きな生クリームを中に詰める案がカイトママに採用され、ゼリーも老若男女が食べやすいように小さく等分された。
直前で路線を大きくアレンジした…されど味のバランスは良くなった。本日道の駅クレープグレープグループで新発売、夏ちゃんゼリーは初陣で見事本日目標分を完売したのであった。
現在、今後の売れ行きしだいでは他の味も検討中である。








カリぷるな食感がたのしい…春を追い越せ、夏ちゃんゼリーイベントは終わり────


事前に雷夏がシデン・レイラに頼み込み、シデン・レイラから預かった置き土産を雷夏は次に絶対的に信頼のおける人物へと手渡した。

あとは任せると、勝手にバトンタッチ──

雷夏はカイトママを仲良くだべり連れ、一旦ダンジョンで勝ち取った私有地である部室ビーチから抜け出していった。
夏ちゃんゼリーの今後の展望について語り合う…ゼリーに目がない彼女にとってそれは優先順位の高い事柄なのである。


雷夏に丸投げ…託された人物は、あくびをしながら黒髪をぼさぼさと掻いていく。
手渡されたのは3枚の折り紙、青、緑、灰、3体のグリフォンを平面な紙切れへと戻して口伝を確認していく。

燦々な陽射しに打たれ黒髪は灼かれていく。いかにも眠気オーラ全開でありながらも、仕方なしに子供たちの面倒を見なければならなくなったので……

彼女は集めた。

じぶんの元へと、

『育成いべんとぉ先着3めいまでっ、はっじまっるよぉ~、いーーち、に────』気の入っていないほわっとした声を少しハリ、──集めた。


そして黒パジャマの裸足のつま先前まで集められた生徒たちの育成イベントが唐突に始まってしまった。


「はぁ? さっきアレとチャンバラやったばかりなんだけど…ちょっと…」
「っすね…(アレ…)」
「おぉ育成いべんとぉ?」

「さぁーーーー、おっす。きたじゃん、こなけりゃやめてたのに」
「はぁ?」
「なんとぉー罠ぁ?」
「っすね…」

「はぁ? なんとぉ? っすね…。カピバラちゃんそんな前歯で威圧しないでさ、さっき変な青いのに凝った紙貰ったんだわ、ほいこれが君らの育成めにゅー。、おにゅー」



【青のグリフォン】月山雨楽楽
剣術修行(とにかくチャンバラだ!)
的当て(缶々をカンカン…ってね)
筋トレ(筋トレ)
走り込み(走り込み)
ストレッチ(ストレーーーーーーーッち!)
オーラ量UP(やかんの水は好きかい?)
テトラ超え(あなたとこえたい)

ひとこと
自分というブロックを見つけるべし


【緑のグリフォン】楽天海都
的当て
新技開発

ひとこと
今よりいっそう仲間をたより必ずそれを助けるべし


【灰のグリフォン】牛頭梢
オーラ、武器チップの操作

ひとこと
なにもなし、あるがままに



各々くしゃついた色紙を、この場で一番年上で偉い古井戸神子から手渡された。
その裏白に書かれていた内容を────広げて各々の色の目で読み取っていく。

「カピバラって……────────は? なんで私だけこんなフルコースなの? はぁあ?? テトラ超えってナニ? 意味不明なんだけど(とくに()ってふざけてんのぉッ? はぁ??)、はぁ??? ねぇ、楽天くんッッ」

記載されていたメニューを読み他の部員たちと比較した──月山雨楽楽はすぐにおかしい、バランスの悪い不平等さに気付いた。多すぎる、自分だけ明らかにメニューがフルコースものであるのだ。

さすがに彼女はこのふざけた不平等に怒り、噛みつく先を探し、いつものように楽天くんへと言を促す。

「!?ええ? いや、えっと俺もそれは分かんないっすけど、あっ! えっとたぶん種類が多いフルコースなだけで量は俺と変わらないん…」
「なわけないよね??? はぁ??? なんで剣術修行サボってんの?? 筋トレ走り込みもストレっ…オーラ量UPやかんナニソレはぁ!?? はぁ…──はい、これ楽天くんの分ね」

