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第21話 アレ
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自宅、久々に帰ったんだが不思議な事に何も言われなかったな……。今日はお母さんは仕事で遅い、で本人に直接アレについて聞いてみることにした。
大きな鍋にカセットコンロ。昨日の鍋を水で薄めてラーメン鍋……まぁ男2人ならこんなもんだよな……。味は。
白菜? 野菜の味が出ててうまい……ひさびさの家の味って感じだ。よけいうまい。
ぐつぐつと煮え、しろい蒸気の向かい席。ガヤガヤと騒がしい何かのバラエティー番組のテレビ音。五百里は父に何気ない日常会話のような口調で切り出してみた。
「ねぇお父さん。アレって結局なんなの」
「ずるずずずず……アレ?」
「ずずずず。愛した女は全力で守り抜け」
「ずずずあー、アレなら。母さんを口説くときのヤツだ。おぼえてたのか?」
「か、家訓なんだろ?」
「そうだな、月無家の家訓。まぁチャンスを逃さないよう、子孫繁栄のため血を絶やさないためってやつだろう。全力で守り抜けとはいうが現代じゃ全力を使う場面なんてないだろうがな、はははは」
「はは、へ、へぇー……」
「で生まれたのがおまえなんだから家訓さまさまってことで引き継がれていくわけさ」
「……たしかに、そりゃ引き継ぐね……」
「そういや五百里お前新しい学校は、神日学園だっけ? 山の中なんて今時珍しいなぁー」
「あ、ああー。順調だよ。前の学校よりずっと、みんないい人ばかりで」
「そうか」
「あ、それでなんだけど山だし通学が遠いし寮に入ることになったからそのしばらくかえれないかもって!」
「なに!? それはたいへんだな……。大事じゃないか、母さんにも話しておけよ」
「もちろんそのつもり!」
▼▼▼
▽▽▽
「難所だと思われたお母さんには色々説明したけど、寮費無料だって言ったら案外ころっとだったな……。怪しんだりもしない、無料ってジンジュは主婦に対して強すぎる……」
寮生活、明日に向けて疲れ切った身体を癒すため五百里は0時を迎える前に寝ることにした。暗がりの一室、ベッドの上で仰向けになり静寂な夜が過ぎていく。
被った毛布で、じんわりあたたまり溜まった疲れが継続して癒えていくのが分かる。眠りにつく前に考えにふけり自然と独り言を漏らしていた。
「てかあれからメプルさんに会えてない……」
「くそっ、スマホは周防子先生に奪われたままだし。って、あ普通にバックアップから連絡」
「いや……よそう……」
「俺1人がメプルさんに…………あぁもう!! 愛した女は全力で守り抜け……ご先祖様のおかげかここまで来れたけど愛した女に会っちゃいけないときはどうすりゃいいんだ!!」
「くそー……」
「メプルさんと俺の……怠けか……神呪使いとしてって言われてもまだな。実態もよくわかんねぇしまだまだ戦力としても認められてないって事なんだろうな。……だいたい、メプルさんの使命ってのがあるとしてアイツらは……!! いや……神呪使いのお偉いさんは俺なんかよりよほど見えてるんだろうな…………でもッ、他人任せはもうやめだ俺には俺のジンジュがある、何かの流れだってちょっとは変えれるはずだ!」
天にかざした手、右の親指にチカラがこもる。いつの間にやら知らずに習ったあのカタチを成していた。
熱がこもりやがて三本指は白く発光し。暗がりをまばゆく照らしている。
「うお!?」
「やっべ!! おさまれおさまれェェええ!!」
「────ふぅ…………」
慌てて飛び起きベッドに腰掛け集中した五百里は左手で右手首をおさえ、ジンジュを発射せずおさえることに成功した。まばゆい発光が失せ、深く安堵の息を吐いた。
「人間がなんで超能力なんて夢を持たないのか分かった気がする……」
「使いどころをあやまっちゃいけないな……そりゃ学校も必要だ」
五百里は机におかれていたコップの水を飲み干し、また布団へと潜り込んだ。
目を閉じて今日はもう終わる。
