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第7話 RESCUE ME! HELP ME!
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木陰にネムル。
栗毛はみだしたままトマリ安らかに、
昼間の公園に似合わない銀色ドレスはギラギラとひとりでにしずかにひかっている。
誰かのために…限界を超えに超えたマリティーシルブはまりょく切れで無理に魔法を行使しすぎため気を失ってしまった。
今度は交代ばんこなのか警戒しちぢまった169cmの背にギンギラをかかえて、
取り囲まれた絶対絶命の状況に、
奮闘し流し滴っていく、汗。
アレだけあった魔法のウエストポーチの石ころも尽きてきた。
おかか、えかか、うかか、かかか……だけである。
「ヘンなみかねこ…みかえるがいっぱい……」
未知の化物に囲まれた少女は覚悟した、恐れ知らずともきっとどうにもダメなこの先を────
倒して倒して見飽きたカエルとお玉杓子の群がるこの先は────スベテ泡にかえる。
『なにわちゃわちゃやってんのよ!』
荒れたグラウンドはぶくぶくとふくれあがる泡泡で爆発連鎖! ──掃除され一面一瞬で、ポップな水色に染まった。
「魔法ソード少女が2人? はぁ? 先客の同業者がいたのね」
「あわ……あわねこ……」
あわわとあいた口が塞がらない。
視界一面、泡泡一瞬、水色景色に──
振り向いた綺麗な湖の瞳は、木陰にマヌケにネムル銀色と背の高いお馬鹿顔の同業者にたいして訝しんでいた目をパッと、とくいげに見開いた。
「フンっそう泡よ、あわね…って誰が泡猫よ! それとは別にあんたまりょく貸しなさいふふふふふスコア稼ぎの永久機関じゃない、最初からこうしてれば良かったわ」
「ほら手出しなさい、何よ? 文句あんの?」
「あわわ……」
「はぁ? あんたあわしか言えないの? はやくしなさい言っとくけど1てきもマケな」
また水色の魔法ソード少女はその目を細めた。猫のように表情をよく変える、自らお手をしようとしてきた彼女に、
「あわねこ、うしろ!!」
ふれいの視点は彼女のうなじの向こう側、ビッとするどく指を指した。
「はぁ?? ──って増援なんて嘘おっしゃい よッッ!」
飛び込んできた赤カエルを脳天から地まで叩きつけた剣で、縦真っ二つ。
しかし水色のまりょく爆発にまぎれ、時間差でマリティーポップに襲いかかった青カエルは──
「【かかかァ】!」
小石は腹の装甲にゴッとめり込んだ。
戦闘はリアルタイムで進行している、ふかかいなまりょくを浴び宙で一瞬体勢を崩した狡猾な青カエルはすぐさま真っ二つ。
「ちょっと石ころなんて投げてないで剣を使いなさい! ふざけてんの! あと! あんな青いの気付いてたわよ、あんなドブ青をマリティーポップといっしょにシナいでね! 何見てんのよ? ほら、とっとと」
「え? んー…ん!」
凄む水色をしばし見て、困り顔のふれいは辺りをキョロキョロとさがした。
そして、
落ちている勇ましい証が刻まれたMT4規格の剣を拾いあげた。
「そうよ、なかなか様になってるじゃない…いくわよ! ちゃんと〝わ・た・し・のまりょく!!!〟出し切って働きなさいよ! 聞いてないんだからこんなクソゾーン!」
「はたらく! ひぃふぅみぃぷぅ……斬ればいいの?」
いち、に、さん、し、
指差し数えた敵ストロー。
ふれいは水色パーカー背に首を傾げた。
「そう斬ればいい! って当たり前でしょ!!!」
マリティーポップはすぐさま振り向いて突っ込んだ。
ものすごく当たり前のことを聞かれて当たり前のことを答えてしまったからだ。
「こうやってぇ!!! 時代劇みたいに片っ端から斬るのよ、魔法ソード少女ならっ!」
「ん! 魔法しょーどちょーちょならァ!」
水剣はとびがえるを斬り裂いた。
握手して握手して握手して、ここまでポップに乗り継いできた魔法ソード少女たちのまりょく永久機関。
スコアを重ねて稼いで、美味しい簡単な作業。
のはずだったが、乗り継いだ先は泡で掃除しきれないハズレゾーンのクソゾーン。
つよいマリティーポップはただ目の前を自分色に染め、斬りふせる。
ぎゅっと握る柄、叩きつけた剣は斬り裂いた。
剣とは無縁の少女がはじめて握る、その剣はおもったよりもかるかった。
後ろをチラリたしかに銀色にひかっている、
前をしかり、たのしげな水色に彩られている。
ぎゆっと握る剣におのずとただの少女の肝が据わる──ナニかがじぶんのナカに座ったような感覚。
見据えたダークガーネットの赤目に熱帯びるこみあがる感情は────ただの刃を赤熱させた。
やがて肩をならべ公園でふたり剣を振いニッと笑う、キラっと笑う。