「え、いや…これは月山さんのらしいので勝手には…そそそれに!! 聖タクのシデン・レイラさんが直々に考えたメニューなら間違いないかと…グリーンキャップのときも死にかけから助けられましたし……あっっ聖タクでもたしかグリフォンの折り紙にして…グリフォン部隊の育成メニューを飛ばしてプレゼントしてました!! こ、これはグリフォンかどうか知らないっすけどッ…」

海都が折り目にそい折り直したそれはグリフォンというよりはただの鶴であった。

「はぁあ?? ……。……楽天くんも筋トレ走り込みしてよねッ!」

聖タクのシデン・レイラ。
たしかにその物語の中の人物は実在し、あのとき大ピンチを助けられたのも事実。
アレ…雷夏よりも無茶ではない、無茶苦茶ではない。
思い返せばおどけた人物であったが割と言う事はまともであったのでクラスメイト楽天海都を睨みつつも、月山はやがて沈黙し仕方なくこのボリューム満点のメニューを納得した。
最後にしれっと彼も自分のフルコースに巻き込みつつ、


「ええ!? イヤ、俺っ」

「はぁあ!!! ナニが毎回ええ!?イヤ、俺っ、なの??? ダッサイんだけどッ!」

「えぇ…いや、──あっ…」

「おぉ、そこのおふたりさんわたし牛頭梢の番無視しないでちょっこしなにもなし、あるがままに、どゆこと?」

まだ噛みつく…いちゃつく…月山と海都の水着姿の男女カップルの痴話喧嘩にそろそろいいですかな?と混じる、灰のグリフォンをいただいた、牛頭梢。

一瞬ながながと振り向いた男女2人は、しかし──
また月山が彼の方へと向きガミガミと不満の言葉の羅列で噛みつき始めたようだ。

首をこてっと傾げたまま止まった牛頭梢が次に見つめるのは、余った黒パジャマのひと。
視線に気付き、ゆっくりとした足取りで一歩二歩灰色へと近づいてきた。

そして眠気マナコを7割ほどの目一杯見開き、自分より背のおおきな灰色髪の子供に彼女はさっぱりこう言ってあげた。

「あるがままでいんじゃん」

「おぉ、あるがまま」

なんと御大層にゆっくり近づいてきた古井戸神子は、〝それ〟だけで終わろうとした。

黒パジャマと黄ビキニ、両者沈黙で見つめ合う中、

この種類の沈黙も別に苦ではない牛頭梢はマイペースなタイミングでつづけた。
腰に手を当ててノッポさんを見つめたまま時が止まっていた古井戸神子も彼女にこたえていく。


「たとえば、どゆこと?」

「──なんかキャラ被っててめんどくさいわ、とか」

「おぉ? そゆこと? 被ってるならばっちゃり変える?」

「それもばっちゃんめんどくさいわ、色違いでいんじゃない?」

「ちょっこし?」

「ドっこし?」

「なにそれ」

「ド神子だからね」

「牛頭梢だけど」

「まじ、ド神子とゴ頭子とかもう兄弟じゃん」

「ゴ頭子? それ、ちょっこしいいじゃん?」

「ドっこし良過ぎたかも、やっぱしなしで」

「おぉ? いけずぅ?」

「いんや、じゃんけん」


「「さいしょは」」
「って何グダグダやってんの! そんだけ喋ってビックリするぐらい中身ないんだけど…!」

今度はあまりにも中身がなさすぎる灰髪と黒髪女子たちのぬるいテンポの会話中に噛みついた。
その意味のないついに謎のじゃんけんまで始まりそうになっていた会話劇に片耳に聞き片目に気にし見ていた月山雨楽楽はついに耐えかねたのだ。