「ん、でも待て俺……学校でレイプに暴力…………いやもう考えるのはよそう……」
大きな鍋にカセットコンロ。昨日の鍋を水で薄めてラーメン鍋……まぁ男2人ならこんなもんだよな……。味は。
白菜? 野菜の味が出ててうまい……ひさびさの家の味って感じだ。よけいうまい。
ぐつぐつと煮え、しろい蒸気の向かい席。ガヤガヤと騒がしい何かのバラエティー番組のテレビ音。五百里は父に何気ない日常会話のような口調で切り出してみた。
「ねぇお父さん。アレって結局なんなの」
「ずるずずずず……アレ?」
「ずずずず。愛した女は全力で守り抜け」
「ずずずあー、アレなら。母さんを口説くときのヤツだ。おぼえてたのか?」
「か、家訓なんだろ?」
「そうだな、月無家の家訓。まぁチャンスを逃さないよう、子孫繁栄のため血を絶やさないためってやつだろう。全力で守り抜けとはいうが現代じゃ全力を使う場面なんてないだろうがな、はははは」
「はは、へ、へぇー……」
「で生まれたのがおまえなんだから家訓さまさまってことで引き継がれていくわけさ」
「……たしかに、そりゃ引き継ぐね……」
「そういや五百里お前新しい学校は、神日学園だっけ? 山の中なんて今時珍しいなぁー」
「あ、ああー。順調だよ。前の学校よりずっと、みんないい人ばかりで」
「そうか」
「あ、それでなんだけど山だし通学が遠いし寮に入ることになったからそのしばらくかえれないかもって!」
「なに!? それはたいへんだな……。大事じゃないか、母さんにも話しておけよ」
「もちろんそのつもり!」
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「難所だと思われたお母さんには色々説明したけど、寮費無料だって言ったら案外ころっとだったな……。怪しんだりもしない、無料ってジンジュは主婦に対して強すぎる……」
寮生活、明日に向けて疲れ切った身体を癒すため五百里は0時を迎える前に寝ることにした。暗がりの一室、ベッドの上で仰向けになり静寂な夜が過ぎていく。
被った毛布で、じんわりあたたまり溜まった疲れが継続して癒えていくのが分かる。眠りにつく前に考えにふけり自然と独り言を漏らしていた。
「てかあれからメプルさんに会えてない……」
「くそっ、スマホは周防子先生に奪われたままだし。って、あ普通にバックアップから連絡」
「いや……よそう……」
「俺1人がメプルさんに…………あぁもう!! 愛した女は全力で守り抜け……ご先祖様のおかげかここまで来れたけど愛した女に会っちゃいけないときはどうすりゃいいんだ!!」
「くそー……」
「メプルさんと俺の……怠けか……神呪使いとしてって言われてもまだな。実態もよくわかんねぇしまだまだ戦力としても認められてないって事なんだろうな。……だいたい、メプルさんの使命ってのがあるとしてアイツらは……!! いや……神呪使いのお偉いさんは俺なんかよりよほど見えてるんだろうな…………でもッ、他人任せはもうやめだ俺には俺のジンジュがある、何かの流れだってちょっとは変えれるはずだ!」
天にかざした手、右の親指にチカラがこもる。いつの間にやら知らずに習ったあのカタチを成していた。
熱がこもりやがて三本指は白く発光し。暗がりをまばゆく照らしている。
「うお!?」
「やっべ!! おさまれおさまれェェええ!!」
「────ふぅ…………」
慌てて飛び起きベッドに腰掛け集中した五百里は左手で右手首をおさえ、ジンジュを発射せずおさえることに成功した。まばゆい発光が失せ、深く安堵の息を吐いた。
「人間がなんで超能力なんて夢を持たないのか分かった気がする……」
「使いどころをあやまっちゃいけないな……そりゃ学校も必要だ」
五百里は机におかれていたコップの水を飲み干し、また布団へと潜り込んだ。
目を閉じて今日はもう終わる。
「ん、でも待て俺……学校でレイプに暴力…………いやもう考えるのはよそう……」
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