つよい魔法ソード少女マリティーポップと、借りものの剣をにぎったただの少女真田ふれいはストローを殲滅するために駆け出した。
栗毛はみだしたままトマリ安らかに、
昼間の公園に似合わない銀色ドレスはギラギラとひとりでにしずかにひかっている。
誰かのために…限界を超えに超えたマリティーシルブはまりょく切れで無理に魔法を行使しすぎため気を失ってしまった。
今度は交代ばんこなのか警戒しちぢまった169cmの背にギンギラをかかえて、
取り囲まれた絶対絶命の状況に、
奮闘し流し滴っていく、汗。
アレだけあった魔法のウエストポーチの石ころも尽きてきた。
おかか、えかか、うかか、かかか……だけである。
「ヘンなみかねこ…みかえるがいっぱい……」
未知の化物に囲まれた少女は覚悟した、恐れ知らずともきっとどうにもダメなこの先を────
倒して倒して見飽きたカエルとお玉杓子の群がるこの先は────スベテ泡にかえる。
『なにわちゃわちゃやってんのよ!』
荒れたグラウンドはぶくぶくとふくれあがる泡泡で爆発連鎖! ──掃除され一面一瞬で、ポップな水色に染まった。
「魔法ソード少女が2人? はぁ? 先客の同業者がいたのね」
「あわ……あわねこ……」
あわわとあいた口が塞がらない。
視界一面、泡泡一瞬、水色景色に──
振り向いた綺麗な湖の瞳は、木陰にマヌケにネムル銀色と背の高いお馬鹿顔の同業者にたいして訝しんでいた目をパッと、とくいげに見開いた。
「フンっそう泡よ、あわね…って誰が泡猫よ! それとは別にあんたまりょく貸しなさいふふふふふスコア稼ぎの永久機関じゃない、最初からこうしてれば良かったわ」
「ほら手出しなさい、何よ? 文句あんの?」
「あわわ……」
「はぁ? あんたあわしか言えないの? はやくしなさい言っとくけど1てきもマケな」
また水色の魔法ソード少女はその目を細めた。猫のように表情をよく変える、自らお手をしようとしてきた彼女に、
「あわねこ、うしろ!!」
ふれいの視点は彼女のうなじの向こう側、ビッとするどく指を指した。
「はぁ?? ──って増援なんて嘘おっしゃい よッッ!」
飛び込んできた赤カエルを脳天から地まで叩きつけた剣で、縦真っ二つ。
しかし水色のまりょく爆発にまぎれ、時間差でマリティーポップに襲いかかった青カエルは──
「【かかかァ】!」
小石は腹の装甲にゴッとめり込んだ。
戦闘はリアルタイムで進行している、ふかかいなまりょくを浴び宙で一瞬体勢を崩した狡猾な青カエルはすぐさま真っ二つ。
「ちょっと石ころなんて投げてないで剣を使いなさい! ふざけてんの! あと! あんな青いの気付いてたわよ、あんなドブ青をマリティーポップといっしょにシナいでね! 何見てんのよ? ほら、とっとと」
「え? んー…ん!」
凄む水色をしばし見て、困り顔のふれいは辺りをキョロキョロとさがした。
そして、
落ちている勇ましい証が刻まれたMT4規格の剣を拾いあげた。
「そうよ、なかなか様になってるじゃない…いくわよ! ちゃんと〝わ・た・し・のまりょく!!!〟出し切って働きなさいよ! 聞いてないんだからこんなクソゾーン!」
「はたらく! ひぃふぅみぃぷぅ……斬ればいいの?」
いち、に、さん、し、
指差し数えた敵ストロー。
ふれいは水色パーカー背に首を傾げた。
「そう斬ればいい! って当たり前でしょ!!!」
マリティーポップはすぐさま振り向いて突っ込んだ。
ものすごく当たり前のことを聞かれて当たり前のことを答えてしまったからだ。
「こうやってぇ!!! 時代劇みたいに片っ端から斬るのよ、魔法ソード少女ならっ!」
「ん! 魔法しょーどちょーちょならァ!」
水剣はとびがえるを斬り裂いた。
握手して握手して握手して、ここまでポップに乗り継いできた魔法ソード少女たちのまりょく永久機関。
スコアを重ねて稼いで、美味しい簡単な作業。
のはずだったが、乗り継いだ先は泡で掃除しきれないハズレゾーンのクソゾーン。
つよいマリティーポップはただ目の前を自分色に染め、斬りふせる。
ぎゅっと握る柄、叩きつけた剣は斬り裂いた。
剣とは無縁の少女がはじめて握る、その剣はおもったよりもかるかった。
後ろをチラリたしかに銀色にひかっている、
前をしかり、たのしげな水色に彩られている。
ぎゆっと握る剣におのずとただの少女の肝が据わる──ナニかがじぶんのナカに座ったような感覚。
見据えたダークガーネットの赤目に熱帯びるこみあがる感情は────ただの刃を赤熱させた。
やがて肩をならべ公園でふたり剣を振いニッと笑う、キラっと笑う。
つよい魔法ソード少女マリティーポップと、借りものの剣をにぎったただの少女真田ふれいはストローを殲滅するために駆け出した。
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