神子と梢、2人はやっとやってきた彼女に待っていたとばかりに2人用意していた同じ台詞を告げる。

「「ツッコミまち」」

「だとしたらバカでしょッッ!!! ほんとなにやってんの…はぁさいあく」

「「はぁさいあく」」

「真似しないでいいから…」

「「真似しないでいいから…」」

「あの、やめてくれる? マジでそんなキャラじゃないんだけど私? 普通小学生じゃないなら一回まででやめるのに鹿があつまってバカになった?」

あまりにもくだらなくてさすがにあきれ顔を披露した。
隣並ぶ馬と鹿をちょんちょんと二度指差し、無意味な突っ込みのボランティアをしてしまった月山はしんどそうな徒労の溜息を吐く。

「「キャラ、かぶってるから(馬じゃないよ牛だよ、鹿じゃないよド神子だよ)」」

「わざと合わせるのをキャラ被りって言わないんだけど…とにかく2人はなれて…」

灰髪ノッポと黒パジャマの2人にお互いの近すぎるポジションをはなれるように月山は命令した。
1人でも若干おかしいので2人無理して合わせて集まるから余計におかしくなっている、と言いたげに。

「言われてみればそうだわ、近いしノいてよ牛頭うしあたま

「おぉ? いいじゃんそれ。んじゃ、──ド神子しんこ

「おしんこみたいでやぁばいわ、────はいっ」

「おぉ、──はいっ」


〝はいっ〟それが古井戸神子と牛頭梢コンビ解消の区切りだったのか。
あっさりとその場を離れ、謎の即興コンビは左右に分かれ解散したのであった。


「ほんと何がしたかったの……(頭おかしいんじゃない…)って楽天くん何突っ立って見てんの!」

「えぇ…だってアレは、どうしようもないですし…」

「それをどうにかするんでしょ! なんで私が突っ込んでんのよ…ほんとさいあく、千葉男子なら東京男子ぐらいしっかりしてよね!」

「え? なんでソレ知って?」

千葉男子、その言葉が月山から出てくるとは思わなかった。
自分から千葉から栃木にやってきたという情報は彼女にはまだ伝えていなかったのである。
海都がすこし驚きながら彼女の青いジト目をみつめていると──

「てんぞう、千葉ボーンの千葉ボーイ? やぁばいじゃん、なんで栃木いんの? なにがたのしいかんじ? だいじょうぶ?道場もむ?」
「おぉ千葉ボーイ、そういえばさっきらくてんかいとママからきいたじゃん、ちょっこしこしてきたとか」

また戻ってきたあの自称似たモノ同士の2人。また手を繋げるほど近い位置に並列し、この栃木緑蜜の地にはもの珍しい千葉ボーイへと立て続けに問いかけていった。田舎者女子の性であるのかもしれない。

東京に関わりのあるものにあこがれを持つ月山も当然気になっていた。さっき話していたカイトママからの情報だけでは足りない…海都本人に聞きたかったことが腐るほどある。

ぐいぐいと前のめりで迫るエメラルド水着の彼女に視線あまりやり場なく、気圧されながら、海都は苦笑いの表情を崩さず答えていく。

「ほんと千葉ボーンのイケてる千葉ボーイから栃木なんて都落ちで大変じゃん楽天くん、なんで来たの?」
「いや、すんません俺もそれは聞かされてないですし母さんが緑蜜は学校も雰囲気が良さそうだからって…別に都落ちでは…既に都外なんで、ハハ、ハイあんまり変わらないっすよ! 俺の住んでたところは団地ばっかだったんで割と無機質で…むしろここのほうが(千葉ぼーんの千葉ぼーいってナニ…)」
「いやいや何言ってんの東京ゴッチャンランドと東京ゴッチャンデスシーのある千葉だよ! 海だよ海ッアクアゴッチャラインもあるじゃん! 何より千葉ってか、かっこいい!(東京、千葉は栃木女子の憧れイチニなんだからね!)」
「えぇ…そりゃぁまぁゴッチャンランドはちょっとは自慢できますけど…(ロボットものの総合テーマパークなんで女子ウケはそんなにじゃないかな…)千葉にいるから一回行くかぁってぐらいでぇ…それ以外はほんとフツウもフツウなんで…海はほらここにもありますし、なんならここの方がっ」

雷夏と月山の愛読雑誌、週刊ジャイアントにも伝説のロボット漫画ゴッチャンシリーズは今もなお連載されている。
個性豊かなRIKISHIがど迫力の相撲技と怪獣とがっぷり四つに組む死闘熱いたたかいが、かっこいいと一部女子たちにものすごく受けているらしい。
東京ゴッチャンランド、東京ゴッチャンデスシーとは千葉県にある人気ロボットものアニメや漫画作品全般をモチーフにしたアトラクションのある総合テーマパークである。(超硬RIKISHIゴッチャンの生みの親の聖地である千葉に建てられた大型施設、千葉なのに東京とついているのは外国の旅行観光客へとアピールしやすいため)

「もうっ分かってないの? 千葉の海だからいいんだからァ!」
「えぇ…!? イヤ、海は繋がってますし同じですよ」
「ここ意味不明なダンジョン、繋がってないし! こんなのノーカンだから、何言ってんのバカなの?」
「いやちょっと落ち着いてくださいよ月山さんっ! 千葉なんて」
「はぁあ?」
「いや、えっと…栃木には」
「栃木には?」
「…だだ、ダンジョンがありますし!」
「ナニ雷先生みたいなこと言ってんの…さいあく、しね」
「し、し、しね…!?? え、月山さん???? マッ────」


男女なぞの口喧嘩して走り出す。男子はむすっとして不意に海へと走り出した黒髪の美少女をあわてて追いかけていく。


その様子を並びだまーって見つめる────


「さいきんの青春やぁばいじゃん、うしあたま」

「やぁばいね、どしんこ」

「てかツキヤマ、しゃべりすぎだわ(隙ゼロじゃん)」

「ツキヤマに突っ込める部員募集中でぇす」

「でぇす?」

「おぉ?」

「そんな引き出しあんの(かわいいじゃん)」

「おぉ? おぉ、ちょっこし忘れてた、牛頭梢でぇす」

「ふぅーん。──古井戸神子でぇす。────30はやぁばい、きぃついわ。──────いまの墓までたのむわ」


「ド神子。──なにもなし、あるがままに……でぇすっ」

「いい言葉だわ、それ、──わたしじゃん」


海を見つめる、いつの間にか水をかけあうさっきまで口喧嘩していた男女こどもたち、とヤドカリ…がいる。
そのキラキラした様がひじょうにうらやましいものであったので────似たモノ同士の2人は頷き合い────青春の波打ち際までまっすぐ裸足で駆け出していった…。






キャッキャウフフと海遊び。

緑蜜高校、ひみつのダンジョン内で繰り広げられる、ダンジョン部青春の水かけの一幕は──

ヤドカリのヤドコンちゃんからハサミの手で手渡された水に濡れた…イチマイの手書き地図にてちょっきり幕切れ。
────真顔にもどった月山雨楽楽は、ひとりふざけたラクガキの場所へと溜息まじりに予定のバスで向かった。



▼▼▼
▽▽▽



【育成イベント月山編】
⬜︎⬜︎⬜︎
 ⬜︎


道場の真ん中で木剣を素振りする、落ち着いた深い色合いの赤髪がいる。
気配を察した赤髪の剣士はピタリと動きを止め、入場してきたぎこちなく会釈する異物、緑ブレザーを見つめる。


みずいろのタオルで鍛錬でながした汗を拭いていく。
独りでの鍛錬中に思わぬ水を差された赤髪は自分の動作作業に移行しながら、突如15時半ばの道場に舞い込んできた子供の客の話をながら聞きする。

「はぁ、育成メニュー、剣術修行…ナニを言っている? ──いや待て、またアイツか…」

(突然尋ねてきた緑のブレザーと何故か鼻につく黒縁メガネ。夜の道場にもこの年頃の子はいない。なんでか知らないが増えたのは毛むくじゃらの熊と鶏みたいな男たちばかりだ。青いアレが…何か吹き込んだんだろう、あれもこれも)

「あいにく今は3時の鍛錬、私の貸切時間だ。フン、絶妙にタイミングが悪かったな。なのにわざわざ緑蜜からここに遣わされたか、──どうせアレの被害者なんだろ」

みずいろタオルで顔を拭いながら、動作を止めてチラリ。
月山を見つめる湖の瞳がある。笑ってはいないが、怒ってもいない、淡々と語り見つめてすべての汗を拭き終えた。

なぜかその女剣士のラフなのか鋭いのかの間の様がすこし、格好良くみえてこの道場のまったくの客である月山はゾクゾクとしてしまった。

「! ──はい青いアレ…。はぁ…ごめんなさい、そうですね出直して来ますっ、じゃなくて出てい──」

目の前。いきなり回転しながら飛んできた──テトマズのブロックではない。

「!? …テトっ!? ぼくとう??(ッ──ていうかめちゃくちゃ手痛いんだけど…なにしてくれてんのこの人…はぁ?)」

月山の手元に一瞬で落ちてきた、木のブロック、木剣が手元にある、イマ握っている。
少し湿った…さっきまで赤髪の剣士が振るっていたと思われる……手にしたことのない強者の、生々しい剣のかんかくがそこに……。

「何も知らないその髪の色がムカついた」

「はぁ?? えっちょっとぉ!? なんの意味の構えそれぇ…?」

披露された美しい正眼の構え、その切先は月山のメガネ目元を刺している。
少女の黒い髪の色がムカついたというどうしようもない理由で、赤髪の剣士は構えているのだという。

今向けられている鋭い眼光は子供に向けていいものではない。至ってこの大人の女は真剣なのか、それともふざけてそうしているのか、月山には判断不可能である。

そして何故かその向けられた切先に操り人形のように、手足を動かされてしまい────構えずにはいられなかった。

「そうだすこし構えてみろ──構えたな、来いっ小さき獣。野ウサギなら晩飯の足しにする」

もはや月山は自分自身でも何が起きていて何をさせられているのか理解不能だが、不思議と…

誘う────この赤髪の表情と構えと、細やかにリズム打つ正眼の切先には、叩き込まないと気が済まない気がしてきた。

「う、うさ!? はぁもう……あちこち振り回されて……わたしはウサギでも晩飯でもッカピバラじゃないんだからァ! みんなツッコミ待ちで寝ぼけてんのォっ!!!」

目一杯ちから一杯、言われた通りに何も考えず叫んだままに叩き込む。
溢れん小さき獣は、発するなないろのオーラを、木の刃にノセて。


「! ────オーラとかいう…ッまた訳の分からない剣が来たかッ!」

「日中からお休みまで訳が分からないのはこっちなんだからァ! 来いって言ったのそっちでしょおおお(このタイミングっ)【テクニカルスピン】──アレ? きゃっ──」

「こっちの番もある! 野ウサギでも思いっきり蹴られると少しは痛いからなっ」

「やっぱ栃木ってヤだァッ──はああァァァ!!!」

アソビなのか真剣なのかなんなのか、剣を交えている月山雨楽楽にはわからない。

だがすこし楽しいのかもしれない。

偶然でも剣を握ったからには、目一杯振って目の前の同じ剣を構える赤いお相手にぶつけるしかない。

ムスイと月山、雷夏のいたずらか…巡り合った女子2人のそこそこハードな剣術修行が始まってしまった。








【育成イベント海都編】
⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎



「新技のコツねぇ、……──ごめっ。忘れたわ、(そんなむかし)」
「あのぉ、ハイ…えっと…近いんですけど、てかなんで俺まで寝て……」

例のスイカテント内は伝言の役目を終えた…古井戸神子の仮眠室(仮)として占拠されていた。

育成メニューにあった新技開発のヒントコツを得るために、今はこの場にいない雷夏先生の話の中ではすごいスペックの高い傑物だと評されていた古井戸神子神牙流当主代行に質問をしにいったはずが…

何故かその閉ざされた暗幕の中に海都もお供しており、現在ぜっさん黒パジャマに抱き枕扱いで背中に抱きつかれている。
意味が分からず困惑するが彼はいつも通りに状況に身をまかせるしかないのであった。

「毛布ないんだわ、」
「? そりゃビーチには絶対ないんじゃ…」
「ないと寒いんだわ、まじ」
「いや熱くないすか…(フツウに手汗かいてますけど…)」
「ほんとだ汗やぁば、でもなんか被ってないと心臓が4つとびでそうで寝れないんだわ、」
「それはしらないっすけど…え、どゆこと…」

「うるさい、」

「え、うわ!?」

金玉を、
ちんちんを、
まさぐられている。

ゆるーい雰囲気の他愛ない会話からの突然すぎる、その一手。

背後から伸びたながいながいまさぐる一手が、海都のアソコにぬくもり纏う。

「そういや棒状のナニか握ってないと寝れないんだわ、当主代行だけに」

「ええ!? どみこさん、ちょっ!」


「じゃ、えっちすんわ、」

「え、え、ハイ!?? ッて!??」

「ハイってるわこれ…、かんぜんに。あーぁ」

「ああああ」


いつの間にやら既に、ひょいと跨られている。
さっきまでごろん、だらだらと寝ていたド神子が────────ハイっている。

暗がりに突然押し寄せてきた快楽が、みっちりと包み込んでいる。

「ああああーーあー。でも期待してたじゃん、ハイって3秒で全快に勃ってたじゃん、夜這いする気マンマンじゃん、このドえろいテントで、ド神子を、(ひるだけど)」

「え!? いやちが、あっああああ♡」

「てかわたしが上なのかぁー。これ、──だぁーるいわ、いっかい終わらそ」

上に跨るド神子はしゃべりながら黒髪を掻き終え、うごきはじめた。

終始ぼーっとしていた昼行燈の黒髪女が、男の上になった途端、急に、存分にヤル気を見せ始める。


「あっあっあああ♡♡♡♡」

はげしく手早く尻肉を打ち付けながら、射精をうながすための動きをする。
杭打つような攻撃力のたかい騎乗位の動きに、くわえて──

欲しがっていた海都の左乳首に吸い付いていった。

黒髪を乱し垂らしながら、腰は尻をおとし、なおもはげしいピストンをつづける。
乱した髪から覗く黒目は同じ色をした海都の黒目を、表情をじとっと睨み見つめる。

その昼行燈がとうていするとは思えなかった謎のスイッチの入った男を乗りこなす女のギャップに。

淡々とされど激しく一方的に与えられる水音激しく打ち寄せる快感の波の繰り返しに……海都生徒が耐えられるはずもなく。

「で、でちゃっ…あっあああああああ♡♡♡♡」

状況を飲み込む暇もなく、一連の性技を受けつづけ射精させられてしまった。
跨られてその行為がはじまってから終始くらいつづけ喘ぐしかなかった。
乱れた黒髪のショートカットは乱れたまま気にもとめない。
ド神子は膣内に染み渡っていく予想外のオーラ熱量をかみしめながらちいさく喘ぐ吐息を漏らす。
ふくんでしゃっぶり舐めていた左乳首から唾液の糸をつなげたらして……さっき入れていた攻撃スイッチが壊れたのか口元をぬぐうこともしない。

「ぢゅぶるぷるじゅじゅ────。なんかコレ染みてきてぽかぽかで…やぁばいわ、まじ。──次、ピッチャー交代てんぞうくん」

陽光透ける果肉の赤を背景に、

ほのかに微笑い見下ろす──。

窮屈だった黒パジャマの前ボタンをはずしながら、汗ばむ身体をパタパタと襟元の薄布を手持ち扇いでいる。
幸か不幸か登場人物はかわり、シチュエーションは見知らぬ年上女となかでふたりきり。今もまだ初めましての性器と性器で深く愛液と我慢汁を混ぜ合いながら繋がっている……。
楽天海都はまたも例のスイカテントで、シミつく男女密着の行為に及ぶのであった。
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僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

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「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

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